愛着の森「対話編」



あなたの好きな森とあなたの好きな木を最低一つ、日本のどこかに決めてほしい。そして時々会いに行ってほしい。きっと人生が豊かになるだろうから。
(有峰森林文化村顧問 稲本正さんの言葉)


1 現在対話が続けられている木のリスト

番号 種類 名前 第一号登録日 最近報告日 総報告回数
ともの木 2006/6/6 2007/10/27 6
ありみねの松恋(まつこ)さん 2006/6/22 2007/6/2 4
あいちゃん 2006/6/25 2007/9/17 3
逍遥菩薩平和街道 2006/7/14 2007/10/28 8
祐延五朗 2006/7/23 2007/10/7 2
よっちゃん 2006/7/26 2007/10/29 2
マガワハハコ 2006/8/25 2007/10/2 3
青年の樹 2006/8/26 2007/6/3 2
ななちゃん 2006/8/31  2007/9/27 3
10 トチノキ谷の寅じい 2006/9/1 2007/9/15 4
11 アナボコ・シートン 2006/9/10 2007/6/3 4
12 ぶなっこ 2006/9/10 2007/8/5 4
13 八雲立つ樹 2006/8/19 2007/8/19 4
14 西谷いのちの沢 2006/9/28 2007/9/4 3
15 きのこの木 2006/9/30 2007/7/15 2
16 Mother Tree 2006/10/3 2007/10/3 4
17 豊穣の樹 2006/10/9 2007/9/23 3
18 のぞ木 2006/10/23 2007/10/3 3
19 仲良しこよし 2006/10/25 2007/10/13 5
20 源爺の樹 2006/10/29 2007/10/28 5
21 小さな森 2006/11/11  2007/9/17 2
22 来たゾー 2007/6/2 2007/9/17 2
23 朴の木Brothers 2007/9/24 2007/10/27 4
24 夢二ツイスト 2007/10/2 2007/10/27 2
25 成長する地図 2007/10/13 2007/10/27 2


2 概要

有峰では、有峰湖の周りにブナ、ミズナラ、トチノキなどの明るい森が広がっています。歩けば、なぜか元気が湧き出してくる気持ちのよい森です。

有峰森林文化村は、この森で、「愛着の森」事業を、県民参加の森づくりの一環として2004年度から展開しております。2004年度に「調査編」で開始したこの事業は、昨年「ドングリ育て編」を加えました。2006年度は、さらに、「対話編」を加えます。

対話編においては、各自が好きな木を決めて、その木の10年以上にわたる変化を写真撮影によって定点観測します。加えて、さらに重要なこととして、木とどんな会話を交わすかという、心の変化を定点観測します。


3 手順
(1) 定点観測点の登録
ア 有峰村民(以後、原点観測者と呼ぶ。)が、有峰を歩きまわって、一番気持ちの落ち着く木を見つけます。

イ 原点観測者が、デジタルカメラで撮影します。
  1) その際には、杭を打つなどいろんなことが必要ですので、ビジターセンターにおります
    有峰森林文化村職員が、現場に同行させていただきます。
  2)現場に行って、撮影の方向、仰角などを吟味し、杭を打ってから撮影し、
    ビジターセンターまでもどってきて、原点撮影者と職員がアルバムをつくると
    いった整理作業をしますので、おおむね3時間かかることが予想されます。
  3)したがって、事前に、電子メールで、撮影をする希望日を連絡いただいて、
    時間を調整したいと思います。
  4)撮影日に場所を探すのではなく、前もってお気に入りの場所・木をご自分で探しておいていただくと
    時間の節約になると思います。
  5)木を探すところから写すまでをその日のうちにすませたい場合でもかまいません。
   半日たっぷりかかると思われます。

ウ 原点観測者が、撮影した画像を、有峰森林文化村事務局に渡します。

エ 原点観測者が、以下のことを、有峰森林文化村事務局に書面で伝えます。
   ・撮影日時、撮影条件(ズームの使用)などの撮影そのものに関すること
   ・木の元気さ、どんぐりのなり具合、周辺の光の射し具合や虫や鳥などの情報
   ・その場所や木が気に入った理由
   ・木を眺めていると、どんな気持ちになったかとなどの心の動き

オ このようにして、定点観測点を、20地点を目標として決めます。

カ 注意事項


(2) 第2回目以降の撮影
ア 希望者(以後、踏襲観測者と呼ぶ。原点観測者と同一人であっても可。)は、有峰ビジターセンターの地図から、自分が撮影しようと思う、定点観測点を選びます。

イ 踏襲観測者は、第1回目の写真を持参し、同じアングル(向き、仰角)で、撮影条件を踏襲して、撮影します。

ウ 踏襲観測者は、撮影した画像を、有峰森林文化村事務局に渡します。

エ 踏襲観測者が、以下のことを、有峰森林文化村事務局に書面で伝えます。
   ・木の元気さ、どんぐりのなり具合、周辺の光の射し具合や虫や鳥などの情報
   ・撮影しながら、どんな気持ちになったかなどの心の動き

オ こうした定点観測を10年以上、何十人ものリレーとして続けていきます。

(3) 有峰森林文化村事務局の役割
ア 観測点の地図を作成します。

イ 観測点ごとのアルバムを作成し、有峰ビジターセンターで展示します。
 アルバムでは、氏名を記載しますけれども、住所等の個人情報は記載しません。
 インターネット公開するときは、氏名も公開しません。

(4) 定点観測を続けることによって変化を追いたいと期待していること
ア 観測者自身の精神的なこと
   1)木を見て、自分がどのように感じるかという心の変化
   2)木と自分がどんな会話を交わすかという、心の変化
   3)同じ木を見ながら、人によって、いろんなことを感じる心の面白さ

イ 自然観察的なこと
   1)有峰森林の成熟・衰退
   2)ドングリなどの豊凶変化
   3)環境汚染・地球温暖化の影響
   4)病虫害の発見
   5)地点ごとの開葉や開花、紅葉時期の変化
   6)植生(ササユリ等の開花状況など)の変化
   7)薬師岳の冠雪の変化

4 とても大事なこと
(1)木に限りません。道でもいいし、滝でもよい。訴える力を高めるために、あえて木で説明します。

(2)体が不自由になって有峰に行けなくなった、あるいは亡くなれたと連絡があれば、あなたの木のアルバムを、郵送することにしたことです。ごらんになったら、返送してください。

このことによって、寝たきりになって、「あの木はどうしているだろう」と思っていると、他の人によって継承されてきたアルバムを見ることができるのです。また、亡くなられた場合、生前に好んでおられた木がどれで、その木についてどう感じていたかが、本人の直筆とともに、家族や友人に見てもらうことができるのです。

そもそも、愛着の森は、「あなたの好きな森とあなたの好きな木を最低一つ、日本のどこかに決めてほしい。そして時々会いに行ってほしい。きっと人生が豊かになるだろうから」という考え方を基本にしています。

一方、「死を前にした時間はたんなる人生の終わりの時期ではなく、その人の一生の意味づけをする完成期としてとらえるべきだ」とする考えがあります。(柳田邦男著 「人生の答の出し方」参照)

病気や死亡に対する仕組みは、こうした二つの考え方の融合を実現するものです。


(3)倒れた木が土に還っていく様の定点観測を重要な柱に加えます。

2006年7月1日の夜の語り部講で語り部をお願いした皆越ようせいさんにお聞きしたところ、倒木をミミズたちが土に還していく様子を定点観測しようとしても、いつの間にか片付けられてしまうそうです。有峰は、県が森林を管理しており、有峰森林文化村という組織があるので、倒木の定点観測を一般の人ができる、全国でも稀な場所であることに気づきました。林道や遊歩道の間際の倒木は安全のため撤去すると思いますが、少し藪に入れば、大丈夫だと思います。死んだ木が、新しい命のために朽ちていく様は、有峰森林文化村にふさわしい観察テーマです

5 備考
富山県自然保護課が毎年9月に実施する、ドングリの豊凶調査に協力します。