有峰森林文化村新聞 2023(令和5年)1月10日 第481号
有峰村民の皆さまに有峰の最新情報をお伝えするメール通信
ありみネット http://www.arimine.net
編集/有峰森林文化村会議 編集/中川達夫
(発行日現在の有峰村民人口:1,416人、LINE配信 454人)
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●有峰森林文化村の活動報告
●有峰のフィールドサイン(クマ棚)について
◆編集室からのお知らせ
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有峰を愛するみなさま 新年あけましておめでとうございます。昨年中はご愛読
いただきありがとうございました。本年も有峰森林文化村の諸情報をお届けして
いきますのでご愛読くださいますよう よろしくお願いします。

●有峰森林文化村の活動報告
今回は昨年を振り返り有峰森林文化村への来訪者の動向について報告します。
コロナ禍が未だに治まらないシーズンで8月には富山県内で2891人の新規感染者
となる一方、有峰には多くの方がお越しになりました。有峰森林文化村行事にお
けるコロナ感染症対応として「高校生学びの森」以外はすべて日帰りとし、参加
者には消毒やマスクの着用をお願いしました。「有峰日帰り語り部講」の8月予
定の団体からご辞退があったほかは、どの行事もお天気に恵まれ好評のうちに開
催することができました。改めて講師の方々をはじめ関係者のみなさまに深く感
謝申し上げます。
有峰森林文化村施設全体の利用者数は、全体で22,601人(21,777)人と前年比104%
824人増となりました。各施設の利用者は下記の通りです。

○有峰森林文化村施設の利用者数 ※速報値(前年度値)
・ビジターセンター 8,299人 (8,080)対前年比 103%
・芝生広場     10,253人(11,452)  〃    90%
・冷夕谷キャンプ場 1,169人   (623)  〃   188%
・有峰ハウス    1,339人   (960)  〃   139%

1.ビジターセンター・冷多谷キャンプ場・有峰ハウスの各利用者数は、いずれも
前年度よりも多くの方にご利用いただきました。コロナ禍であっても密を避けら
れる有峰を選んで来られた方を多く見かけました。有峰をゆっくり満喫されたい
方には、冷多谷キャンプ場をお勧めしておりましたので利用者の増に繋がりまし
た。
2.昨年度10月の週末は、いずれも好天に恵まれ芝生広場の利用者が1,000人を越え
る日もありましたが、今年度の10月は曇天の週末となったため昨年度の人数には
届きませんでした。
3.有峰ハウスは前年度・前年々年度を上回る利用者となりました。有峰森林文化
村行事として利用しておりませんが(高校生学びの森を除く)有峰ハウス宿泊者
への限定イベントとしてミニ観察会(灯火による昆虫採集)と星空観察会(15セ
ンチ天体望遠鏡での観察)を企画としたところ、これを目当てに宿泊された方も
多く来られました。
4.有峰の最新情報をお伝えするために昨年6月よりインスタグラムを開設してい
ます。週に4回ほど更新するようにしており、フォロアーは300人を越えました。
投稿した有峰の写真を見て来られる方も居られ、まさに双方向のつながりを感じ
ています。

https://www.instagram.com/arimine1100/
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●有峰のフィールドサイン(クマ棚)について(ありみネット報告書より引用)
令和4年は、有峰における堅果類ミズナラ及びブナの結実はともに並作もし
くは豊作であった。(2022堅果類の豊凶調査結果 2022.8.30 富山県森林研究所)
一方今年の有峰において例年確認することができるクマ棚は、昨年に比べ明らか
に少なかったことから今年の状況について報告する。
有峰森林文化村では、例年「ありみね高校生学びの森」として富山県内の高校生
を対象に年3回有峰で研修を行っているが、10月2日の秋季研修に先立ち9月下
旬に有峰各地で現地調査をしたところ、昨年複数個所で確認できたクマ棚が1箇
所も発見することができなかった。また 11月3日「山じまい感謝の集い」での
講演を白石俊明氏(立山カルデラ砂防博物館:哺乳類担当)に依頼していたため、
この開催前にツキノワグマのフィールドサイン、クマ棚について有峰6カ所の遊歩
道(猪根山遊歩道、折立遊歩道、東西半島遊歩道、砥谷半島遊歩道、冷タ谷遊歩
道及び桐山管理歩道)に加え、東岸線沿線を除く有峰林道各線(小見線、東谷線
西岸線、南岸線、小口川線及び折立線沿線)で調査をおこなった。過去頻繁に
クマ棚が観察できた6箇所の遊歩道と折立線沿線を除く有峰林道沿線ではクマ棚を
発見することができなかった。一方、折立線沿線の道路沿いで、ブナやミズナラ
に作られたクマ棚が確認できた。これらの結果を表 1 に示し、昨年(2021)と
比較した。白石氏によると豊作年にクマ棚を見ることが少ないのは、人目に付く
木にあえて登る必要がないことも一因であるとのお話であった。
長谷川幹夫氏(TOGA 森の大学校校長)より今年(2022)は有峰ではブナが並作
から豊作、ミズナラが並作(落下したミズナラのドングリを有峰県立自然公園内
の各地で発見・観察)であったため、木に登らなくてもドングリを確保できたこ
とが推測との見解をいただいた。また、上毛新聞掲載記事((株)群馬野生動物
事務所代表 春山明子氏)には、「近年の研究では、堅果類が多い年はクマが枝
を折って食べた痕跡、通称(クマ棚)が少ないこと。わざわざ木に登らなくても、
地面に落ちた堅果類を食べるだけで必要なカロリーを摂取できる」と同様な見解
が記載されている。
有峰における堅果類ミズナラ及びブナの結実は明らかに昨年より良好であったこ
とから、今年の有峰の調査要所でのクマ棚の発見が昨年に比べて明らかに少なか
った理由ではないかと考えられる。今年、折立線沿線でクマ棚が作られていた場
所は、東岸線との分岐点から新折立トンネルの間に集中し、沿線沿いたけでも
23か所発見した。このクマ棚は、ミズナラ及びブナとも大木でない木にも作られ
ており比較的登りやすかった、とも推測されるが、集中してクマ棚が作れていた
理由を推測するうえで今後も有峰全域での調査が必要と考える。
有峰の堅果類は、ツキノワグマ以外にもニホンザル、イノシシ、アナグマ、アカ
ネズミやヒメネズミなどのげっ歯類のほかカケスなどの鳥類においても貴重な栄
養源となっており今後もこれらの個体数の変化にも注視していきたい。

参考文献:2022年 堅果類の豊凶調査結果 (富山県森林研究所 2022/8/30)、視点
オピニオン 謎解明へ多様な研究を 秋の実りとクマの行動 春山明子(上毛新聞
2022/8/25)、森と生きる。ツキノワグマのすべて 小池伸介著(文一総合出版)

ありみネット 有峰森林文化村 調査報告(サイト内に写真あり)
http://www.arimine.net/migoro/2022/221129kuma.pdf
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◆有峰の林道状況
11月13日より有峰林道全線は冬期閉鎖になりました。
今のところ例年6月1日を開通予定としております。
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◆編集室からのお知らせ
昨年11月中旬以降は事務局を移転し富山県農林水産会館において新年度に向けた
事務作業を行っています。12月は諸般の事情により有峰新聞の発行することがで
きませんでした。この先も不定期での発行となりますのでご理解のほどよろしく
お願いします。 有峰森林文化村助役
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