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有峰村民の皆様と、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2020年1月17日 第437号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/吉江 良
(発行日現在の有峰村民人口:1,189人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆It takes a village.                    中川 正次
◆有峰のクマ対策について               有峰森林文化村  
編集局からのお知らせ                有峰森林文化村

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◆It takes a village.                    中川 正次 
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 It takes a village. という英語がある。今どきの子供たちなら、小学校
で習ってしまうかも知れない英語で構成されている。私の時代では、中学校
1年レベルの英語だったろうと思う。しかし、この英語の意味を言える日本
人は、非常に少ないと思われる。私は、全く知らなかった。

 ブレイディみかこ著「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」
(新潮社)の80ページに出てくる。

 It takes a village.
 英国の人々は子育てについてこんな言葉をよく使う。「子育てには一つの
村が必要=子供は村全体で育てるものだ」という意味だ。

 私の持っている英和辞典では、villageを調べてもtakeを調べても出てこ
なかった。英英辞典で、villageを調べても出てこない。takeを調べると、
項目が一杯あってどれかにひっかかるのかも知れないが私にはわからなかっ
た。

 しかし、It takes a village.いい言葉だ。覚えやすいし、英語を知って
いそうな日本人に、「意味わかる?」と試してみたい気がする。そして、
英国人に言って、親指を上に立ててもらいたいものだ。アメリカ人に伝わる
かどうかも試してみたい。

 何よりも、有峰森林文化村がそんな子育てに不可欠な村になって欲しいも
のだ。Tシャツや手ぬぐいに“It takes a village.”を印刷できないものか。
ほとんどの日本人が知っている単語で構成されていて、ほとんどの日本人が、
「そんな意味なの」と驚く意味をもっていて、自分たちがなおざりにしてい
る内容であって、少なくとも、英国人が、親指を上に立ててくれる言葉だか
らだ。この言葉を印刷するのに、特許料もいらない。

 「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」という本、すごい本で
ある。これは、福岡県生まれのみかこさんが、アイルランド人と結婚し、イ
ギリスで息子の中学生を育てているという話である。みかこさんは、毎年、
夏に日本に息子を連れて帰ってくる。英語の話せない父親と、日本語のわか
らない息子が、うまくコミュニケーションしているところも面白い。サッ
チャー政権が、小さな政府を標榜して以来、イギリスがどう変わったかわか
る。これから日本も移民がどんどん増える。彼らとの付き合い方が如何に難
しいかもわかる。

 先日、富山地方鉄道の本線に乗っていたら、イスラムの女性であろう頭に
布を巻いた女性が2人乗っていた。男性の酔っぱらいが、「どこの国から来
たの? Where are you from?」と英語と日本語を交互に頻りに質問してい
た。日本人の女性が、酔っぱらい日本人男性から電車で質問されたら気分が
悪いに決まっている。外国人ならなおさらであろう。この酔っぱらいには、
心底、腹が立った。富山県は、ザイゴ(いなか)だと思った。

 読みやすい本である。ご一読をお勧めする。
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◆有峰のクマ対策について              有峰森林文化村 
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1.クマの出没状況
 令和元年度は、ツキノワグマ冬眠前の主要な餌であるドングリ類の凶作が
影響したのか、里山でのクマ出没回数が大変多く、人身被害も例年になく多
く発生しました。
 有峰でも、非常に多くのクマが目撃され、7月~8月にかけては猪根平では
1日平均1回以上目撃情報が寄せられました。一昔前(約30年前)に有峰勤務
をしていた職員の話によると、当時は年に1回程度しかクマを出会わなかっ
たそうで、それを考えると、現状はクマの個体数そのものが増加しているこ
とも十分考えられます。
 特に折立キャンプ場では、「車のボンネットに小熊が乗って遊んでいる」
「留守中のテントがクマに荒らされた」など、人慣れした行動が見受けられ、
この地区特有の『都市部の方々による不特定多数の入込』が影響しているの
ではないかと考えました。
 このことから、令和元年度は、有峰森林文化村で独自にクマ対策に取り組
んだので、その内容をご紹介したいと思います。

2.文化村で取組んだクマ対策の内容
(1)熊対策緊急会議の開催
 まずは、熊対策の取組みについて、地区住民全員で学習するとともに、統
一した取組を行う合意形成を図るため、9/12に熊対策緊急会議を開催しまし
た。開催にあたっては、立山カルデラ砂防博物館の白石学芸員を講師に招き、
有峰ハウス、有峰記念館、有峰森林文化村職員を参集して行いました。
 白石学芸員からは、全国他地区での取組事例を紹介いただきながら、「熊
と遭遇しないための工夫」「熊を誘引する生ゴミ除去の徹底」「万が一熊に
出会った時に取る行動」などについて、実践も取り入れ分かりやすく教授い
ただきました。
 
 またこの会議をもとに、文化村では以下の内容を柱として取り組むことと
しました。

(2)来訪者への普及活動
 ①普及パンフレットの配布活動
   有峰地区の各窓口(ビジターセンター、記念館、ハウス)で、来訪者
  に対し、パンフレットを用い、下記内容について注意喚起を実施した。
  ア.遭遇防止 イ.遭遇した場合の対処法 ウ.誘因防止(食料残渣の
   放置禁止)
 
 ②注意喚起看板の設置
   観光客が立ち寄る主要な箇所(窓口、駐車場、トイレなど)20カ所に
  設置した。
 
 ③出没状況マップ等の掲示等
   クマの出没状況をマップに落とし、ビジターセンターで掲示した。
  またクマが壊したと思われる空き缶等を展示し、食品残渣を残さないこ
 との重要性を普及した。

(3)職員による巡回活動
  不特定多数が訪れる折立地区を毎日巡回(9/14~10/20毎日夕方、2人
 1組)し以下の内容を実施した。
 ①キャンプをされている方へ上記PRパンフを配布し普及活動を実施した。
 ②キャンプ場周辺に捨てられている生ゴミ等の回収作業を行った。

(4)村内施設での自主対応
 ①生ゴミ・空き缶等の放置禁止を徹底した。
 ②宿舎等への侵入防止対策を徹底した(戸締まり、1F窓の雪囲設置)。
 ③万が一の撃退対策について準備した(クマスプレー、爆竹・バット)。
 ④宿舎に近づいた場合は適切な威嚇行為を行うよう申し合わせた。

 一方この取組以降、9月に入ってからは、猪根平では、クマの出没が早急
に減り、代わりに猿の群れが入ってくるようになりました。今年は東谷や
大多和方面で多数のクマ棚を見ることができたので、クマは9月以降はより
奥山に移動したのではないかと考えられます。その結果、今年度は有峰地
区でクマによる人身被害を確認することはありませんでした。
 
3.取組を終えて考えること・今後の取組方向
 この取組を通じ、有峰のクマについて考える機会が増えました。まず
最初に思うのは、我々はこれだけクマと接近した状態で生活をし、これだ
けの頻度でクマに出会っているのに、過去から有峰でクマの人身被害があ
ったということを聞いたことがないということです。
 
 実際に職員は何度もクマに遭遇していますが、クマ自身が人間に驚くこ
とはなく、襲ってくる様子も近づいてくる様子も全くありません。『里山
で人間の住処に怖々降りてくるクマ』たちと違い、『有峰のクマはここは
僕らの住処です』といった自信があるのでしょうか。いずれにしても、
無意識のうちに人間とクマの棲み分けがされているように感じます。

 一方、そうとばかりはいえない状況も発生しています。前述の折立地区
の状況です。折立地区は登山を目的に都市部の方々が一度に大勢訪れる有
峰地区でも特異な箇所です。これだけ多くの方が来られますと、やはり中
には、食べ残しを捨てて行かれたり、テントの中に食料を残したまま留守
にしたりというケースが増えてきます。クマの主要な餌はドングリ類です。
しかし、木に上って餌を取る労力もいらず、栄養豊富な人間の食べ残しが
近くで簡単に手に入ると分かれば、それを学習し、繰返しの出没につなが
るのは避けられません。これはいわばお互いの暗黙の棲分ルールを破って
しまった状況と言えるのかもしれません。

 そうなると、それを見た人が「騒ぐ」 → 「捕獲する」 → 「射殺
する」といった悲しい悪循環に陥ってしまうのは、人間の安全確保を第一
とする観点からは、どうしても避けられなくなってしまうのかもしれませ
ん。
 
 しかし有峰では、本来は「クマの住処に人間がお邪魔」しているわけで
すから、このような悪循環を避けるためにも、まずは入り込む人々に、そ
こに住むクマとどう向き合っていくべきなのか、最低限どのようなルール
を守らなければならないのかをしっかりとあらかじめ心得てもらうことが
重要であり、それを普及していくことが先決なのではないかと考えます。 
 
 そもそも「クマ対策に正解はない」と聞きます。それは、場所により
「クマの意識」も、「人間の生活スタイル」も変わるからだと考えます。
少なくとも有峰のクマを見る限り、里山での対策をそのまま当てはめるこ
とはできないのは明らかと考えます。
 
 このことから、有峰地区では、次年度以降も適時に同様の「普及活動を
中心とした対策」を継続していきたいと考えております。
 これについては、多方面からさまざまな意見が出てくるものと考えます。
特に識者の方々や、日々クマ対策を実践しておられる方々からの幅広いご
指導・ご意見をいただければ幸いと考えております。
 
 その結果今後取組む内容が、クマにとっても、人にとっても、より幸せ
なものになることを祈ってやみません。

    クマの出没状況          クマ棚              熊対策緊急会議

    注意喚起看板設置     熊出没マップ掲示        食品残渣を熊が漁った痕跡掲示
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◆編集局からのお知らせ                有峰森林文化村
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次号の有峰森林文化村新聞は、2月21日に発行予定です。
 6月~11月間は二週間毎に、12月~5月間は月1回、第3週の金曜日に発行い
 たします。
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◇文化サークル活動所/有峰デジタル画廊にどしどし投稿お待ちしています。
 (デジタル写真でも絵画(写真に撮って)投稿してください。)
  有峰森林文化村新聞は村民の交流の場として利用してください。
◇有峰森林文化村では皆様からいただいた情報やご意見、感想を掲載いたし
 ますので、どしどし投稿をお待ちしております。
◇あて先   E-メール:info@arimine.net
                     有峰森林文化村助役(編集長)
 
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