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有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2012年2月24日 第252号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/田上十志郎
(発行日現在の有峰村民人口:736人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆有峰村民によるリレーエッセイ第34回
 〜野兎に想う〜                                 源田 義一
◆ねじばな便り   
 〜ニンニクトンネルを考える〜                        中川 正次
◆有峰森林文化村からお知らせ                    有峰森林文化村
◆編集局からのお願い                          有峰森林文化村
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◆有峰村民によるリレーエッセイ第34回
 〜野兎に想う〜                                 源田 義一
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最近、野兎の生息数が可成り少なくなって来た。
 小生等が幼い頃、野兎は非常にたくさんいたものだ。
 雪が降り出し、積もり出すと、もう野兎の足跡が見られたものだ。
 特に硬く締った雪にチラッと積もった夜の翌朝なんかは、純白な雪面上に
描かれた野兎の足跡は、何んの目的もなく描かれた自由気ままに描かれたス
ケッチ画の様で実に楽しい。
 足跡が描かれた、そんな画材は美の題材として無限の宝庫を提供してくれ
る。
 2〜3年前から天候の良い冬の日は、中低山の山々にカンジキハイキング
をしているが、やっぱり野兎の足跡が全くと云ってよい程、見られない。
 それにかえ、犬、タヌキ、キツネ等の足跡が沢山見られる様になった。
 一時期、野兎が増え過ぎて山林や木々の被害が発生し駆除の対象になった
事があり、天敵のとしてキツネが放されたので、野生動物の生息分布が変化
したのかもしれない。
 余談だが、イノシシの天敵がいるものなら、放して欲しい位で、被害が多
大である。
 近頃はキツネらしき足跡がたくさん見られる様になった。
 小生等が幼い頃は、2月に入ると天候の良い日を選んで1〜2回野兎駆除
の為、兎狩りが地域の村民総出で行われていたものである。
 子供の時、これが楽しく非常に待ち遠しかった懐かしい想い出がある。
 そこで兎狩りの想い出の記憶をたどって話そうと思う。
 小生が住んでいた山深い部落では毎年2月は野兎狩りのシーズンだった。
 2月に入ると雪がしまって、カンジキで歩きやすくなるからである。
 部落の長老達は野兎狩りの日を決めて、2〜3人の狩人(鉄砲打ちの人と
云っていた)に連絡してきてもらう日の段取りから始めた。
 そして、部落全体に野兎狩りの日を連絡通達する事になるのである。
 連絡は全て板鳴(10cm位の硬い板の中央裏を削り薄くして木ずちで叩
く道具、叩き方によって何の連絡かが分かる様に決められていた。)を殴打
して、村全体に知らせていたものである。(昭和30年頃まで使用されていた。)
 当日は朝早くから部落の若い人達が中心になって、野兎狩りの準備をする。
 野兎は音に敏感なので音が出る物を各自が持参して、山の裾野に配置に付く。
 一方、狩人さん達は山野頂き近くまで、野兎が逃げない様、静かに登って
待機してもらうのである。
 諸準備が出来たら長老リーダーの合図で、一斉に山の頂上に向かって大声
や音をだしながら隊列を組んで、ゆっくりと登って行くのである。
 多数の村民である追手はカンジキを履いてるので雪の斜面を登るのは大変
な運動量で、ものすごく疲れる作業だった。
 追手が登って行くと木の根元からピョン、ピョンと野兎が飛び出して山の
方へと駆け上がって行くのが見える。
 野兎は前足が短いので下って来る事はなく、全て上へと駆け上がって行く。
 バーン、バーンと鉄砲の音が聞こえて兎が捕らわれている事が確認できる
のだが、中々鉄砲も当たる確率が悪くて逃げる。
 大半の兎は追っての網をすりぬけて逃げていったものである。
 朝早くから午後の遅く迄の、追手作業は疲れたが、山の頂上で遠景を眺め
ながら食べる冬の昼食は格別に美味しく、毎年の楽しみだった。
 この村のイベントで捕えられる野兎は毎年10〜20匹だった。
 捕獲した兎の耳を切り取って、役場に提出すれば、補助金があたり、宴会
の費用にされてもいた。
 野兎狩りが終わると野兎を解体調理して、部落総出の報恩講の集いが同時
に行われた。
報恩講とは、毎年、仕事が少ない冬期に先人の祖達の遺徳をしのび行う村
の仏教行事で有った。
 野兎の前足を縄で縛りつるして、山ナタや包丁等で解体して、肉は夜の鍋
に、皮は剥ぎ取り、板に張り付け乾燥させて座布団や襟巻き等に転用された。
 五斗鍋(昔、味噌を煮るのに使用していた70〜80Lの釜鍋)に入れ、具とし
てゴボウ、ネギ、人参や油揚げ等を入れてグツグツと煮ていた村の婦人会の
人達の手際の良い調理作業姿が浮かんで来るのである。
 村の子供達は、鍋の周囲に陣取り早く食べたいと舌づつみしながら、眺め
ていたものである。
 今にして想えば、大きなチャンコ鍋料理の様なものだった。
 初めて野兎のチャンコ鍋を食べた時の肉の感触は、全く脂肪分が無いゴム
を食べている感じだった。
 しかし終戦からの国の経済が貧困な時代だったから、村民には重要なタン
パク源でも有った訳である。
 他方では午前中から部落の若い連中は宿屋となった報恩講の集いの準備と、
その後の野兎チャンコ鍋の配膳準備に予念がなかった。
 準備が全て完了したら、村の老若男女が一同に会し、仏壇に参り、その後、
高座から坊主さんの有難い説教を聞き、村民の“絆”を深めたものである。
 最後は野兎のチャンコ鍋様の鍋料理を全員に振る舞い、お酒(当時はドブ
ロク酒だった記憶がある)が入って宿家の大きな囲炉裏のまわりで暖を採り
ながら、兎狩りと報恩講の集いが、最高潮に盛り上がっていた光景が脳裏を
かすめるのである。
 毎年、山じまい歓喜の集いのハウスに於ける宴会、囲炉裏の語り部講は、
幼い頃の村の風景を思い出させ、今はなき廃村となった昔の故郷を懐かしむ
のである。
(完)
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◆ねじばな便り   
〜ニンニクトンネルを考える〜                         中川 正次
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 有峰森林レンジャーで活躍いただいている木内静子さんから、お便りをい
ただきました。

 「ずっと以前のありみね便り(有峰森林文化村新聞2011年10月7日第243号
の源田義一さんんの記事)に気になっていること。ニンニクとはギョウジャ
ニンニクではなく、仏教用語のニンニクです。あの地質は石灰岩質でギョウ
ジャニンニクは無いはずですが・・・」

 和田川の左岸にニンニク谷というのがあって、その対岸はニンニク谷向か
いと呼ぶと聞いたことがあります。2年前まで、トンネルやスノーシェッド
が狭くカーブしていたあのニンニク地区は、有峰林道小見線で一番いやな箇
所でした。それが昨年の新ニンニクトンネル開通で、楽になりました。

 さて、このニンニクは、仏教用語としてのニンニクを指すのか、食べ物の
ニンニクを指すかという問題です。私見を述べさせていただきます。食べ物
のニンニクだと思います。

 有峰森林文化村村長の梅原猛さん著「梅原猛の授業 仏教」で調べたこと
を書きます。六波羅蜜(ろくはらみつ)というものがあります。仏教の道徳
として6つの項目です。布施、自戒、忍辱(にんにく)、精進、禅定、智慧
です。

 布施とは、恵み施すこと。自戒とは、道徳的規則を守ること。忍辱とは、
辱めに耐えしのぶこと。精進とは、努力すること。禅定とは、集中すること。
智慧とは、智恵をもつことです。

 立山に、弥陀ヶ原、浄土山、地獄谷、餓鬼の田、みくりが池、室堂、大日
岳と、仏教用語の地名がたくさんあるのに対して、有峰に仏教用語がほとん
どありません。薬師という言葉があるだけではないでしょうか。もしニンニ
クトンネルのニンニクが仏教用語の忍辱に由来するのなら、六波羅蜜の他の
言葉の地名がないのは変だと思います。

 さて、ニンニクから派生して、六波羅蜜のことを考えました。六波羅蜜を
厳しく言わない宗教を仏教と呼んでいいのかです。「仏教である以上、六波
羅蜜を守るのが仏教の条件である。念仏さえすればといい始めると、なんで
もありになってしまう」と、平安時代や鎌倉時代に私が生きていたら、新興
の浄土教に対して反論しただろうと思います。

 一方、六波羅蜜を守れない偽善者たる自分を救う仏がいるという確信が、
浄土教の本質だと思います。梅原さんは、「梅原猛の歎異抄入門」の中で、
「道徳の延長線上に宗教はない」とまで書かれています。

 六波羅蜜を守ろうとしなくても仏教と言えるか。難しい問題です。梅原さ
んが、「梅原猛の授業 仏教」で六波羅蜜を仏教者が守るべき道徳と書く一
方で、「梅原猛の歎異抄入門」の中で、道徳を守れない、偽善者である自分
を見つめた親鸞を傑出した仏教者として書いておられるわけですから、頭が
痛くなります。

 昨年10月、奈良で一週間研修を受けました。その中の見学として、東大寺
に行ってきました。おそらく奈良県庁のはからいでしょう、大仏殿の脇にあ
る講義室でお坊さんの話を1時間聞きました。最澄と対立した南都仏教だか
ら、さぞかし「戒律を守らんとあかんぞ」式の仏教だろうと思っていました。
聞いてびっくり。いただいたチラシを転記します。

 自然と調和して生活することが全ての生き物の生きていく基本であると、
釈迦は話していた。自分が愚かであるということを知らないのが本当の愚か
であり自分の愚かさを知るものは愚かな者ではない。仏教とは完璧な人間や
欠点のない人間づくりを目指すというのではない。「人間も自然の一部であ
り、特別な存在ではない。自然に即した生き方をしなければならない。自然
の最大のものは宇宙である。常に宇宙(自然)を認識して生きる」ことが釈
迦の教えであり、宇宙を表すものとして大仏があり、そのために聖武天皇は
東大寺を作った。

 私は、六波羅蜜を守ろうとしなくても仏教と言えるのかが、ずっと気にか
かり続けていました。加えて、3.11以降、「がんばろう」はせっかくの機会
を逃しかねないと思っていました。さらに、観光ばかりを言っているように
感じてならない世界遺産の寺院に対して不満を持っていました。「あ、この
東大寺のお坊さんは、私の気になっていたことに対する回答をしておられ、
同時に、世間に対して強い主張をしておられる!」と感動しました。

 すーっと通ってしまうところになってしまったニンニクトンネルですが、
こんなことも頭の隅に置いてもらえればと思います。

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◆有峰森林文化村からお知らせ                    有峰森林文化村
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☆ 有峰村民の皆様必見 ☆

・有峰村民対象の2012年度有峰森林文化村行事計画が決定しました。
 日程の調整をされまして、是非参加して下さい。お待ちしています。
 詳細なスケジュール等は一ヶ月程前にお知らせいたします。
 「 2012年度有峰森林文化村行事計画 」
・アドレス http://www.arimine.net/siryou/gyouji_2012-1.htm 

・前号から引き続き、2012年度の有峰ハウスの予約受付を受けまわっております。
 「 2012年度有峰ハウス予約受付 」
・アドレス http://www.arimine.net/house/yoyaku.html
  お問い合わせ
・Eメール mm3@arimine.net

【インターネットをご覧できない方、Eメールアドレスのお持ちでない方は
下記の電話又はFAXにてお問い合わせください。】
 ・電話   : 076−444−4481
 ・FAX   : 076−444−4482

お待ちしております。 
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◆編集局からのお願い                           有峰森林文化村
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 ・文化サークル活動所/有峰デジタル画廊にどしどし 投稿をお待ちしてお
 ります。(デジタル写真でも絵画(写真に撮って)投稿ください。)
 
 有峰森林文化村新聞は村民の交流の場として利用してください。

 ◇有峰森林文化村では皆様からいただいた情報やご意見、感想を掲載いた
 しますので、どしどし投稿をお待ちしております。

 ◇あて先は
 ・Eメール:info@arimine.net
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