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有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2011年11月18日 第246号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/田上十志郎
(発行日現在の有峰村民人口:736人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆有峰村民によるリレーエッセイ第29回
 〜伝承の大切さ〜             源田 義一
◆ねじばな便り   
 〜10月末の砥谷半島〜 中川 正次
◆10月に寄せられた俳句               有峰森林文化村
◆有峰林道の閉鎖にあたって             有峰森林文化村
◆編集局からのお願い                有峰森林文化村
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◆有峰村民によるリレーエッセイ第29回
 〜伝承の大切さ〜    源田 義一
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 今年も有峰の森は秋終の時節を迎えた。
例年の如く山じまいの集いの行事が盛大に行われるだろう。
有峰の森、有峰の湖、有峰の諸施設に感謝し、一年の総決算を迎えるの
である。
毎年、旧ハウスの前で行われる有峰大助を始めとして、餅つき行事、雑
煮作り、作った鏡餅と御神酒を供え神々への一年の感謝をこめた神事が行
われる。
 これ等は正しく昔から受け継がれて来ている伝承行事の一端を今に残し
ているものである。
 私達が行っている自然や昔の住人への感謝する心は今後も継承されて大
切な文化村の祭り事となるであろう。
 一つの事に皆んなが協力して目的物を完成させる事の大切さ、協力する
事の「絆」は有峰の森で、時代が変化しようが強く生きて欲しいものであ
る。今の世、間習、文化が目まぐるしく変化、変質し合理的、簡略的にな
り昔から継承、伝承されている有形、無形の文化、技能、技術が失われ消
滅しつつ有るのは寂しい限りである。
 有峰森林文化村の餅つき行事を一例として挙げて伝承の大切さを考察し
てみたい。
餅が出来上がる迄の作業や道具はそれなりに理に適ったものばかりであ
る。
 例えば、セイロ、ウス、キネ、伸板(台)等、全て経験的法則から長い
年月を掛けて作り挙げられた、ムダ一つ無い道具である。
 栃餅やぼた餅、所謂、普通の餅はこの道具を組み合わせて餅造りに供さ
れたのである。
 今の時代、餅つき機があり、電気ガスが有り、今迄の道具は無用の長物
として消えさろう運命にさらされている。今の若い人たちには餅つき作業、
餅が出来上がるまで行う民具を用いた方法等は、不合理で理解できない事
だろう。
この道具は何に?この使用法は?と不思議に考える事が多いし、知らな
い人も多いであろう。もっとも普段の生活の中では、知らなくても何等さ
しつかえない問題だかである。 
昔は、いや最近までは餅つきは年に一度や二度、家族が協業、協同参加
して行う重要な行事であり、家族が絆を深める大切な役割も担っていた。
 若い年代の人達には古き良き時代から伝承され、今に伝える文化的技能
や技術の一端に触れ、アレンジして今日的文化技能等に取り入れる、又と
無い絶好の機会であろう。
 前晩から研いで居いた餅米を「セイロ」に入れて蒸す。その時、下に敷
く網み目の粗い「布製繊維」は何でするのか?何段にも重ねたセイロの下
段から上昇する蒸気が上段のセイロへ昇り易い様、餅米を入れても重さで
隙間が保たれる工夫から生まれた技術である。更に昔は、すだれ様の編物
を敷いていたものだ。
 その時は下からの蒸気が通り易くする工夫として、餅米が詰まったセイ
ロの中央部を「へこませる」(くぼみを作る)ことをして蒸気の上昇をよ
りスムーズにした工夫がなされていた。
 仲々、餅米が蒸しあがらない時は、重ねたセイロの上段の蓋をめくり、
「湯水を手でパラパラ餅米上に散布」する。これは釜から上昇する蒸気量
が不足して、蒸しあがりが遅い時、不足蒸気量を補う手段として体得した
先人の知恵が伝承されているのである。
 セイロは当然の事ながら釜に近い下段から早く蒸し上がる。だから下段
から臼に対し杵で搗く事になる。上段も同時に蒸し上がると思うが、これ
も又、体得しないと身に付かない。蒸し上がった餅米を杵で搗く時も静か
に押し付ける様に杵で良くつぶし、米に“ねばり”が出てから徐々に力を
加えて搗くのである。餅米は次第に適度に繊維質分が杵で切断され、適度
な粘りけ有る餅に仕上がる。要は臼で作った餅は米の繊維質が全部、杵で
断裂しない為に適度な粘りを持った餅に仕上がる。
 ところが餅搗機で行うと、米の繊維質が100%ズタズタに断裂される
ために、ドロドロ状態の餅に仕上がる。
 ならば、100%断裂しない要、途中で止めると米粒が混ざった品物に
ならない餅となる。
 ここが近代技術の弱点なのである。出来上がった餅は伸板(台)に移し
小さく丸めた餅や大きな鏡餅や板餅とする訳だが、伸板には片栗粉や薄力
粉等を敷いて、餅の表面仕上がりを整えたり、手や伸板への付着を防ぐ。
 餅は決めたサイズにして製品とするが、餅はゴム風船を摘んで握り切る
要領で握り切る事が肝要である。
 きれに仕上げるには切り口が見えない様、餅下部に丸め込んで仕上げる
のがコツである。 
 これで一連の作業が終了する訳であるが、昔の先人はすごい経験則を取
り込み、一寸の違いなく完成させ、今に伝承したものである。
 私達の身の回りでは伝承される技能、技術は時代を共に変化して行くが、
伝承される技法の基本線だけは変質させる事なく守っていかないと、伝承
されるべき有形、無形の宝が何処かで消えてしまう。
 合理性、簡素比、省力化は時代に即応した良い便法ではあるが、そのう
ちに次第に失われて分からなくなる時代が来るかも知れない。
 本当にそれでいいのだろうか?考えさせられるのである。ともすれば分
散しがちな個々の心を結集して、行う何かが有ってもいい。
 山じまいの集いに参加する諸氏は、強い絆で結ばれている。
 有峰の森に、有峰村に残る伝承すべき有形、無形の文化をたやす事なく
今の時代に受け継いで行きたいものである。

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◆ねじばな便り   
 〜10月末の砥谷半島〜 中川 正次
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有峰には5つの遊歩道がある。湖の真南に位置するものからから時計回
りに並べると、東西半島、冷タ谷(つべただに)、猪根山、折立、砥谷半
島(とだにはんとう)。5つそれぞれに個性がある。今回は、砥谷半島。

10月29日、山じまい感謝の集いがあった。あるぺん村から車で乗せてい
って欲しいと頼まれていた岩崎さんに、「行事は、1時集合なので、ちょ
っと早いけど8時に、あるぺん村に来ていただけませんか。午前中、砥谷
半島に行ってみようと思います」とお願いした。
 二日前、高校同級生の川渕さんを誘うと、「行きたい」。川渕さんは、
有峰に行ったことがない。
 中学校のとき、学校から有峰でキャンプする行事があったが、折悪しく
休んで、それ以来、なんとなく有峰に名状しがたい感情を抱いているとの
こと。
 それを払拭すべく誘ったのである。そこで、岩崎さん、川渕さん、私の
3人で行くことになった。

 6時に家を出たとき、空に雲がなく、立山連峰がくっきり。これは、す
ごい日になりそう。ダム展望台に着いた。富山ナンバーの車が停まってお
り、ご婦人が二人、湖を見ておられた。街の靴をはいておられたので、遊
歩道を歩くにはちょっと難があるなと見てとった。

 中川:いい天気で、気持ちがいいですね。
 ご婦人:もう、紅葉は終わったみたいですね。幻滅しました。神岡のほ
うへ抜けようと思いますが、岐阜県の紅葉はいいでしょうかねえ。
 中川:そうですかねえ。有峰は、今、きれいな紅葉だと思います。桜の
満開のように紅葉はピークがあるのではなく、1ヶ月あまり、美しい時期
だと思います。車に乗っていたらわからないことも多いです。私たちはこ
れから歩こうと思っています。よろしければ案内します。
 ご婦人:結構です。岐阜県へ行きます。
 中川:そうですか。(桐山の地図を指差して)このあたりが、ドライブ
してて素晴しい紅葉だと思いますよ。

 いつものことながら、自動車に毒された人が多いことを嘆く。ビジター
センターに寄ったあと、いよいよ砥谷半島に向かう。駐車場に着くと、福
井ナンバーの車が停まっており、年配のご夫婦がおられた。

 ご主人:有峰には初めて来ました。料金所でもらったこのパンフレット
を見てここまで来ましたが、この先、どんなですか? きれいですか?
 中川:砥谷半島遊歩道は、うちわのような形をしています。今、われわ
れは、うちわのもち手の一番下にいます。うちわの骨が開きはじめるとこ
ろに、展望台があります。その展望台までは楽な道です。うちわの開いた
ところを回る遊歩道は、ちょっとしんどいかもしれません。私たちは、全
部を回る計画です。そこまで行かずに展望台まで行って引き返されてもよ
ろしいかと思います。うちわを全部回ると、3時間近くかかりますが、展
望台までのその往復だと40分くらいです。一緒に行きませんか。有峰は、
出会い系ですから。
 ご主人:じゃ、展望台まで、連れて行ってください。

 うちわのもち手の部分は、尾根伝い。尾根を風が通り抜けるので、ブナ
などの葉っぱは落ちてしまっている。ブナ、ホオ、ミズナラなどの落ち葉
を踏む。かさかさという音と香り。木の幹・枝ごしの薬師岳。普段は、見
えない光景。カエデやナナカマドの赤、カラマツやブナの黄色、そして青
空。福井のお二人は、普段から里山歩きをなさっているとかで、元気その
もの。5人の会話が弾む。

 10時ごろ、展望台に着いて、オカリナで少年時代。

 中川:これから、ちょっとしんどい坂を上り下りして、湖畔を回ります。
一緒にいかがですか。
 ご主人:福井で7時に会合があるんだけど、間にあいますかねえ。
 中川:歩き終わったら、12時になっていると思います。それから、有峰
→立山インター→北陸道なら楽勝です。
 ご主人:岐阜に回れませんか?
 中川:有峰→高山→東海北陸→小矢部ジャンクション→北陸道でも、福
井に7時は、十分、間に合うと思います。
 ご主人:ここの景色は最高です。とても楽しいですから、7時に間に合
うようなら、連れて行ってください。

 湖畔をめぐる周回コースの上り下りは心地よい。雲ひとつない。さざな
みが、日光に輝く。

 5つの遊歩道のうち、砥谷半島を歩く人の数は下から数えて2番目だろ
う。一番少ないのは折立だろう。少ない砥谷半島を歩く人のうちで、うち
わのもち手部分の往復で終わる人が9割以上だろう。この往復は、薬師岳
も見えず、それほど展望がいいわけではない。そのため、湖畔の周回コー
スのよさはわかっていつつも、私は、砥谷半島を低く評価していた。
 しかし、10月末の砥谷半島は、薬師岳が、葉っぱを落とした枝越しに見
え、美しいことを発見した。5分ずれていたら、福井のご夫婦との出会い
はなかった。メンバー、天候、全てにおいてドンピシャの砥谷半島遊歩道
であった。神が存在すると感じるのは、大げさなのだろうか。

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◆10月に寄せられた俳句               有峰森林文化村
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 村民の方々から俳句ポストに寄せられました10月の良い句を中坪達哉
さんに選んでいただきました。

俳句ポスト10月分 入選   中坪 達哉 選

茶をふるまうカセットコンロ照紅葉    中川 正次

うっすらと湖もまた紅葉して       山崎むつ子

有峰の紅葉明るし遊歩道         大原 茂政

どんぐりをひらうまごのてあたたかき   谷井 富子

山頂に昇る朝日も秋のもの        河原 芳博

折立路もみじ漂う中を歩す          同

秋雨に波立つことも有峰湖          同

花イグチ破顔一笑有峰路           同

オカリナが聞こえ紅葉の散りにけり      同

落葉踏み仲間と歩く身も軽く       酒井 淳子

行く秋や永遠の木に恥じる年重ね     山橋 信夫

湖の紅葉に染まりみな笑顔        高木 葉子

青空に光り輝く秋の湖          岩崎千鶴子

話し声をかき消す音も落葉踏み        同

ありみねのもみじをあるくたのしいな   佐藤 未唯

てっぺんより見る山もみじきれいだな   中野 安菜

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◆有峰林道の閉鎖にあたって             有峰森林文化村
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 有峰林道は、例年のとおり6月1日に開通し、11月12日に閉鎖しました。
(ビジターセンターも同日に閉鎖しました。)
 この間、有峰の清らかな水と緑豊かな森の大自然に触れようと、有峰へ
多くの皆様に来ていただきありがとうございました。
 有峰は、間もなく厳しい冬を迎え、動物たちだけの静かな世界となりま
す。
 今年の有峰は、ブナ、ミズナラの実が多くつき、豊作でした。
 有峰の熊さんたちも木の実を沢山食べ、冬眠の準備ができたことと思い
ます。
 来年の春には、新しい命が芽生え、私たちを新たな感動の世界に送って
くれるものと、期待で一杯です。
 有峰森林文化村としましては、これからも皆様とともに、有峰の清らか
な水と緑豊かな大自然の森を守り、育て、森林文化を次世代に引き継ぎた
いと思っています。
 有峰村民の皆様方のご指導・ご協力を心からお願いいたします。

 来年も、多くの皆様が訪ねて下さるのをお待ちしています。

<平成23年度 有峰森林文化村スタッフ> 
田上 十志郎  山本 章弘  宮原 真樹
水野 博之   矢野 昌子  前崎 定男

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◆編集局からのお願い
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・ホームページ”ありみネット(http://www.arimine.net/)

  /文化サークル活動所/有峰デジタル画廊"にどしどし 投稿をお願いし
 ます。(デジタル写真でも絵画(写真に撮って)投稿ください。)

 有峰森林文化村新聞は村民の交流の場として利用してください。

 皆様からいただいた情報やご意見、感想を掲載しますので、どしどし
投稿ください。お待ちしております。
あて先は
Eメール:info@arimine.net