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ありみネット http://www.arimine.net/

有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2011年10月22日 第244号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/田上十志郎
(発行日現在の有峰村民人口:736人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆有峰村民によるリレーエッセイ第27回
 〜有峰の食材に欠かせない「ワサビ」〜       源田 義一
◆ねじばな便り   
 〜若いときから、青き山、清き水を守るために志を立てる社会〜
               中川 正次
◆10月の行事予定          有峰森林文化村
◆編集局からのお願い                有峰森林文化村
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◆有峰村民によるリレーエッセイ第27回
 〜有峰の食材に欠かせない「ワサビ」〜 源田 義一
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有峰湖は満々と水を蓄え、今は大きな人工湖となっている。有峰湖が無
かった年代、今の有峰湖の湖底の川の流れ、周囲の様子はどのような光景
だったのだろう。
 今の湖下の河川や川の両岸から流れこむ何本もの谷、そしてその地で生
活していた有峰村の人々、住居する家のスタイル、生活スタイル、田畑や
山林はどんな様子であっただろうかと想像すると心がワクワクして来る。
 和田川に流れ込む谷の水。それを集めて流れる川はどんな様子だったか。
恐らく河川や谷から流れこむ水は清く澄みきっていたであろう? 
 この河川にどんな魚が生息していたのだろうか? この河川の周辺にど
んな山菜が自生していたのだろうか?
 有峰ダムの標高はほぼ1000m前後だから、河床の標高は500〜7
00m位である。河床の流れには岩魚やヤマメ等の魚が住み、有峰村の人
々の数々ある食材の蛋白質の供給源の一つとして、大切にされて共存して
いたに違いない。他には熊やキツネ、野ウサギ等も又、大切な蛋白質の供
給源であったであろう。
 他方、山の生活の植物性栄養源は山菜や野菜加工した漬物等が重要な食
生活の中心食材で有ったであろう。生活の中に於ける“チエ”として、食
事に欠かせないスパイスとして、ワサビ、ノビル、山のイモ、ネマガリダ
ケ、ワラビ、ゼンマイ、ミョウガ、フキ、タラの芽、ウド、ヨモギ、アサ
ツキetc等の所謂、山菜類が季節の移り変わりに併せてとり入れられ、用
いられていたに違いない。
 また、食用だけでなく、所謂、民間薬としても山の草、木々等が経験か
ら効果的に利用されていた事であろう。
 山深い食卓に出される優れたスパイスは?と言ったっら、山菜の一つで
ある”ワサビ”であったに違いない。元来、ワサビと名前の付く物には、
沢ワサビ、畑ワサビ、ユリワサビ、アイヌワサビ等が有る。
 通常ワサビといえば、沢ワサビ、畑ワサビのことを言う。今日、ダイコ
ンを摺り下ろした中に、ワサビの成分を混合した偽ワサビもあるが。沢ワ
サビが育つ条件は奇麗で豊富な水が年間を通じて温度変化も少なく、所謂、
湧水のあるところが最とも適地となる。
 作土は通常の作物の土と違い通気性、透水性があって、養分を含んでい
る土が良い。
 従って、山の崩落した土とか、山中から流れ出た土、あるいは谷川の淀
みに溜まった砂れきで構成された土が良いとされる。
 ならば渓流水が良いのでは、と考えてみるがこの水は季節による温度変
化が激しいので、水温を一定に保つ事が難しく自生しない。だから山深く
入れば、谷や川の水が冬季に凍結するので、この条件では自生出来ないの
である。
 最適な標高は200〜800m位で、有峰湖底を流れていた和田川や流
れこむ谷スジには沢ワサビが自生していたものと考えられる。
 この自然の恵みを有峰の人々は有効かつ大切に生活の中で取り入れ食卓
を華やかな物にしていたに違いない。
 ワサビは根茎しか利用出来ないと思うかもしれないが、捨てる所が無い。
葉、茎、根等、全部利用出来る。
 さて、あの辛味は何処から来るのか?。寿しを食べた時、刺身を食べた
時、快い香りと弾力な辛さを感じるのはワサビが加水分解されて、特有の
成分を出すことに依る。(ここから少し難しくなるよ!)
 摺り下ろしたワサビの辛味の主成分は、「アリルからし油」なるものに
依る。ワサビを摺り下ろす前までは、根茎、葉の表皮と皮層の間の細胞内
に辛味の無いブドウ糖が硫酸カリウムとくっついた形で存在している。
 摺り下ろしたり、細かく刻んだりすると同じ細胞の中にある「からし油
配糖体シニグリン」と言う物質が、加水分解酵素であるミロシナーゼの作
用で加水分解されて「からし油」に変わる。すると「からし油」、「ブド
ウ糖」、「硫化水素カリウム」の三つの成分に分かれて生成される。
 この「からし油」がツーンと辛く感じるのである。「からし油」は揮発
性なので鼻先をつき抜ける様な辛味を感じる。
 しかし、その辛さは鼻先をつき抜ける程度で、口の中にいつ迄も残る
“ナンバ”(とうがらし)の様な辛さではなく“さわやか”である。
ものの本に依れば、1800年の文化時代に押し寿しを商う店で酢で鯖の
生息味を消すのにワサビが使われた。
 又、文政時代の初めにコハダや海老の切り身にワサビをはさんだ「にぎ
り寿し」が考えだされたと有る。
 これは食べた時の“ツーン”と来る辛味と香り、風味が辛味と同時にわ
ずかな時間で無くなってしまう感じと、消毒、殺菌作用がある事で江戸時
代にヒットしたと言われている。   
 有峰の人々も川で採れる岩魚、ヤマメを塩焼きにしたり、刺身にして利
用する時、ワサビを薬味として利用し、自家製の“ソバ”の薬味として、
ワサビを使用した塩漬け物、味噌漬け物等やワサビモチに利用していたに
違いない。
 ワサビは風味と消毒、殺菌作用等を併せ持ち、山奥の素朴な生活の中に
風味のある食材として、又、ワサビが生活の知恵として溶け込んで利用さ
れていただろう。
 一つの山菜”ワサビ”、山深い生活の中の食材スパイスとしての象徴で
あるワサビを取り挙げて、今はなき有峰の湖底に沈む土地での人々の生活
や文化等に思いを巡らすのである。
 
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◆ねじばな便り   
 〜若いときから、青き山、清き水を守るために志を立てる社会〜
中川 正次
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藤井智加さま

 7月30日の村仕事の集いのとき、焚き火を囲んでの「友よ」(バイオ
リン:智加さん、ギター&歌:私、コカリナ:徳子さん、オカリナ:陽加
さん)、楽しかったですね。

 私の頭の中では、福島の原発事故のことがずっと占め続けています。
 ところが、テレビを見ていると、難解な漢字をどうよむかといったクイ
ズ番組や、どこどこにおいしいレストランがあるだの、競技スポーツを通
じて元気をもらうといった内容ばかりで、原発問題を薄めようとしている
ように思えてなりません。
 「がんばろう」といった掛け声はいっぱいありますが、「よく考えてみ
よう」という掛け声はほとんどありません。
 振りかえって考え直してみるという執念深さが足りないのではと思いま
す。
 本を読んだり、手紙をやりとりしたり、それこそ有峰の遊歩道を歩きな
がら話をしたりといった、古典的な学びが必要と思います。「日本は資源
のない国」という設定に問題があるのではないかと、私は考えています。
 こんな話をすると、「ふるさと」の3題目に、思いが広がります。

 志をはたして いつの日にか帰らん 山はき故郷 水はCき故郷 こ
の曲が発表されたのは大正2年です。「旧制高校や海軍兵学校、陸軍士官
学校などへ進み、それなりの立身出世したけれども、それがどうだという
のだ。やっぱり山の青くそして水の清い故郷に帰りたいなあ」と、私は解
釈します。陶淵明の「帰去来の辞」の発想ですね。東洋だけではなく、ヨ
ーロッパでも共通の考えでしょう。

思い出すのは、山森直清さんのことです。
http://www.arimine.net/annai/paper20081101.htm
小見小学校から旧制富山中学、そして海軍兵学校に進み、沈没した戦艦大
和から奇跡の生還をした山森さんは、私にこう話されました。

「戦争が終わって、北陸電力に入った。有峰ダムを作るときは、安全管理
の仕事をした。自衛隊ができたとき、来ないかと誘われた。もし、自衛隊
に行っていたら、それなりの地位についていたかも知れない。
 しかし、私は、名前が山森なので、山や森を守ることが私の使命と考え、
断った。今でもその選択は間違っていなかったと思っている」

 都会に出て、年をとってから、青き山清き水が待っている故郷へ帰るの
ではなく、そもそも若いときから、地球全体の青き山、清き水を守るため
に志を立ててもらう社会になってほしいと思います。勇気ある智加さんの
心根の一部に、西谷や真川の姿があるとしたら、こんなうれしいことはあ
りません。

"注" 
藤井智加さんは、雅文・徳子さんの長女(5人兄弟の一番上)。
UWC(ユナイテッド・ワールド・カレッジ)という制度があり、アメリ
カニューメキシコ州のアメリカン・ウェスト・カレッジに2年間の留学を
この8月末からはじめた。そのため、富山中部高校を2年で中退した。
http://www.keidanren.or.jp/japanese/profile/UWC/index.html
http://www.arimine.net/annai/paper20101127.htm


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◆10月の行事予定                 有峰森林文化村
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○10月22日(土)・・・・・・・・・・日帰り語り部講(老田公民館)
○10月23日(日)・・・・・・・・・・・・ありみね高校生学びの森
○10月29日(土)〜30日(日)・・・・・・・山じまい感謝の集い
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◆編集局からのお願い
・ホームページ”ありみネット(http://www.arimine.net/)

  /文化サークル活動所/有峰デジタル画廊"にどしどし 投稿をお願いし
 ます。(デジタル写真でも絵画(写真に撮って)投稿ください。)

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 皆様からいただいた情報やご意見、感想を掲載しますので、どしどし
投稿ください。お待ちしております。
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