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有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2010年11月27日 第221号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/羽座千敏
(発行日現在の有峰村民人口:721人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆オレゴン有峰往復書簡第99回目 有峰からオレゴンへ    中川正次
   〜「速く・たくさん・楽に」からの離脱〜
◆有峰村民によるリレーエッセイ第6回
 〜ありみね高校生学びの森に参加して〜    藤井智加
◆11月に寄せられた俳句
◆有峰林道の閉鎖にあたって
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◆オレゴン有峰往復書簡第99回目 有峰からオレゴンへ    中川正次
   〜「速く・たくさん・楽に」からの離脱〜
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有峰は、いろんな樹相の森を持つ。一番人気が高いのは、ブナの広がる西
谷である。

私は、毎日、30分から1時間、ギターの稽古をしている。月に2度、レッス
ンに通っている。先生から課されたことを、2週間でなんとか出来るよう
になろうと稽古している。

ギターは、右手でジャンと鳴らし、左手で弦を押さえる。右手は単純な往
復運動をしているのではない。強弱のアクセントを入れるだけでも難しい。
その上、左手の押さえ(コード)が、G7だのFだのとあれこれ変わる。
弾き語りの時、マイクは正面の音しか拾わない。歌いながら、左手の押さ
えを目で確認しようとすると、口も左を向くので声がマイクに入らなくな
る。だから、指を見なくてもきちんと押さえられなければならない。

毎日練習しているとなんとかできるようになる。これは、頭の中に回路が
できるからだ。若ければ、素早くできるようになるのだろうが、私は凡庸
なので、回路が形成されるまで何度も何度も繰返しが必要である。それで
も2週間で、なんとかなる。もちろん、2週間でなんとかなるような、ほの
高い課題を先生が設定しているからである。

頭の中の回路に関し、驚くのは、中坪達哉さんである。「辛夷」という俳
句雑誌を毎月発行するために、投稿されるたくさんの俳句に目を通し、句
会を開き、編集しておられる。中坪さん自身の俳句やエッセイも載ってい
る。北電からの帰宅後、夜はもっぱら俳句である。中坪さんと、年に一度、
西谷に行くことを続けているが、中坪さんの言語に関する頭の回路がすご
い。歳時記がつまっている。私が原石を含むかどうかわからない愚作を披
露すると、あっという間にきちっとした俳句に推敲される。若いときから
の精進が、言葉を瞬間に検索し結びつける回路を作ったのだ。足腰や心臓
はわからないが、90歳ぐらいまで、頭はすきっとしたままの人生を送られ
るのではないかと思う。

頭の回路開発のいいところは、例えば、私のギターが下手のままで終わろ
うと上達を遂げようと、中坪さんは痛くも痒くもないことである。俳句に
おいて、中坪さんに私が仮に肉薄しても、追い抜いても(ともにあり得な
いことだが)、中坪さんがちっとも悪い感情を持たれないことである。音
楽・お絵かき・お習字・文学・スポーツ・園芸などいろんな分野があるこ
とから、頭の回路のよしあしは、単純な一本のものさしで自慢しあうもの
ではない。同じ分野であっても、熟達者と初心者の間に、奪い合いや嫉妬
を招かない。

速く移動したい・たくさん所有したい・楽をしたいという欲望が世界を突
き動かしている。その象徴が自動車である。最初は、国内で、ぼちぼち売
れ始めるが、そのうち加速していく。自動車なんていらないという社会だ
ったのに、自動車がないと暮らせない社会にしていって、巧妙に市場を広
げることもある。そのうち行き渡ってきて、壊れた自動車の分しか新しい
自動車が売れなくなるようになると、市場は停滞する。そこで、海外にフ
ロンティア(辺境)を求めて出て行かなければならなくなる。海外に出て
行くぐらいでなければ、輸入車に国内市場を荒らされるということも起こ
る。

このように「速く・たくさん・楽に」が主流の経済は、その周辺にフロン
ティアが必要である。市場と資源のフロンティアである。さらに、Aとい
う国とBという国のフロンティアのぶつかり合いが起こると、戦争になる。
戦争で死ぬ人と、戦争によって市場や資源を確保したい人は別の人のこと
が多い。その矛盾を、いろんな言葉でごまかすこともある。

ギターや俳句のように、頭の中に新たな回路を作るというのもフロンティ
アの開拓である。この頭のフロンティア開拓は、いかに開拓しても他人に
迷惑をかけない、地球環境への負荷がない、戦争の原因になることはまず
ない。同じフロンティア開拓でも、「速く・たくさん・楽に」系は、幸せ
を呼ぶことは呼ぶが、同時に嫉妬や貪欲を呼び、不幸をも招く。その最た
るものが戦争である。殺人は、本来、罪であるが、戦争になると罪でなく
なる。多くの科学技術が、「「速く・たくさん・楽に」に躍起である。

私たち現代型新人は、20万年前に生まれた。森から出て、1万2千年前に
農業を始めたことから、人口が増え始めた。縄文時代は1万5千年前、弥生
時代は3千年前。産業革命からは300年も経っていない(参考:環境と文明
の世界史)。限界が見えてきた。ネアンデルタール人は、温厚な性格だっ
たらしい。現代型新人は、「速く・たくさん・楽に」が大好きである。人
類が永続していくために、フロンティアの対象を、市場や鉱物資源や金銭
ではなしに、頭の中に変えていくことはできないものか。科学技術のあり
方も今のままでいいのか。

有峰森林文化村村長の梅原猛さんは、「親鸞の告白」という本の174ペー
ジに、「人類が5千年前に始めたあの文明そのものが誤謬であったかも知
れない」と書いておられる。有峰西谷は安定した森である。この森の中に
自分を置くと、梅原さんの言葉を考えてしまう。

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◆有峰村民によるリレーエッセイ第6回
 〜ありみね高校生学びの森に参加して〜    藤井智加
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私は今年初めて、「ありみね高校生学びの森」に参加しました。
有峰にはこれまで休日や夏休みに家族で遊びに来たことがあり、有峰の森
や動物が大好きだったので参加しようと思いました。

活動は3回あり、夏休み中の2泊3日の宿泊学習の際には、ネズミの捕獲調
査、昆虫採集、有峰内の散策などを行いました。

講師陣は高校の生物の先生やスペシャリストの方々で、自分たちだけで歩
いていてはわからないようなことや動物の足跡や糞、植物のことなどたく
さん教えていただきました。

今年は熊が多数出没しているということで、家の近くでさえ薄暗い時間帯
は外にでないよう注意されていますが、熊の生活場である有峰では万が一
襲われそうになったときのための対策がとられていたため、安心して熊の
形跡を探したりして、熊を身近に感じることができました。

今年、各地で熊の食料となるドングリなどの木の実のなる木がダメージを
受け、山から下りてくる熊がたくさん殺されてしまっているのに対し、有
峰の木のダメージは他ほどではないと聞き、さすが有峰と思いました。

熊はドングリを冬に備えてたくさん食べるので、道路に落ちていた熊の糞
はドングリの搾りかすのような色をしていて無臭でした。友人が早速、携
帯で写真に撮ってメールに添付していました。

ネズミは捕獲した後身体測定し、捕まえた場所へ帰しました。ヒメネズミ
とアカネズミという種類のネズミとヒミズをそれぞれ生活環境の違う場所
で捕まえました。

ヒメネズミはアカネズミよりも小柄で尾が体長よりも長いのが特徴です。
木の上で活動するため、尾でバランスをとるためです。それに対し、主に
地上で生活するアカネズミはヒメネズミよりも大柄で尾よりも体長のほう
が長いです。

種類は一瞬見ただけではわかりませんが、よく見ると一匹一匹違います。
ネズミは天敵に尾を捕らえられたとき、尾の皮の部分だけを残して逃げて
いくので、捕まえたネズミの中には尾が切れているものや、ワナに尾だけ
を挟んで逃げていったネズミもいました。

熊が危険を承知で人の近くへ食べ物を求めてくるように、ネズミも一生懸
命に生きているのだなと思いました。

他にもたくさんのことを体験させていただきましたが、どれも学校の授業
ではできないようなことばかりですごく勉強になり、本当に楽しかったで
す。

今度有峰に行くときは、私が兄弟や友人たちに、有峰の自然や動物たちの
ことを教えてあげたいと思っています。

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◆11月に寄せられた俳句
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有峰村民の方々から俳句ポストに寄せられました11月のよい句を中坪達
哉さんに選んでいただきました。これからも優秀な作品を毎月掲載します
ので、有峰へお越しの際はビジターセンターへお立ち寄りいただき、俳句
ポストに投稿してください。 

11月の「有峰俳句ポスと」入選句      中坪 達哉 選

エメラルド沈めて秋の有峰湖      出口 恭子

団栗を摘むや灯(とも)しを消すごとく  大井 孝行

越ゆるたび水皓々(こうこう)と沢の秋     同

どの樹にも天辺ありて霧流る        同

雪降るや納め吟行投函す        河原 芳博

雪囲い始まりハウス窓消えて        同

ヘキサンボぬくもり求め蒲団にも      同

雪が舞う猪根平を鳥急ぐ          同

誰も来ぬ白銀世界とはなりぬ        同

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◆有峰林道の閉鎖にあたって
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 今年の有峰林道は、小見線が土砂崩れの復旧工事及び新ニンニクトンネ
ル建設工事のため通行止となり、富山県側からは小口川線のみの通行とな
り、多くの皆様にご不便をお掛けし、申し訳なく思っています。
 これからも安全を最優先に林道管理に努めてまいりますので、皆様のご
理解・ご協力をお願いいたします。
 なお、来年は新ニンニクトンネルの開通により、一層安全にまた快適に
有峰へお越しいただけると思います。

有峰は、間もなく厳しい冬を迎え、動物たちだけの静かな世界となりま
す。今年の有峰は猛暑の関係でしょうか、多目的広場の芝生がイノシシに
より大変な被害を受けました。
 また、ブナ、ミズナラの実が少なく、平野部に多くの熊が出没しました。
有峰では例年東西半島・砥谷半島で多く見かける熊棚が、今年は桐山・大
多和峠で多く見かけました。熊たちもなんとか、越冬の準備ができたのか
と思っています。来年の春には、新しい命が芽生え、私たちを新たな感動
の世界へ送り込んでくれるものと、期待で一杯です。

 有峰森林文化村としましては、これからも皆様とともに、自然豊かな有
峰を守り・育て、次世代へ引き継ぎたいと思っています。有峰村民のご指
導・ご協力を心からお願いいたします。

 来年も、多くの皆様のお越しをお待ちしております。

<有峰森林文化村職員>

 羽座 千敏  宮原 真樹  水野 博之  
 河原 芳博  矢野 昌子  山本 章広

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稿ください。お待ちしております。
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