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ありみネット http://www.arimine.net/

有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2010年10月2日 第217号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/羽座千敏
(発行日現在の有峰村民人口:708人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆オレゴン有峰往復書簡第95回目 有峰からオレゴンへ 中川正次
〜常願寺川左岸、上野の黄昏 〜
◆有峰村民によるリレーエッセイ第3回
 優しいママに大変身 〜有峰は魔法の森〜      酒井久美子
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◆オレゴン有峰往復書簡第95回目 有峰からオレゴンへ 中川正次
〜常願寺川左岸、上野の黄昏 〜
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9月11日土曜日に有峰日帰りした。一緒に行ったのは、山内文成さん智子
さん夫婦。智子さんは、高校の同級生。彼女の愛着の森対話編の相手であ
る、豊穣樹(トチノキ)に行くのが最低限の目的。私の車で、水須から有
峰林道小口川線に入り、猪根山遊歩道、真川の川遊びをして、小口川線を
帰った。猪根山遊歩道で、お約束の豊穣樹定点観測をした。今日の話の本
題はそこにはない。

往路は、あるぺん村→水須のルートをたどった。常願寺川の右岸を走る主
要地方道富山・立山線である。復路は、左岸を走る主要地方道富山・上滝
・立山線を選んだ。あるぺん村の対岸の道である。この道をわかりやすく
言うと、上滝から常願寺川にかかる立山橋の手前で右折し、富山地方鉄道
の踏切を渡って大川寺(だいせんじ)のほうに行き、常願寺川の左岸を走
り小見に通じる道である。

この道、眺めがいい。
http://www.arimine.net/annai/paper20091031.htm
で報告したとおり。

いよいよ、新町橋で二人に景色を見せようと思っていたが、薬師・立山・
剣・毛勝三山といった山々が見えなかったので、あっさり通過。車中、四
方山話が、盛り上がっていたこともある。

新町橋を過ぎて、上野(うわの)の台地に入った。河岸段丘の上に広がる
一面の田んぼの中を県道が走る。家はない。時刻は5時半ごろ。太陽の光
が、雲の加減で、黄色の強いだいだい色になっていた。その色に、稲穂、
道、空、そして空気までもが染まっている。サングラスをかけているよう。
ミレーの晩鐘のよう。ムンクの叫びのよう。3人は、車から降り、無言で
深呼吸した。と、いいたいところだけど、「すごい! すごい!」と口走
りながら走り抜けただけ。

ここから先は、山内さんたちに話さなかったことである。

上野出身の北陸電力OB高堂敏春さん(元、有峰森林レンジャー)が、「う
まい米のとれるところなんだけど、水がない。昔は、水を汲んで運んだ」
と話しておられた。水は、有峰の水である。有峰ダムで貯められた水は、
いくつもの発電所で電気を起こしたあと、小俣ダム(水須連絡所の手前の
ダム。1962年完成)に入り、そこでも電気を起こした後、上野用水に入り、
田を潤している。上野用水は1965年から67年にかけて、改修された。高堂
さんの話とつじつまが合う。そもそもあの高台に田んぼを開墾し水を引く
とは、どんなに大変だったことだろう。

上野の台地の北の端に、大川寺がある。禅宗の寺で、旧有峰村の人々の菩
提寺である。この寺の大きな行事は、毎年5月に行われる大川寺山三十三
観音順拝である。周辺の三十三の観音様を、お坊さんたちの後をついて参
り、般若心経を唱えて順番に回るもので2時間ほどかかる。富山市指定文
化財の一つである冑権現(かぶとごんげん)が、この寺にある。これは、
三十三年に一度しか開帳されない。最近のご開帳は2004年であった。
2004年は、三十三観音順拝のあと、参拝者と一緒に冑権現のご開帳を見た
あと、ご住職の許可を得て有峰トランプ用の写真に撮らせてもらった。実
際に撮ったのは、有峰トランプを請け負ったファインプロジェクトの中山
真由美さんである。誰がどんなふうに頼んでも、三十三年に一度しか開帳
しない、その間は写真撮影も不可という大切な宝物なのである。観音様で
は三十三が大事な数字である。
http://www.arimine.net/annai/paper20040501.html

話を、三十三観音順拝に戻すと、途中で、1996年まで富山地方鉄道が経営
していた大川寺遊園地の跡地を通る。河岸段丘の崖の縁に、1958年(昭和
33年)富山国体に行幸された昭和天皇がそこから景色をご覧になった建物
(廃墟)がある。絶景。立山連峰・富山湾・常願寺川右岸の田んぼが見渡
せ、眼下に常願寺川が流れている。

昭和天皇には、建設真っ盛りの有峰ダムの説明があったかも知れない。
「あの右手奥に見えます薬師岳の麓に北陸電力が有峰ダムを建設中です。
あと2年ほどで完成です。22万2千キロワットの電気を起こした後、田
畑を潤し、富山市の飲料水になる命の水でございます」なんて。この部分
は私の空想。

新聞の原稿を書こうとするといろんなことを思い出すが、山内さんたちと
は、黄昏の中で「すごい! すごい!」を絶叫していた旅だった。偶然は
必然。


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◆有峰村民によるリレーエッセイ第2回
優しいママに大変身 〜有峰は魔法の森〜     酒井 久美子
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有峰の森での、村仕事キャンプ(7月3日〜4日)に参加して、もう3ヶ
月近くたちますが、今でもその時のことを思い出すと心がほんわか温かい
気持ちになります。

あいにく雨の有峰でしたが、雲がかかった有峰湖は、とても幻想的で何と
も言えない神秘的な感じがしました。

とにかくキャンプは楽しかったです。

下草刈りのお仕事の間、小さな子ども達は、森の中でのフルーツポンチ作
り。白玉団子をこねたり、果物を切ったりと小人さん達も大活躍。

すいかを切りながら、どんどん小人さんの口の中に入っていく様に、思わ
ずくすっ。「そうだよね、おいしいものはまってなんかいられないよね」
約束とか決まりとか、大人が勝手に決める細かな決め事が、この雄大な森
の中では、本当はどうでもいいものに感じてしまう私でした。

日々子どもの本質を忘れ、子どもをがんじがらめにしている嫌な大人にな
っていた自分に気づかされる一瞬でした。

そんなことを感じながら、私も一緒につまみぐい。おいしかったです。森
の中で食べるフルーツポンチの味は、格別でした。目に映る雨に濡れる美
しい木々もごちそうでした。

また、森の中を走り回る小人さん達が本当にかわいらしかったです。雨な
んかへっちゃら。テレビもおもちゃもゲームも何にもなくても、小枝と葉
っぱと石ころと水たまり、全部が子ども達の感性をくすぐり素敵な遊び道
具になってしまう。

そんな様子を見ると、やっぱり子どもは天才だなと改めて感じます。子ど
もが体も心も、五感を全部使って遊ぶ様子を見ると、これが子ども本来の
姿と感じ、心の底から嬉しくなりました。

うちの4歳の娘も、すっかり森の小人さんに大変身していました。

翌日は「森のこども園」を主催していらっしゃる藤井さんのミニ講座があ
りました。カナダやドイツの子育て事情、シュタイナー教育のお話がとて
も興味深かったです。

カナダやドイツでは、もっと身近に森があり、生活の中に自然があるいう
ことが印象的でした。富山にも、たくさん山々があって、水田があり畑が
あるけれど、子ども達の生活に自然があるだろうかと思うと・・・ちょっ
と寂しい気持ちがします。

小さなゲーム機の画面を複数の男の子達がながめている姿があちこちで見
られ、ため息がでることがあるからです。

今、私たち大人が子ども達と一緒に何ができるだろうと思った時、「森へ
行こう」その一言につきるような気がします。森に行けば、子どもも大人
も元気になることができる、我が家ももっと森へ行こうと大切なことを気
づかせてもらいました。

キャンプから帰ってからの私は、有峰の緑やかわいい小人さんたちに癒さ
れ、また森で出会った素敵な人々に刺激を受けて、子ども達に「どうした
が、ママ優しいぜ」とびっくされるほど、とっても心穏やかな優しいお母
さんでいることができました。

でもその貯金がきれ始め、少々がみがみママに戻りつつあった頃、我が家
のポストに素敵なプレゼントが届いていました。中川正次さんからの絵は
がきでした。

4歳の娘は、キャンプで食べた笹で包んだおにぎりの絵を見て、「キャン
プの葉書だ」と大喜び。私がじっくり眺める間もなく、家の中を飛び跳ね
ながら、家族に見せて、その後彼女だけの宝物箱に大事そうに入れてしま
っていました。

もちろん今でも。まだ、字も読めない彼女ですが、中川さんの温かい心が
絵から伝わってきて、娘にとっても楽しかった有峰での思い出がまたよみ
がえってきているようでした。そして私も。

 有峰は、大人も子どもも癒してくれる魔法の森のようです。有峰でのた
くさんの出会いと小人さん達の笑顔に感謝です。ありがとうございました。

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