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有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2010年8月7日 第213号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/羽座千敏
(発行日現在の有峰村民人口:708人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆オレゴン有峰往復書簡第91回目 オレゴンから有峰へ 小杉礼一郎
〜「天の夕顔」雑感 1〜
◆有峰森林文化村ふるさと通信 宮原真樹通信員
◆「第8回有峰俳句の会」吟行作品
◆「平成22年度 有峰公開観察会」参加者募集
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◆オレゴン有峰往復書簡第91回目 オレゴンから有峰へ 小杉礼一郎
〜「天の夕顔」雑感 1〜
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 パウエルブックというとても大きな本屋がポートランドにあります。北
米ではミシシッピー川以西で最大の書店です。

これがあることがオレゴン人、ポートランドっ子の誇りとなっている。
そんな本屋です。私も大好きな場所です。
いったいどんな本屋なのか? 思いつくまま点描しましょう。

 一冊数千ドルの稀少本から雑誌まで古今東西世界中の本が並べられてい
る。書架の端々に椅子や腰掛が置いてある。立ってなんか読まないでゆっ
くり座って読みなさいよと。 
 
 新刊の隣に同じ古本が(その程度によって新刊の半値〜1/4で)並べて
売られている。古本の買取りもやっていて私も何回も買っては売りしてい
ます。

 90メートルx90メートル四方の街区全体が2〜4層建ての一つの建物にな
っている。 つまり街の1ブロックぜんぶが一つの本屋。 

 その中には軽食とコーヒー・お茶を飲むコーナーもある。客はコーヒー
を飲み、スコーンをかじりながら書棚から引っ張り出してきた本を読んで
います。勿論売り物ですね。

 読み終わったら書棚に戻します。中には朝からソファに寝そべって何冊
も読み通すツワモノもいます。 立ち読みや万引きはこの店にはあまり縁
が無いようです。

 さてここは一体本屋なのか、古本屋なのか、図書館なのか・・・ はた
またポートランドっ子の教養サロンなのか大いに謎な場所です。

しかしながらいつも沢山の客で賑わっていますし、少なくとも儲かっては
いるのでしょう。空港にもポートランド市内外に幾つか支店も出していま
す。

 昨年は日本の「Tsutaya」の研修団がこの書店の視察に訪れ、私はコー
ディネーターとして案内しました。

 最近は”Burns& Noble”や”Borders”という全米展開している大型書
店にも読書コーナーがしつらえてあったりしますが、このポートランドの
パウエルブックのアイデアを取り入れたと思われます。

 ちなみにポートランドの日本の本屋は郊外に「紀伊国屋書店」がありま
す。こちらはすべて新刊本です。 

 最近日本の各地にできている「ブックオフ」はポートランドから北へ車
で6時間、国境を越えカナダのバンクーバーまで行かねばなりません。 

 しかしながら、このパウエルブックには日本の古本コーナーもあります。
(日本に限らず各国の古本コーナーがあります。)

 コーナーと言っても高さ2.5メートル長さ10メートルほどの書棚が二列
ですからかなりの冊数の本が置いてあります。いわば「ポートランドの街
中にある日本の古本屋」といった風です。

 私は年に一度か二度自宅にある古本(日本語の本と英語の本)ダンボー
ル1−2箱をこの店に持ち込んで買い取ってもらい。

 それをメンバーカードにチャージしてもらいます。がその直後にはほと
んどは次の古本を買う代金に変わってしまいます。こうなるとここが一種
の貸本屋のようにも思えます。 

 まあ、そんな本屋さんがここオレゴンにあります。
 のっけから脱線しました。

 私が「天の夕顔」を買ったのはその日本の古本コーナーです。買った時
のことはまったく覚えていないのです。おそらく有峰との関わりができる
前だと思います。

 なんとなく(余り面白くなさそう)なその題名だけは知っていました。
おそらく名作なのにこんなに薄い(新潮文庫の百ページにも満たない)と
手にとったのは偶然だと思います。

 しかも安い($1.95)ということでshopping basketにいれたのかもしれ
ません。あるいは、今にして思うとカバーの絵に魅入って買ったのかもし
れません。

 奥付を見ると昭和二十九年発行(へえ、私の生まれた年だ)そして平成
十年六月七十七刷(やっぱ名作か)となっています。

 この本が世界的名著であるとも、文中有峰が出て来るとも知らずに買い、
そしてずっと読まずに本棚にありました。

 これを初めて読んだのはおそらく三年ほど前だとおもいます。(なるほ
ど有峰が出てくるな)と有峰に関しては仄かな印象しかありません。

 不思議な読後感でした。「文学」でなくすぐれた「文芸」作品と思いま
す。本を読んだというより芸術に近い何か上質な絵や調べに接した気分で
す。 

 それを一言であらわせないか?とあれこれ考えてみましたがうまい言葉
が見つからずにいました。がある日その本のカバーをしげしげと見ている
うちに「ああ、これだ!」と思ったのです。

 もう一度脱線してその絵の話をします。

 洋画家でしょうか、岡本半三氏のカバーの絵は荒々しい筆のタッチでど
こを写実的に描いたものでもないが、岩峰と背後の空 ―湧きたつ夏の雲
と太陽と青空―を思わせます。

 仰角が45度くらいの光景に思える不思議な絵です。 ゴッホやピカソで
もそんな仰角の構図は少ないでしょう。その構図だけでも心を囚われてし
まいます。

 つづけて魅入っていると剣岳の早月尾根上部か三の窓、八つ峰の上部の
景色が脳裏に浮かんできます。

 そして、その峰から峰をひょいひょいと歩いていた私の青春のひととき
も・・・ 素晴らしい写真を見せられたところでこうまで自分の胸の奥深
くに忘れられていた心象風景を引き出しはしないでしょう。


 その部分は何の迷いもなく岡本半三の心と絵筆を持つ手がほんの数十秒
で勝手に動いて描いたような本当に荒い筆の跡です。

 太陽なんか空の色と雲の色が混じってしまうことお構いなしにグリッと
六角形に筆を廻したようだし、岩の輪郭の線は、絵の具がにじみ、かすれ、
ぼけ、垂れることをなんら気にしていません。

 雲も雪も同様です。それが、一度でも実風景を見たことがある人の心に
鮮やかな印象を描き出すところはまさしくartの世界。つまりこの小説のあ
り方そのものです。

 さらにこの絵に魅入らされ?続けると、岩峰と雪と雲と太陽と空を描い
ていながら、実は天空を描いている。あるいは見る人がため息をつくほど
の天空までの遠さを見せる。そんな効果もあります。 

 「天の夕顔」では、主人公の兵役も結婚も、相方の長い結婚生活もほん
のわずかに行を割いて書いていて、それでいて作品としてその記述になに
も過不足を感じません。

 そして作者が読者に見せるものはずっと「天」というモチーフです。絵
と文芸、芸術として見事に一致しています。

 中河与一も岡本半三もすぐれた芸術家だと思いますし、こんな薄っぺら
い文庫本のカバーデザインをも妥協せずに極める仕事をした新潮社の装丁
室も相当なセンスの人達だと私は思います。

 脱線だけで終わってしまいました。(続く)
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◆有峰森林文化村ふるさと通信 宮原真樹通信員
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8月

 7月17,18日は、第3回目の“有峰わくわく自然探検“を行いました。

昨日まで梅雨空模様で昨年と同様な雨の下での行事かと思いきや、17日は
素晴らしいお天気と星空のもとでの自然探検、ナイトウオッチングを行う
ことができた。

わくわく自然探検は、ゆったりと有峰の自然を堪能していただきたいとス
タッフ一同工夫をこらしたスケジュールで楽しい2日間を過ごしました。

一般参加者を含む親子、東京からも駆けつけた参加者を含め、真川の水生
動物採集や森のネズミの観察、自然観察ビンゴゲーム、ナイトウオッチン
グ(灯火採集・星空観察)などを楽しみました。

始めて見るお餅つきでは、珍しいのか振りかぶるきねと臼のまわりを子供
たちが取り囲み餅つきを見つめておりました。

 さて、今月4日から“ありみね高校生学びの森”が始まった。

毎年、県下の高校生と講師による、有峰の自然を教材とする学習会を行っ
ており、今年で7回目を迎えました。

今回は参加生徒・講師総勢45名が集まり、動物が好きな方は動物班、植物
の好きな方は植物班に入り、それぞれの専門の講師と一緒に自然を教材と
するべく、採集や観察を行い、さらに深く解析・分析を行いました。

時には、森のネズミの体長など、測定中に逃げ出すネズミに全員追っかけ
っこが始まったりします。その時には生徒も講師もありません。

真川では、イワナを追ったり、水に飛び込み水泳を始める生徒まで出てき
ます。

3日目の最終日には報告会を行います。
そのため夜遅くまでパソコン、顕微鏡と格闘し目を赤くはらす生徒もでて
きます。

その報告は年度明けには、りっぱな報告書として毎年出版してきました。
今年はどんな報告が出てくるか楽しみです。

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◆「第8回有峰俳句の会」吟行作品
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7月31日(土)、8月1日(日)に開催された「第8回有峰俳句の会」の
作品を紹介します。

〔講師吟〕

渓川の流れ涼しく身を抜けて       中坪 達哉

〔入選〕

万緑や有峰の気を総身に         太田 硯星

夏わらび息ととのへて待つとせむ     菅野 桂子

秋のこゑ朽ち木の苔の辺りより      石黒 順子

釣舟草花の震へも沢の風         大井 孝行

夏草にひそむは兎まりこぼれ       金森める子

掌(てのひら)の泥吹き分けてタゴガエル  平井 弘美

夏雲へ点となりつつサシバかな      内田 邦夫

真昼間の翅ひしひしと夏の蝶       明官 雅子

夏惜しむ三千尺の地に立ちて       練合 澄子

ばーそぶじーそぶ連れ添うて夏もゆく   新井のぶ子

大蟻の立ち止まりては回り道       栗島くり子

万緑を切り分け下(くだ)る導水管     木本 彰一

杖ついて殿(しんがり)を行く夏木立    澤田 宏

長靴にわたる夏川心地よし        羽座 千敏

腐葉土をふんわりと踏む登山靴      水野 博之

夏霧の林道ゆけば花白し         矢野 昌子

木々の中風の風鈴鳴り響く        山本 章広

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◆「平成22年度 有峰公開観察会」参加者募集
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富山県の避暑地、“有峰”で、フィトンチッドをたっぷり浴びませんか。
生物学会員が、ブナ林と針葉樹林を一緒に車道を歩きながら、林の構造や
働きなどを観察し、解説します。

林の中がどんな様子なのか、温度や照度を実際に調べてみましょう。
また、午後からは林を支える土壌をつくる生き物たちを観察します。
虫眼鏡で、小さい生き物たちを見つけよう。

主催:富山県生物学会

場所:富山市有峰
   (標高1100〜1400mに位置する祐延・猪根平周辺の森林)

期日:平成22年8月28日(土)

日程・内容 8:30 富山駅北口出発 立山アルペン村9:10出発

  10:30〜12:20 祐延周辺のブナ林と針葉樹林の観察
  13:10〜15:00 猪根平周辺で土壌動物の観察
  16:00 立山アルペン村帰着 16:45頃 富山駅北口帰着

交通手段:小型貸し切りバス

集合:富山駅北口8:30 または 立山アルペン村9:10

経費:2000円(保険を含む)※小学生以下は半額

募集人数:約20名(先着順に締め切ります)

準備:白系の服装、はき慣れた靴、筆記用具、昼食、飲料水、雨具

連絡・申込先:氏名・住所・電話番号・乗車する場所(富山駅北口または
   アルペン村明記)を平内まで連絡ください。

 @メールの場合 yhira@nice-tv.jp 
 A往復はがきの場合 〒937-0815魚津市大海寺新71 平内好子宛

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