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有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2010年1月9日 第198号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/荻沢明夫
(発行日現在の有峰村民人口:685人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆オレゴン有峰往復書簡第78回目 オレゴンから有峰へ 小杉礼一郎
   〜逝く年来る年〜
◆有峰の一年 ―2008年編―  有峰森林文化村主任指導員 宮原 真樹
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◆オレゴン有峰往復書簡第78回目 オレゴンから有峰へ 小杉礼一郎
   〜逝く年来る年〜  
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思い返すに先日はじつに楽しい忘年会?でした。 
と書いても何のことか中川さんと私だけしか判らないので、これを読んで
おられる方たちのために、ことのあらましを書きます。

第一場。 師走28日の仕事納めの夕方、高岡駅で落ち合い私と中川さんは
万葉線に乗り新湊へ行きました。同地にいる高岡高校山岳部で共通のW先輩
を訪ねたのです。(中川さんは日本海学関係の集まりでこのところ何回か
顔合わせしている由)三人でとくと話す機会はこれが初めてでした。

新町口の駅を降りると先輩はこれも帰省してきた娘、息子さんらと車で待っ
ています。2人が車に乗り込むとすぐ川の駅へ向かいました。川の駅はロケ
ーションといい、山車の展示や写真展?など新湊の人たちや内川を訪れる人
たちが集うメス(中心、拠点の意)として絶好の施設のようにみえました。 

第二場。 建物を出て中川さんの案内で内川べりを先輩、中川さん、私の三
人でそぞろ歩きをしました。冬至の直後で、空はもう暗く、風もあり時おり
雨が落ちてくるという一見最悪なコンディションのように見えました。実際
は、濡れた景色のなか、家々の灯りや両岸に舫(もや)ってある漁船の灯火
が寂しいような、ほんのり暖かいようなえも言われぬ情景を醸し出しており
ました。先の便りのように両岸の家や旧い建物、船の連なり、ゆれる水面に
映る灯火がとても調和していて、なんかほっとする景色です。
それぞれにいい形の橋が街区の間隔に架かっていて情景をピッと引き締めて
います。

「小学校の時は、よくここで写生をさせられたよ」と先輩。

そうでしょう、納得です。有峰とはまるで正反対の水辺の景色ですが、これ
は、四季折々、朝や昼や夕暮れ時に何度でも訪れてみたい。ゴトゴトと赤い
電車に乗って散歩に来たい。と思いました。
中川さん、素晴しい場所へ連れて行っていただいてどうも有難うございまし
た。

第三場。 内川からの近くの居酒屋へ移り、そこで食べた魚料理のどれもこ
れも、どんなに美味しかったことか、クジラのこと、アメリカのことや中国
のことなど話も弾み料理もどんどん平らげました。(あえて繰り返しますが、
それはそれは美味いのです。さすが新湊) 

一番に食べた「ゲンゲの煮付け」ですが、調べてみるとやはりアラスカでも
獲れるフーリガン(ロウソクウオ、キュウリウオ)と同種ですね。アンカレ
ッジの近くの海では毎年5月ごろにこの魚がどお〜っと海から川に押し上がっ
てきます。この季節には沢山の人が一年分のフーリガンを捕まえに海辺に出
かけます。遠浅の砂浜で釣竿も網もいらず、バケツでザバッと水を掬うだけ
で何匹かづつバケツに入っている。「ザバッ」を何回か繰り返しクーラーボ
ックスがフーリガンでいっぱいになったら家に帰るそうです。なんともアラ
スカらしい。私は食べるばかりで獲ったことはないのですが。

第四場。 居酒屋での私の唯一の心残りはぶりが売り切れだったことでした。
残念がる私に先輩が「家へ来い。ブリ大根を食わしてやるよ」と言ってくれ
たので年末にも関わらす厚かましくお邪魔しました(持つべきものはよき先
輩)。先輩の家は網元なのでへんな魚だったら捌かない。いやそのブリ大根
の美味しいこと。私は一息で食べてしまい、中川さんはあきれていました。
恥ずかしながら、あれが富山県で育ち、オレゴンに暮らす者の口とお腹の赤
裸々な実態です。

先輩お気に入りのオーディオルーム(あるいはホームシアター、大画面高画
質のモニターと素晴しい音響設備の応接間)で、私達はブリ大根を頂きなが
らあるコンサートビデオを見ておりました。そして実は、ブリ大根が余興で、
そのビデオが主興(?)だったのです。

それは、2002年に行われた一度きりのコンサート『フォーク・クルセダース
新結成記念解散音楽會』の全録画でした。昨年亡くなった加藤和彦、北山修、
そして板崎幸之助の三人で代表曲「あの素晴しい・・・」「イムジン河」をは
じめ昔のナンバー他を歌うものでした。完璧に私達の世代の心の芯を掴んだ
歌です。四十年あまりの時間を越えて三人とも当然その会場に居るように
次々歌いました。

傍から見たらオジさん三人が懐メロをがなっているだけなのですけども、
いやぁ、気分爽快 こうして“新湊のよさる”は更けていきました。思い出
に残る忘年会でしたね。

まったく、有峰とは方向違いのことを書いてしまいましたが、一つ先の便り
での「冷タ谷キャンプ場に対する小杉さんの評価はどうなんでしょう?感想
を聞かせてください」にお答えします。

理由はいくつか挙げることができますが、私はああゆうプリミティブな野の
魅力にそのまま接することのできるキャンプ場は素晴しいと思います。
ヨイショでもなんでもなく本当にいいです。
さあ、2010年どんな年になるでしょう? 皆さん今年もよろしく。
今宵はシアトルにて 小杉礼一郎

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◆有峰の一年 ―2008年編―  有峰森林文化村主任指導員 宮原 真樹
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今年もビジターセンターから見た有峰の昆虫についていくつか紹介して見
たい。

平成20年5月19日有峰に上山した。山はすでにブナ、ミズナラの新芽もほ
ころび始め、新緑の気配がただよう有峰春一番の季節だ。
ビジターセンター前の樹木園や猪根平一帯にミヤマカラスアゲハ、スジグ
ロシロチョウ、モンキチョウなどの蝶が飛んでいる。
山際の日当たりのいい場所には、オオカメノキの白い花が咲き、林の中の
点々とした白色の花はタムシバか?

2、3日ほどたち、耳を澄ますとエゾハルゼミの声が猪根の山から聞こえ
てくる。それも暖かい午前中だけで午後には気温が低くなるのか鳴かなく
なった。
25日ころ、旧有峰ハウスでギフチョウを確認。新鮮な♂だ。猪根山に登る
と、獣の糞が多い。糞虫がいると思い、糞をひっくり返すと早速マグソコ
ガネがごあいさつ。
28日を過ぎると確実にハルエゾセミの声を聞く。ヒオドシチョウやギフチ
ョウの数も増してきた。

6月初旬、冷タ谷でアサギマダラが飛翔していた。♂のようだ。まだこの
季節、南から移動してきたのか?この有峰で羽化したのか疑問?

23日、冷タ谷南口付近で親子連れの3頭の熊と出会う。親子の行動をしか
と観察。後に“親子の1日”の冊子を作成(ビジターセンター)した。是
非、ご覧いただきたい。
下旬になり、樹木園のギフチョウ卵より幼虫を見つける。黒くけむじゃら
な虫だ。

7月始めには3令(脱皮3回目)ほどになった。失敗!ギフチョウの観察
を怠った。(来年の宿題だ。)
直翅目のナナフシモドキを採集した。ナナフシモドキは有峰に確認されて
いない種だ。平地に一般的にいるカマキリ類がいない。1000mという
標高では生息できないのだろうか?

7月5日、昨日まで鳴いていたエゾハルゼミが鳴かなくなった。そういえ
ば、6月下旬ころから鳴き声が小さくなってきたと思っていた。
急に有峰がさみしくなったようだ。夜のほうがにぎやかだ。有峰記念館裏
の池ではモリアオガエルの鳴き声が聞こえる。泡に包まれた卵をナナカマ
ドに産み付けられそばにモリアオガエルが鳴き声をあげている。

7月7日折立遊歩道のシャクナゲの花を見に行く。遊歩道の尾根沿いに咲
くシャクナゲの花は誰にも知られなくひっそりと咲く。ややピンク色した
花がまだ満開ではないが咲いていた。

ミズキの花が林道上で咲きはじめた。例年より早くヒメオオクワを採集し
た。発生する季節がまだ早い。30mmたらずの♂だった。

冷タ谷の遊歩道上でイノシシの足跡が無数あるのを見つけ、その他大多和
峠、桐山にも多数の足跡を発見する。学びの森の観察ポイントになりそう。

23日、カミキリムシの研究で高名な露木先生が来有された。富山昆虫同好
会の常楽さんが案内した。夜有峰ハウスで歓談する。

九州大の比較社会文化研究会の助教授も訪ねてくる。昆虫採集のようだ。
ミヤマクワガタの灯火採集をする。大牙型を採集し喜んで帰られた。

春先より、誘引衝突式トラップを掛けてきた。昨年はカミキリムシやコメ
ツキムシが多く誘引されたが、今年はそれほどでもない。キマダラヒカゲ
やハエ、スズメバチ類が多い。

8月上旬、ダムサイト水銀灯火に飛んでくるクワガタを見に行く。暖かく
なる8月にもなるとかなりの数のクワガタや蛾類が飛来することを期待し
ての行動であったが、ダムサイトに転がっている昆虫類は非常に少なく、
ミヤマクワガタのメスが大半で蛾類もスズメガがたまに飛んでいるのみで
さみしい採集だった。十数年前の灯火採集のすごかったことを思い出す。

また、旧有峰ハウスで8月から始めているライトトラップでも同様な傾向
がみられた。灯火にくる昆虫類は一般的に少なく、7月にはエゾシロシタ
バが集中的に飛来したが8月ともなると少なくなった。他のカトカラ類も
余り飛んでこない。“高校生学び森”の参加者にクワガタを沢山捕っても
らいたいが、心配だ。

下旬、ライトトラップにヤママユガ多数飛来するようになった。ヒゲナガ
カミキリ♂も飛来。本種は針葉樹食いで害虫となるが、有峰では一般的に
少ないようだ。 ヤママユガは9月中旬まで確認する。その後ヒメヤママ
ユガ、クスサン、クロウスタビガと続く。この3種は10月初旬にピークを
迎え中旬ごろから下火となった。猪根平でのクロウスタビガの発生は特筆
すべきで、むしろ一般的にはウスタビガの方が多い。蛾屋さんは本種を採
集するため血ナマコになるようです。

毎日、自然だよりの写真撮影をしてきたが、9月に入ると被写体に苦労す
る。紅葉にはまだ早いし、大方の植物、風景に関しては撮りつくしきてい
るし、動物にはお目にかからなくなってきたし、9月はしんどいなあ。
たまたま砺谷半島でマムシを撮影。殺してこなかったことで反省?させら
れた。

紅葉は10月中旬ころが見ごろだった。今年の紅葉は全国的に美しいとのこ
とで、ここ有峰も例外ではなかった。土日ともなれば訪れる方も多く紅葉
に歓声を上げていた。
有峰の紅葉は黄色がメインだ。樹種にミズナラ、ブナが多いため赤が少な
い。紅葉には赤が主体のカエデ類だろうか。折立のカエデ類は鮮やかな赤
に色づいた。

今年はクマ棚が非常に多かった。特に東西半島。木に複数の棚と熊用のト
イレもあった。今年の越冬はお腹が膨れてなんとか快適に過ごせそうだ。

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