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有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2009年12月26日 第197号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/荻沢明夫
(発行日現在の有峰村民人口:684人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆オレゴン有峰往復書簡第77回目 有峰からオレゴンへ 中川正次
  〜日本のベネチア新湊内川の魅力と
   線路をはさんでオカリナコンサート〜
◆有峰の一年 ―2007年編―  有峰森林文化村主任指導員 宮原 真樹
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◆オレゴン有峰往復書簡第77回目 有峰からオレゴンへ 中川正次
  〜日本のベネチア新湊内川の魅力と
   線路をはさんでオカリナコンサート〜
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日本のオートキャンプ場が、難民キャンプなら、有峰の冷タ谷キャンプ場
に対する小杉さんの評価が、気になるところです。私としては、一人160円
で、あれだけの満足が得られるのだからと、極上の評価をしています。
二度、利用された小杉さんの感想を聞かせてください。ちょっと、びくび
くですが。

さて、小杉さんが高岡に帰ってこられるのがそう遠くないことだとうかがっ
て、わくわくしています。是非、ご案内したい場所があります。それは、
新湊です。新湊市は、小杉町、大門町、大島町、下村と合併し射水市になっ
ています。別に下見を目的としたわけではないのですが、12月5日土曜日に、
出かけてきましたので、報告します。

一緒に行ったのは、有峰で一緒に働いていた関原さんと、彼女の友人の岩瀬
さんでした。関原さんは、射水市の東側の海老江浜開に住んでいて、岩瀬さ
んは富山市呉羽に住んでいます。私は、高岡市福岡町に住んでいますが、あ
えて、富山から出発しました。13時10分に富山駅前から新港東口行きのバス
に乗りました。

詳しく説明します。1968年に富山新港ができました。放生津潟という潟湖を
切って港にしたのです。富山新港ができる前は、富山から新湊を通って高岡
まで電車が走っていました。富山の繁華街、西町(にしちょう)から、地鉄
高岡駅(現在の高岡駅の向かって左側にあった)まで直通電車が運転されて
いたのです。電車が、富山湾と放生津潟との境の砂州の上を通っていたわけ
です。富山新港建設に伴い1966年4月に放生津潟の東端の堀岡駅と西端の越ノ
潟駅間が廃止になりました。その2年後に富山新港が完成するわけです。

現在、堀岡と越の潟の間は県の渡船が通っています。電車のほうは、堀岡か
ら新富山(神通川にかかる富山大橋のたもと)までの富山地鉄射水線と、越
ノ潟から高岡駅前までの加越能鉄道になったわけです。ところが、東半分の
射水線は、自動車に押されて、1980年4月1日に廃止されました。西半分は、
万葉線として健在です。

私は、その射水線があればよかったのにと思い続けていることもあって、そ
の廃線跡をなぞるように走る富山駅前発新港東口行きの富山地鉄バスに乗っ
たのです。今は、全国的にバスが不振です。新港東口行きのバスは1日4便し
かありません。終バスが18時00分で、その前が15時45分ですから、通勤通学
には不適です。さぞや乗客が少ないだろうなあと思って乗りましたが、終点
までに、30人くらい乗ってこられましたから、ほっとしました。

私の住んでいる福岡からは、国道8号線を高岡駅前行きの加越能鉄道のバスが
走っていますが、運転手しか乗っていないことが多く、気の毒です。高岡を
中心に展開している加越能バスより、富山を中心とする地鉄バスはましです。
車窓からは、線路跡に作られた自転車道が見えます。沿線には住宅が多いの
で、射水線があればなあの想いがつのります。沿線の高校生は学校に通うの
が大変だと思われます。

ちなみに関原さんは、自転車で新港東口まで行き、次に説明する渡船に乗り、
越ノ潟から再び自転車に乗って新湊高校に通っていたそうです。

関原さんと岩瀬さんが、浜開でバスに乗り込み、3人は終点の新港東口で降
りました。富山駅前から40分670円。次に渡船(堀岡⇔越の潟)に乗ります。
5分、無料。渡船のお客さんは、私たちを含めて5人。現在、新湊大橋(仮称)
が建設中です。橋の下を船が通ることができるようにするため、水面から47
メートルの高さのところに橋桁が置かれるそうです。巨大です。建設費は、
410億円。国3分の2、県3分の1。

越の潟に着いて、万葉線に乗ります。ややこしいですが、渡船の船着き場は、
越の潟。その前にある万葉線の駅は、越ノ潟です。万葉線は、先に申しあげ
た西半分の方です。越ノ潟から高岡駅前まで12.8キロ。もとは、加越能鉄道
が経営していたのですが、2001年に第三セクターの「万葉線株式会社」が譲
渡を受けて経営しています。赤いおしゃれな車両に乗って新町口で降りまし
た。7分、200円。

新町口から、歩いて「川の駅」に行きました。川の駅というのは、内川とい
う運河のような川の川沿いにある船乗り場兼観光施設です。内川とは、もと
もと放生津潟と庄川をつなぐ川です。放生津潟を切って富山新港を作りまし
たから、今は富山新港と庄川をつなぐ川ということになります。

海王丸パーク→富山新港→内川(川の駅)→富山湾→海王丸パークという時
計周りで50分の遊覧船が出ています。近代的な港湾、レトロな内川、富山湾
を回るコースで変化に富んでいます。閑散期だと融通が効くので、川の駅で
乗せてもらって、川の駅降りるというコースを会社に予約しておきました。
少々雨が降っていたので、船室に入ったり、デッキに出たりしながら、遊覧
船会社の三箇さんに楽しいお話を聞かせてもらいながらの船旅です。

富山新港ができる前は、ウナギなどがいっぱい簡単に捕れたそうです。お客
さんは私たち3人のみ。一人1,500円。申し訳ない。

実は、この内川が、今回の旅の目玉。内川はゆるやかに曲線を描いており、
内川沿いに家々が、軒を並べています。高さがちょっとずつ違っていて、内
川の緩やかな曲線と、家々の屋根がつくるスカイライン(空を背景とした輪
郭線)が、なんともいえない美を作っています。

内川は東西に流れます。内川の両側に舗道があり、家々が軒をならべていま
す。家々のさらに外側には、普通乗用車がすれ違いできる大通りが走ってい
ます。家々の玄関は大通りに面し、勝手口が内川に面しているという構造で
す。

大通りを歩いて行くと路地があります。路地の先には内川の水面が見えます。
路地の両側が家の背の高い板壁の暗いこげ茶色、その先の川面が明るい緑が
かった青。この感じがなんとも言えません。

内川には、漁船が繋留されています。船の色は、白と水色。この船の色も美
を形成するのに貢献しています。内川には11の橋がかかっており、その橋
をくぐりながら、遊覧船は進むわけです。
http://www.art-meter.com/works/?ID=AW017991
http://kimamanatabibito.blog97.fc2.com/blog-entry-33.html

内川は、日本のベネチアと(勝手に?)言われていますが、私はそれを強く
支持します。地球温暖化で、ツバルなど太平洋の島々が存亡の危機にさらさ
れています。本家のベネチアもサンマルコ広場が水浸しになるなど大変です。

遊覧船は、橋の下をかすめて進むので、デッキに立っているときは頭をひょ
いと下げないと怖いです。三箇さんによると、夏場には内川の水が増えて、
時には遊覧船を走らせられないこともあるとか。日本のベネチアです。

歴史の概略を話します。奈良時代における越中の中心は伏木でした。高岡が
今年開町400年でしたから、1609年、高岡が発展しはじめたのは江戸時代の
初期です。室町時代の、越中の中心は放生津だったのです。江戸時代、大坂
から下関を通って日本海に出て蝦夷まで往復し、港々で商いをする北前船が
発達します。

放生津では富山湾に北前船が停まり、荷物をはしけに積み替えて、内川を通
って、内川沿いに並ぶ廻船問屋に物が運ばれていました。放生津は、伏木、
岩瀬と並び、北前船で栄えた港町だったのです。魚津、大津、草津、金津、
焼津、津幡、津沢と津の名のつくところは多いです。「放生」とは、「捕ら
えた生物をはなちにがすこと。仏教で慈悲の行いとする(広辞苑)」ですか
ら、放生津は一等光る名前だと思います。「北条」との関係もあるのかなと、
私は思います。

余談ですが、小矢部市にある津沢という名はいいなあと思っています。
「津」は港、「沢」は山間の小さな渓谷ですから、小矢部川を遡る舟の港と
して誇りに満ちた名前だと思います。

小矢部市の石動から津沢・福野・井波を通って庄川町に走っていた加越線
(これも加越能鉄道が経営していた)が1972年になくなったのは残念で、こ
れがあれば、城端線と交差する福野の輝きも違ったのにと思います。射水線
にしろ、加越線にしろ、北陸新幹線建設のための富山県の負担を思えば、存
続のための経費は桁違いに低かったわけで、大都市と結ぶ高速鉄道網とロー
カル鉄道網とのアンバランスにため息が出ます。なお、この12月23日に、
富山市中心部の市電が環状線になります。慶賀のいたり。

3人は、船から降りて、放生津八幡宮に参拝し、銭湯に行き、飲み屋(ゲンゲ
の一夜干しの天ぷら、美味」に行き、万葉線で帰りました。再び、新町口か
ら乗るわけですが、私は高岡まで。関原さんと岩瀬さんは、反対方向に越ノ
潟まで乗り、渡船に乗り、堀岡から関原さんの家まで歩いたそうです。

さて、その新町口駅ですが、万葉線の単線の線路をはさんで、両側にホーム
があります。私は、南側の高岡駅前方面ホーム。関原さんたちは、北側の越
ノ潟方面ホーム。夜も8時半を回っていましたから、ホームで待っているの
は私たち3人だけ。線路をはさんで、オカリナで「少年時代」を私が吹きま
した。吹き終ると、越ノ潟行きの電車がやってきました。

有峰がそうであるように、自動車を離れないと面白さが味わえない場所が、
新湊です。

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◆有峰の一年 ―2007年編―  有峰森林文化村主任指導員 宮原 真樹
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平成19年5月15日、今年の林道開通は6月1日だが、まだ有峰林道閉鎖し
ている猪根平に入ることが出来た。今年もビジターセンターから見た有峰
の一年間の昆虫についていくつか紹介して見たい。

5月の積雪は平年より少ないと言われていたが、3月の戻り寒波の影響か
雪も1m余りあった。有峰記念館裏の池には、もうミズバショウが咲き、ブ
ナには新芽がほころんでいる。天候の良い日には、ギフチョウ、モンシロ
チョウ、ヒオドシチョウが飛んでいる。

5月下旬穴洞谷行った。この谷は、ケヤマハンノキやヤナギの林となって
おり、谷の上流からの清流が湿地を作り、ミズバショウ、リュウキンカが
咲き誇る。
この谷も6月中旬には藪となってしまい谷に入ることもできなくなるが、
有峰でスプリング・エフェメラル(春のはかない命)が見れる数少ない地
帯である。

6月初旬、周囲の山々からエゾハルゼミの鳴き声が聞こえ始めた。
有峰にこられるお客様には「カエルの鳴き声がする」とよく言われる。

昆虫に関しては、昨年と比較して種類数より個体数が圧倒的に少ないのを
感じる。水銀灯下に飛来する蛾類が少ない、特にギフチョウについては個
体数が少なく6月を通して結局5頭しか目撃されなかった。食草のヒメカ
ンアオイに産卵された卵からの幼虫の確認はできなかった。
6月下旬から誘引剤を使って衝突式昆虫トラップで、公園化した猪根平と
冷タ谷の混合林での昆虫相の比較を調査した。

昨年は7月に入ると、エルタテハがよくビジターセンターに飛び込んでき
たが、今年はどういうわけか1頭も見かけない。この種は有峰ではもとも
と少なかったようで、毎年連続して発生はしないのだろうか。

猪根平一帯には食草のシロツメクサが多いせいか、モンキチョウは毎年安
定的によく発生している。

7月から9月まで毎晩昆虫ナイター(灯火採集)を実施した。7月の一時
期、蛾類が多いもの甲虫類の飛来は少なかった。ダムサイトの水銀灯下に
おいても同様で、昨年と比較して昆虫の飛来は非常に少なく感じた。そう
いう中でもミヤマクワガタは少々、オオキノコムシ、オニクワガタは少な
いながら採集できた。

猪根平では、エゾハルゼミの鳴き声は7月いっぱい聞くことができたが、
標高の高い東谷では8月でもまだ鳴いていたようだ。

歩行昆虫のベイトトラップを試みたところ、猪根平で珍品のホソヒメクロ
オサムシ 2♂を捕獲した。また ブナの木で実生がよい場所に行くと、
クロカタビロオサムシが走っているのを見かけた。

8月、林道沿いに咲くノリウツギに多くの甲虫が集まるが、甲虫について
も昨年に比較して少なく、わすかにハナムグリ類、ハナカミキリ類が採取
できた。

哺乳動物に関して一考察: 夏季“ありみね高校生学びの森”で、高校生
たちとシャーマントラップによるアカネズミの捕獲を試みた。2日間で
60個のトラップを仕掛けたが、入ったのは1個のみで昨年の10分の1。
秋の捕獲では、子ネズミがたくさん捕獲できたことから昨年の食糧不足と
の関係があるのだろうか。

9月頃からの灯火採集に、クスサン、ヤママユ、ヒメヤママユが多く集ま
るようになり、10月いっぱい見ることができた。

約半年間の有峰の昆虫相を見てきたが、春から夏にかけての昆虫類は昨年
より少ない傾向であったものの、秋から晩秋にかけて蛾類に関してだが、
かなりの蛾類を確認した。来年の昆虫相の動きに注目したい。

また、昆虫関係ばかりでなく、アカネズミなどの動物に関しても同じよう
な体験した。

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