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有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2009年12月12日 第196号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/荻沢明夫
(発行日現在の有峰村民人口:684人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆オレゴン有峰往復書簡第76回目 オレゴンから有峰へ 小杉礼一郎
  〜再び国民有林の話〜
◆有峰の一年 ―2006年編―  宮原 真樹
◆11月に寄せられた俳句
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◆オレゴン有峰往復書簡第76回目 オレゴンから有峰へ 小杉礼一郎
  〜再び国民有林の話〜
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秋に日本へ帰る予定をしていましたがのっぴきならない用事が続き帰国が
大幅に遅れています。気がつけばもう冬。先週のの日曜日に気分転換も兼
ねてオレゴン州の最高峰マウント・フッドの麓へ行ってきました。家から
車で一時間の所にある湖のほとりをクロスカントリースキーで周りました。 

ここはマウント・フッド国有林の中です。国道の脇に駐車場があり、車の
フロントガラスにパスを付けます。夏はNational Forest Passで一日に車
一台につき$5、シーズンパスで$30。冬はスノーパス(除雪協力費と駐
車料金が合算されたもの)一日$5、シーズンパス(11-4月)で$23です。
近くにはそり遊びの場所も大小のスキー場もあります。  

クリスマス前の日曜なので山にクリスマスツリーを伐りに来た人たちも多
く見かけます。指定エリアの中の木を自分で選んで切るのです。一本5ドル。
伐ったら車の屋根に縛り付けて家に帰ります。ファイヤーウッド(薪)を
伐りに来る人たちもいます。(有料だが安い)

西海岸の米松の林では秋にはマツタケ狩りができます。採る量に制限はな
くパスは数ドルか無料のはずです。夏にはキャンプ場が人気です。1泊$16
位。但しこれは実際に来て泊まってみて納得することですが、キャンプ場
の環境がもう無茶苦茶良いのです。これが理想のキャンプ場のレベルとす
ると日本のオートキャンプ場は難民キャンプレベルだと思います。又、ト
レイル(散策路、登山道)が縦横にありハイキングするに事欠きません。 

もちろん経済林としての側面があり、施行計画のもとに毎年森林生産
(伐採)が行われています。これの運営はまったくのガラス張りで公示公
開入札です。伐採後の再造林は当然極めて厳格に行われています。

このようにオレゴンの国有林は私達地元に住んでいる人に色々な形で利用
されています。それというのも以前書いたように、National Forestは
「国の林」というより「国民の林」だからだと思います。

それでも中には伐採予定の林で樹に抱きついて伐採させないようにしたり
木に釘を打ち込んで製材工場の鋸を使えないようにしたりする妨害行為が
起こります。私は林学の徒なので、こういう環境原理主義の手合いには
与(くみ)できません。木を切らないことでなんでもうまくいくわけでは
ないのです。

同じアメリカのなかでも森林面積もその中に国有林が占める割合もオレゴ
ン州はダントツに恵まれているのです。私のように家から一時間のところ
で森林レクリエーションの楽しみの総てを享受できる人口の割合は全米で
もさほど多くないでしょう。オレゴン州の住民は森林に関してははなはだ
恵まれているといっていいと思います。そういうことに全く縁も関心も無
い人たちでも、豊富で上質の水源、きれいな空気と景色などの恩恵にはあ
ずかっています。

さて、湖の周りのトレイルにはスキーを使う人とスノーシュー(カンジキ)
を使う人が半々ですが、下りが滑る分クロスカントリースキー(=XCスキ
ー)、つまり踵の上がるノルディックスキーですがたいそう爽快です。
夏よりも早く歩くことができます。

私は愛犬(雄のイエローラブ)を連れていたので平地では時々彼に引っぱ
ってもらい楽をしていました。 
XCスキーは雪景色の中の散歩かジョギングです。リフト待ちもなく森と湖
の中を自分のペースで歩いたり、走ったり登ったり滑ったりします。

冬の有峰湖畔は4mを越す雪があるようですけれど、テントと寝袋を背負っ
てスキーを履いて盆地に入り、何日か厳冬の有峰湖畔と周囲の山を歩き回
りたいです。この冬はその余裕がありませんがいつの日か機会があればそ
うしたいです。かなり先になりそうですが。

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◆有峰の一年 ―2006年編―  宮原 真樹
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11月まで仕事の関係上有峰にいる間、有峰の昆虫について調べることにし
た。ビジターセンターから見た有峰の一年間の昆虫についていくつか紹介
して見たい。

まだ有峰林道が閉鎖している平成18年5月中旬に猪根平に入ることが出来
た。積雪は例年以上あり、雪溶けも遅く林道が開通したのは6月下旬と平
年の約1ケ月遅れとなった。

6月は、残雪があるものの地表や水辺にはフキノトウ、ミズバショウ、
リュウキンカが咲きほこり、これも林道が開いた下旬には花期が終わって
しまっていた。

昆虫では、5月の残雪の中を飛ぶ蛾類が水銀灯下に多く集まっていた。早
春の蛾類だろう。私にはこれら蛾類の名前はわからないが、この時期の蛾
類には有峰初記録のものが多くいるだろうと思われ、いくつか拾い集めは
して保存した。

6月中旬には、ギフチョウが飛び出した。初観察したのは6月1日、猪根山
中腹の日当たりの良い環境で、周囲には残雪の間に食草のカンアオイが
まだ硬いつぼみのまま生えており、その周辺を飛んでいた。
うまく出現期と花期があっていないようだ。その後、カンアオイの芽吹き
とともにギフチョウの成虫が多数見られるようになった。

有峰のように標高が高く、ギフチョウがいる場所も日本にはそんなにない
ためか採集者が集中し乱獲が目立つようになってきている。ギフチョウは
採集禁止昆虫ではないものの将来、有峰での保護対策は必要になってゆく
べきかも知れない。

猪根平でもっとも多く見られる蝶は、モンキチョウで猪根平一帯のシロツ
メクサに頼っているものと見られる。ついで出現してきたのは、ウスバシ
ロチョウであったが、花が少ない性かなかなか落ち着いた写真が撮れない。

気温が上がってくるとエゾハルゼミが鳴きだした。初鳴きは6月1日に
冷タ谷で始まり、中旬頃にはいっせいに鳴きだした。これも猪根平では
7月4日を最後に鳴き声が聞こえなくなった。エゾハルゼミは標高1000m
前後の山地に生息し、いっせいに孵化が進むと全山雷鳴のごとき鳴き声を
発する。有峰に来られたお客様の中には「蛙が鳴いている」と度々言われ
た。

今年のエゾハルゼミはの鳴き声は、昨年より小規模で全山とはいかないも
のの毎日有峰にいると少々うるさく感じた。標高的には、エゾハルゼミに
ついで、コエゾゼミ、アカエゾゼミが出現するのだが、これらのセミの鳴
き声はほとんど聞くことはなかった。

8月になるとエルタテハが多く飛ぶようになり、またツマグロヒョウモン
も見かけるようになった。この両者の蝶は、以前は有峰で見かければ大変
貴重な存在であった。最近はエルタテハがキベリタテハに代わって多くな
ってきたと思われる。ツマグロヒョウモンについては、温暖化の影響によ
る本種の北進が指摘されており、富山市内では最近は普通に見られるよう
になっている。食草はスミレで従来からいるスミレを食するヒュウモン
チョウ類との競合が問題となってきている。

甲虫類は、7月中旬頃からダムサイトに行くと水銀灯下に蛾類をはじめ、
クワガタムシ、カミキリムシが採集できる。「昔はもっと集まったものだ、
歩けないくらい集まったものだ」とよく聞いたが、最近はかなり減ってし
まったのか、灯下に集まる虫の数が少なくなったようだ。

有峰にはオオクワガタはいないが、その親戚のヒメオオクワガタが生息し
ているのはうれしい。8月中旬の早朝、有峰湖周辺のヤナギの木を目標に
探せば結構見つかる。発生している近くには、必ず発生木(朽木)の存在
があるが、朽木の追加がなくなれば、いずれヒメオオクワガタの発生は止
まってしまうだろう。

8月に東京から来た虫仲間と峠谷を歩いたが、ほとんど虫を目にすること
がなく「なんでこんなにいい樹相をしているのに虫が少ないのだろう」と
首をかしげていた。おそらく、有峰の樹木は今ちょうど青年期を向えてお
り、元気がよく昆虫類に対して最も抵抗性を持っている時期ではないかと
考えている。ダムが造られた昭和30年頃は、一斉に樹木の伐採が行われ
それから50〜60年経っているのでブナやミズナラは今一番元気のいい
時期なのだろう。

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◆11月に寄せられた俳句
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有峰村民の方々から俳句ポストに寄せられました11月のよい句を中坪達哉
さんに選んでいただきました。これからも優秀な作品を毎月掲載しますの
で、有峰へお越しの際はビジターセンターへお立ち寄りいただき、俳句ポ
ストに投稿してください。

11月の俳句ポスト入選作品      中坪 達哉 選


ビジターセンターの雪囲いして春思う   富山市 荻沢 明夫

霜月の陽だまりあればヘクサンボ     富山市 荻沢 明夫

スコップ重し右に左に雪ほうり      砺波市 河原 芳博

暖房も冷え込みきつく屈みこむ      砺波市 河原 芳博

誰も来ぬビジターセンター雪囲い     砺波市 河原 芳博

ビジターセンターの灯につられ寄り秋深し 砺波市 河原 芳博

木洩れ日の森いっぱいに木の実降る    富山市 大井 孝行

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