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ありみネット http://www.arimine.net/

有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2009年11月28日 第195号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/荻沢明夫
(発行日現在の有峰村民人口:684人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆オレゴン有峰往復書簡第75回目 有峰からオレゴンへ 中川正次
  〜有峰の歴史を語る上での必須素材3つ〜
◆平成21年度有峰林道冬季閉鎖にあたって
  富山市大山総合行政センター農林商工課
◆10月に寄せられた俳句
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◆オレゴン有峰往復書簡第75回目 有峰からオレゴンへ 中川正次
  〜有峰の歴史を語る上での必須素材3つ〜
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有峰の歴史を語る上での必須素材3つ
森林管理システム・俗化させず大衆の山・岩段虎之助さんの墓

私が小杉さんに桂書房の「有峰の記憶」を送った際には、手紙を添えてお
きました。その冒頭に、「歴史とはなんだろうという思いをもっておりま
す」と書きました。小杉さんはともかく、皆さんには、手紙のその他の部
分もお示ししないと、私のいいたいことが伝わらないと思います。そこで、
今回、説明します。

「有峰の記憶」は、よくできた本です。富山県内であれば大きな本屋さん
に売っています。県外の人は、桂書房に注文すれば送ってくれます。今後、
有峰を語るとき、不可欠な本となったと思います。しかし、私には、願わ
くば触れておいて欲しかった思うことが3つあります。

1つ目は、日本で唯一の森林管理システムをもっていることです。すなわ
ち、北陸電力が全ての土地を持つ。富山県が森林管理と林道管理をする。
林道を有料にする。森林管理と林道管理のためにかかった費用のうち、林
道使用料で補填して足らない分を、北陸電力と富山県が折半するというも
のです。先見性あふれる、他の地域でまねのできない優れた制度です。
http://www.arimine.net/annai/paper20081227.htm

2つ目は、昭和30年代に、「俗化させず大衆の山とする」という理念が
立山連峰全体に対してあったということです。私が有峰森林文化村構想を
練るために、調べているうちにわかってきたことです。立山・黒部を世界
遺産にしようという運動がある今日、「俗化させず大衆の山とする」とい
う理念を思い起こす必要を思わない日はありません。
http://www.arimine.net/annai/paper20060107.html

3つ目は、日露戦争で戦病死した岩段虎之助さんの墓のことです。虎之助
さんの死が、大正9年、県の買収に応じる上で影響したのではないか。こ
のように私は推測しているのです。満足な教育も受けられず、税金もとら
れ、兵役にも取られるのなら、有峰を離れてでも子供たちに十分な教育の
機会を与えなければと、人々が考えるきっかけになったのではないかとい
う推測です。
http://www.arimine.net/annai/paper20040821.html

歴史とは、現在がこれでいいのかと考える時のヒントを与えてくれるもの
だと思います。歴史書を編もうとすれば、当然、たくさんの歴史的事実か
ら、拾うものと捨てるものが出てきます。その取捨選択に際し、編集者の
「現在に対する閉塞感、失望感、期待感、怒り、喜び」といったものが、
反映されると思います。

環境が大事、大事といいつつも、欲望を抑制しようとしない世間のありよ
うに不安を感じている私。俗と聖の狭間にこそ人生の本質があると感じて
いる私。自分が昭和10年頃に15歳だったとしたら(父は大正10年生まれ)
どんなふうに戦争を捉えていただろうと考える私。こんな私が有峰の歴史
を編むのであれば、上に書いた3つはなくてはならないものです。

余談ながら、「坂の上の雲」の話をします。この11月29日からNHKが司馬
遼太郎原作の「坂の上の雲」を放送します。明治時代を、正岡子規、秋山
好古、秋山真之を通じて語る歴史小説です。宮古島の漁民が、ロシア
バルチック艦隊を発見し、電報の打てる石垣島まで舟を漕いで伝えに行く
くだりは、私が一番好きなところです。本当はその電報は役に立たなかっ
たのです。明治のけなげさ、一途さが伝わる部分です。

さて、その「坂の上の雲」ですが、明治天皇、東郷平八郎、乃木希典、
児玉源太郎、夏目漱石などが登場します。しかし、足尾鉱毒事件の「田中
正造」が出てきません。そのことが不満です。明治は、日露戦争と足尾鉱
毒事件を並べて見ることが大切だと私は思うからです。司馬遼太郎が、
「田中正造」に言及しなかったのはなぜか。「坂の上の雲」は、歴史小説
であって、歴史書ではないから、それでいいのかも知れません。しかし、
文庫本で8冊にもなる歴史小説だから、田中正造が出てきてもいいのにな
あと思うわけです。

有峰に戻ります。有峰森林文化村新聞ももうすぐ200号です。小杉さんと
の往復書簡も75回です。「ありみネット」を設計したときは、有峰森林文
化村新聞のバックナンバーが強力なデータベースになると考えていました。
意図したとおり育ってきたことをうれしく思います。どこかに書いてあっ
たはずと、目次を見ることが多いので、検索性の高い見出しが大切と思う
ところです。
http://www.arimine.net/annai/backnumber.htm

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◆平成21年度有峰林道冬季閉鎖にあたって
  富山市大山総合行政センター農林商工課
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今年の冬は例年よりも積雪が少なく、有峰林道は5月23日に開通する予
定でしたが、開通前日に小見線において有峰ダムから約5km下流側で路
肩が崩壊し、車両が通行できなくなりました。

この路肩崩壊によって私たち富山市と大山観光協会が毎年行っている
「薬師岳夏山開き記念登頂会」の実施が危ぶまれましたが、県による懸命
な復旧処置のおかげで6月6日から通行が可能となり、6月13日〜14
日の登頂会は当初予定どおり行われ、薬師如来様を無事山頂の祠に安置す
ることが出来ました。

また、今年も8月8日に第21回有峰森林文化村祭を開催いたしましたが、
前日は土砂降りの雨で有峰林道も通行止めの一歩手前の状態でしたが、祭
当日にはカラリと晴れ上がり、予定していた行事はすべて完了することが
でき、参加していただいた多くの皆さんから好評をいただきましたことを
心から感謝申し上げます。

さて、有峰は何度行っても新しい発見があり、訪れる人々の心を虜にして
しまいますが、そんな有峰もわずか5ケ月余の供用期間はあっという間に
終わり、去る11月13日から林道全線が冬季閉鎖に入りました。

まもなく有峰は3mを超える雪に覆われ、森・動物達・植物達すべてが来
年春の雪解けを待ちながら冬ごもりに入ります。

お聞きいたしますところ、10月に起きた有峰林道小見線の山腹崩壊はか
なりの重症と伺っておりますが、少しでも早い復旧を願うばかりです。
来年また皆様と再会できることを楽しみにしております。
本年度の事業実施にあたり、ご協力をいただいた県関係者の皆さん、北陸
電力の皆さん、そして有峰を愛する皆さん本当にありがとうございました。

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◆10月に寄せられた俳句
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有峰村民の方々から俳句ポストに寄せられました10月のよい句を中坪達哉
さんに選んでいただきました。これからも優秀な作品を毎月掲載しますの
で、有峰へお越しの際はビジターセンターへお立ち寄りいただき、俳句ポ
ストに投稿してください。

10月の俳句ポスト入選作品      中坪 達哉 選


秋湖のこころとなりて佇みぬ      大井 孝行     

さらさらともみじからまつさらさらと  金森める子

こびとらの森にさまよふ紅きのこ    平井 弘美

初雪を水面に映し峰高し        岩永 靖典

白秋のきのこ数々おもしろき      原田 和見

秋の朝猿の並びて座禅めく       河原 芳博

大雨に顔のぞかせて茸たち         同

晩秋の生きもの探す森の道         同

ヘキサンボまたも目張りをくぐりぬけ    同

夜は夜で木の実雨とはなりゐるや    中坪 達哉

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