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有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2009年1月24日 第173号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/荻沢明夫
(発行日現在の有峰村民人口:653人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆オレゴン有峰往復書簡第53回目 有峰からオレゴンへ 中川正次
  〜学生フィールド講座の結果報告〜
◆土壌動物の話し(その7)「昔メクラグモ、今はザトウムシ」
  富山県立滑川高等学校 校長 平内好子
◆「オレゴン有峰往復書簡」を読んで  関原康子
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◆オレゴン有峰往復書簡第53回目 有峰からオレゴンへ 中川正次
  〜学生フィールド講座の結果報告〜
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昨年、8月に開いた日本海学学生フィールド講座の結果について報告しま
す。
http://www.nihonkaigaku.org/08f/i080807/i080807.html

これは、大学生を対象に、有峰で1泊2日して、三週間後に、富山商船高等
専門学校の若潮丸(231トン)に乗って1泊2日するという行事でした。主
催は、県と財団法人とやま国際センター。参加費は、4日間で6,000円。募
集人員20名。

ねらいは、「世界的にも珍しい高度差4000mの富山の地形を実体験し、山
から海までの生命の循環、そしてそこに生きる人間の生き方について考え
ること」としました。

ねらいは壮大ですが、今回の行事は、富山県の陸地や富山湾を学ぶ、たか
だか4日間の行程でしかありません。しかも、有峰において森林浴や土壌
動物の観察するのと、若潮丸で富山湾を航行して、プランクトン観察と、
深海の水を採取するだけです。しかし、わずか4日の行程で、簡易な行動
だけであったとしても、適切な設計があれば、自然の本質を感じ取り、循
環・共生の社会を目指す楽しさと意義を実感することが可能なはず。この
考え方に立って、企画しました。

今日、高校までの教育にあっては、ブナ林を歩いたり、船に乗ってプラン
クトンを採取して観察する学習機会は、一部の生徒を除き、ほとんどあり
ません。富山県の高校出身者はいうまでもなく、富山県以外の高校出身者
や外国からの留学生にとっては、富山の自然が好きになり、自然と人間の
関係を見つめる、中身の濃いきっかけになりうると考えました。

有峰では、学生15名、学習支援者15名、合計30名で行いました。猪根遊歩
道を歩き、真川に入り、冷タ谷キャンプ場で野外炊飯をし、西谷いのちの
沢を往復しました。その中に、ネイチャーゲーム、土壌動物の観察、「木
を植えた男」の輪読を入れました。

やはり、野外炊飯は強力です。薪やかまどを運んで、火を燃して、料理し
て、食べて、後始末。それだけでくたびれますが、「同じ釜の飯」以上の
効果がありました。

真川の川遊びは、タモで水生昆虫やサンショウウオを捕まえるなど、みん
な夢中になりました。当初は、河原で私が話をする予定でしたが、雨がポ
ツポツ降ってきたので省略しました。結局、大きな雨にもならなかったの
ですが、あの清流で、資料を配って話をしても効果がないかもしれないな
あと思っています。

ネイチャーゲームは、キャンプ場で夕食の後、真っ暗闇の中で、離れて地
面にねそべったりして、音やにおいや気配を感じ取るものでした。私は、
ネイチャーゲームはとても奥の深いものなのですが、名前が軽薄な印象を
与えるので損をしていると思います。

土壌動物の観察は、初日に、ふるいで落ち葉や土をふるって、観察しまし
た。また、ツルグレン装置に土壌動物を入れて、電灯をともして落ちてく
る土壌動物をアルコール漬けして実態顕微鏡で観察するのを二日目にしま
した。動物は、観察しようと思っても、見つからないというリスクがある
のですが、土壌動物は必ず見つかるので、助かります。

「木を植えた男」の輪読は、自由参加にしました。12人を二班に分けて、
それぞれキャンプ場のテーブルを囲み、一人4ページずつで48ページの本
を読みました。参加しても読みたくなければ聞くだけでもOKという柔軟
なルールにしたのがよかったようです。

ひとりの学生の感想を紹介します。「雪融け水の流れる清流はとても冷た
くきれいだった。二種類のサンショウウオも確認でき、とても楽しかった。
明かりのない夜の森は怖いほど静かで自分が小さく感じられた。そんなこ
とは滅多に体験できないのでこれからも続けていってほしい」

富山県内はいうまでもなく、全国どこに出しても、有峰は、森の活動(森
林浴、野外炊飯、川遊び、宿泊)に関し、屈指の場所であると思いました。
電気がないし、めったに他のグループと顔を合わせませんしね。有峰にお
ける森の部と、三週間後に開いた海の部との相乗効果によって、参加者は
大いなる学びを経験したといえます。

最後に、後援をいただいた社団法人富山県農林水産公社の有峰森林文化村
のスタッフのみなさんには、薪や食器の準備、緊急時の連絡体制など、い
たれりつくせりの対応をしていただきました。心から感謝申し上げます。

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◆土壌動物の話し(その7)「昔メクラグモ、今はザトウムシ」
  富山県立滑川高等学校 校長 平内好子
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 小豆粒くらいの体とその何十倍もある長い長い足が8本。その足を踏ん
張るような格好に立て、森の下草の上や樹幹、苔むした石の上などをふわ
りふわりと歩くクモのような生き物を見たことはありませんか。それは、
昔メクラグモ、今はザトウムシと呼ばれています。
メクラグモといっても眼がないわけではなく、また、クモでもありません。
クモとの違いはずん胴の体です。クモのような頭胸部と腹部の間のくびれ
が全くありません。また、背中の眼丘と呼ばれる盛り上がったところに単
眼が2個あります。しかし、実際にはよく見えないのでしょう。長い前足
(第2脚)を触角として探りながら歩く姿が、メクラグモとかザトウムシ
と呼ばれる所以です。
 何故名前が変ったかと言いますと、何十年か前に、「差別用語を使って
はならぬ」というお達しがマスコミだけでなく生物名にまで波及し、改名
せざるを得なくなったのです。でも、眼もあり、クモでもないのですから、
むしろザトウムシのほうが誤解を招かなくて良いのかもしれません。
 ザトウムシは乾燥に弱いという点でもクモと違っています。ですから、
鬱蒼とした湿り気の多い森にすんでいるのでしょう。

 土壌動物の中には、どんな環境ででも生活できるたくましいのもいれば、
良い環境でしか生活できないか弱い生物もいます。そこで、県内のいろい
ろな環境からの土壌動物の出現状況を検討し、土壌動物を指標とした環境
調査法を考えました。私の考案した方法では、ザトウムシは良い環境を指
標する土壌動物になっています。
 有峰の森のどこかでザトウムシを見かけたら、この林は良い林なんだな
あと思ってください。

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◆「オレゴン有峰往復書簡」を読んで  関原康子
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小杉礼一郎さんの「オレゴン有峰往復書簡」を読んで、関原康子さんから
投稿が寄せられましたので、紹介します。


小杉様

はじめまして、関原と申します。オレゴン有峰往復書簡読ませていただい
ております。
中川さんにちょっと背中をおされ、お便りいたしました。

有峰の森の気。目には見えないが誰もが有峰の「気」を感じて、有峰に惹
かれる。
だから実体はある。本当にそのとおりだと思います。小杉さんの文章を読
みながら、有峰の森、出合ったたくさんの友の笑顔、ぐるぐるぐるぐる頭
がいっぱいになりました。

私が、有峰の森を好きなところの1つには人の匂いがするところがありま
す。薬師岳に道にお地蔵様にお墓にダムに、ずっと昔から今まで、森と人
が共に生きてきた匂いがする気がします。今を生きる我々だけでなく、誰
もが有峰の「気」を感じて有峰に惹かれていたのではないかと思うと、
「あぁ、そうなんだ。」ととても穏やかな気持ちになります。

お誘い兼宣伝ですが、7月4日に冷夕谷キャンプ場の草刈をしたいと考えて
います。「村仕事の集い 冷夕谷キャンプ場の草刈(仮)」です。森と人が
共に生きてきた歴史を少しでも受け継いでいきたいなぁと思いつつ、どう
したらいいのかと楽しく悩んでいます(皆様助けてください)。

小杉さんと一緒に有峰を歩いてみたいです。小杉さんの夢が叶い、又有峰
に来られることを願っています。その時は、お誘いくださいますようお願
いいたします。これは私の夢ですね。

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