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有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2008年12月27日 第171号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/荻沢明夫
(発行日現在の有峰村民人口:652人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆オレゴン有峰往復書簡第51回目 有峰からオレゴンへ 中川正次
  〜有峰林道使用料1,800円は高いか〜
◆土壌動物の話し(その6)「汽車を止めたキシャヤスデ」
  富山県立滑川高等学校 校長 平内好子
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◆オレゴン有峰往復書簡第51回目 有峰からオレゴンへ 中川正次
  〜有峰林道使用料1,800円は高いか〜
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立山キャニオンの話、少し調べてみました。

キャニオン(canyon)とは、新グルーバル英和辞典によると、「峡谷。規模
の大きいvalleyで、普通、両側が深く切り立って水流がある」 よく似た
言葉として、gorge。こっちのほうは、「両側が切り立った深い峡谷、谷
間」

どう違うのかと、県庁国際日本海政策課の国際交流員に聞くと、canyonは
U字形、gorgeはV字形。canyonもgorgeもvalleyの概念に含まれ、広い谷
がcanyonで、広い谷がgorgeとのことでした。黒部峡谷は、Kurobe Gorge
として地図に載っています。富山県には、canyonの名のついたところが、
今のところありません。山崎直方帝国大学教授が発見されたことによる立
山連峰の山崎カール(圏谷)のように、小杉キャニオンと呼ばれるかもし
れませんね。地名がどんなふうに決められるのか知りませんが。

さて、この間、有峰関係の知り合い4人と酒を飲んでいた時のことです。

A:「1,800円の林道使用料は高いという人が、おられました」
B:「え? そうですか。この前、知り合いを有峰に誘ったら、こんない
いところはないと喜んでおられましたよ。1,800円は安い。だって、有峰
に入ったらもうほとんどお金がいらないんだもの」
C:「ドライブするだけや、山菜・きのこの人にとっては、1,800円は高
いかもしれない。けど、遊歩道を歩けば、1,800円は安い。だから、ビジ
ターセンターでの遊歩道案内が大事だと思う」

有峰は、麓に地元あるいは国有地になっているところがありますが、それ
を除けば北陸電力の土地です。有峰は、大正期に、県が電源開発のために
買収し、ダム建設に着手しました。国家総動員体制の中で、日本発送電に
渡り、戦後、北陸電力のものとなりました。北陸電力は、昭和35年に有峰
ダムを完成させました。さらに、有峰ダムは、電気を起こすだけでなく農
業用水、生活用水を提供し、洪水を防いでいます。こういった経過から、
北陸電力は、有峰の森林と林道管理を県に委ね、県にお金を払うことにな
りました。県もお金を出しています。そのため県は、有峰森林特別会計を
作り、議会に諮り執行しています。その過程で、林道の有料化が決まりま
した。

有峰森林特別会計の大まかな姿を、平成20年度の当初予算で説明します。
林道と森林の管理に214百万円かかります。収入として、真川線を含む林
道使用料等が114百万円入ります。これに、有峰の木材の売上を加えます。
昔は大きかったのですが、今では微々たるものです。その結果、差引不足
が100百万円となりますので、北陸電力と県が50百万円ずつ負担すること
となっています。なんと、単純明快なことでしょう。
(214百万円)=(114百万円) +(0百万円) +(50百万円×2)
(総費用)  =(林道使用料)+(材木売上)+(北電・県、折半)

林道管理や森を守るために、こんな仕組みを持っているところは、日本で
は有峰だけです。他の地域からうらやましがられる制度です。この歴史を
知り、この仕組みを思うとき、歴代の北陸電力社長・知事、下で働いてい
た社員・職員の先見性・叡智・努力に頭が下がります。

道路であるならば無料で提供されるのが当たり前だと思われるかもしれま
せん。若い頃、感動した本に、宇沢弘文著「自動車の社会的費用」(岩波
新書:1974年初版)があります。この本は、道路に自動車を走らせるため
の費用(景観・居住環境の保全費用、交通事故によって死亡したり身体障
害になった場合の補償も含む)に対する経費が、自動車購入費・ガソリン
代・税金・道路使用料には適切に計上されていない。社会正義実現のため
には、費用に見合うお金を、ちゃんと自動車会社や運転者は負担すべきで
あると説いています。「自動車の社会的費用とその内部化」の節の末尾に、
こんな下りがあります。

ここでは都市交通について、自動車の社会的費用を考えてみたのであるが、
観光道路にかんしてもまったく同じような考え方を適用することができる。
すなわち自然環境保全にかんするなんらかの社会的合意を前提として、そ
の基準にあうような構造をもつ道路だけ自動車の運行を認め、そのために
必要な投資額は自動車運行者に賦課しようとするものである。(168ペー
ジ)

有峰の経費負担システムは、かくも先進的なものであるということを、み
なさんに知っていただきたくて、ご紹介しました。有峰林道の歴史や経済
学的先見性をご理解いただいて、遊歩道を歩いていただければと思います。

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◆土壌動物の話し(その6)「汽車を止めたキシャヤスデ」
  富山県立滑川高等学校 校長 平内好子
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 有峰西谷ブナ林における土壌動物相を10年ぐらいにわたって調べたこと
があるが、秋の調査時には、よく大きな赤色のヤスデにお目にかかる。通
称キシャヤスデといわれるとてもきれいなヤスデである。ヤスデの仲間は、
土壌動物の中では結構大型の部類にはいり、小さなものでも5〜6mm、大
きなものはキシャヤスデのように5cm近くある。

 長野県の小梅線では、これまでに何回もキシャヤスデの大発生によって
列車の運行が妨げられるという事態に遭遇している。何万何十万というヤ
スデの大群が森から線路にまであふれ出し、列車に轢かれたヤスデの油に
よってスリップして走れなくなるのだ。最近の研究で、キシャヤスデの大
発生は8年周期で起こるらしいということがわかってきた。ただし、富山
県下からは、まだ大発生の報告はない。県内のどこかの山で、赤い大きな
ヤスデが何万と大発生しているのに遭遇した人は、ぜひ、平内までご一報
を。

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