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有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2008年12月13日 第170号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/荻沢明夫
(発行日現在の有峰村民人口:651人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆オレゴン有峰往復書簡第50回目 オレゴンから有峰へ 小杉礼一郎
  〜灯台下暗しの「立山キャニオン」〜
◆土壌動物の話し(その5)「嫌われ者NO.1−ムカデとヤスデ−」
  富山県立滑川高等学校 校長 平内好子
◆11月に寄せられた俳句
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◆オレゴン有峰往復書簡第50回目 オレゴンから有峰へ 小杉礼一郎
  〜灯台下暗しの「立山キャニオン」〜
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 今回の紙面をお借りして訂正させて頂きたいことが一つあります。
先月の「山じまい感謝の集い」の語り部講で私が「もう一つのアメリカ
ー 日本には紹介されていない自然景観」の話をし、北米各地の自然景観
を皆さんに見ていただきました。そのなかでキャニオン地形の話もしまし
た。 曰く「これは大陸固有の地形で日本にキャニオンは無い…」と。 
それは間違っていました。 

それに気がついたのは今回の滞日の終わり頃です。山じまいの一日目に見
に行った跡津川断層のことがその後も気になっていました。たまたま手元
に立山カルデラの紹介パンフレットがあり、その3D合成した鳥瞰図を眺
めていました。左下に弥陀ヶ原の溶岩台地があり、その南側がくだんの大
崩落地、立山カルデラです。さらに北側−称名川の谷―に目を移すと地元
の人には見慣れた称名の深い谷が、私にも同じく見慣れた景色ですが、そ
れは又アメリカで見慣れてきたキャニオン地形と見てとれました。

「あれっ」と思った私はすぐさま有峰へ電話し荻沢さんに長谷川幹夫さん
(愛着の森調査編の指導者)と連絡をつけてもらいました。(彼ならきっ
とあそこへ行っている)と思ったからです。30年ぶりの挨拶もそこそこに
「ねえ大辻山から弥陀ヶ原台地がみえるだろ。称名谷も見通せるかな?」
と訊ねました。「うん 見えるよ。なんなら写真送ろうか」ということで
彼は直ぐに写真をE‐メールしてくれました。それは冬の晴天時に撮られ
たもので、雪に覆われた弥陀ヶ原台地と称名谷の陰影がくっきり見て取れ
る、まさしく私の見たかったものでした。間違いないこれはキャニオン地
形だ。

灯台下暗しとはこのこと。目から鱗ともこのこと。なんのことはない物心
ついた時から眺めてきた景色の中にキャニオン地形があったのです。日本
はモンスーンアジアの一角ですので無論内陸の乾燥地帯のキャニオンとは
おもむきが全然異なります。それは、川の流れの侵食だけでなく、斜面全
体の侵食が進み斜度が緩和されることと、キャニオン表面に植生が繁茂す
ることによります。 
実は北米大陸で一番深いキャニオンはオレゴン州にあります。有名なグラ
ンドキャニオンよりさらに600m深い2,400mの深さの谷です。それはそれ
でこの世の果てのような壮絶な原始景観ではあります。しかしオレゴン州
は太平洋に面し降水があるので、斜面は緩和され表面は緑の植生で覆われ
ています。グランドキャニオンの荒々しさはありません。 

称名滝の落差は日本最長なのでおそらくこのキャニオン(弥陀ヶ原台地を
挟んでトイメンが立山カルデラだから立山キャニオンと名付けましょう
か)は日本最深ではないでしょうか? といっても比べる相手がないです
がね。ネットで調べた所では白神山地に「日本キャニオン」という場所が
ありますが、あれは正確には山腹崩落地と呼ぶべき地形です。更にお隣の
岐阜県の下呂にも曲りなりの?キャニオンがあるようです。私は別に隈な
く日本の山を歩いた訳ではないので、もし他に日本でキャニオン地形があ
ることをご存知の方は是非この紙面を通じて知らせてください。

 ところで、この立山キャニオンは弥陀ヶ原を歩いても見えませんし、称
名滝の下からも判りづらいと思えます。観賞に一番いいビューポイントは
上空をヘリか飛行機で飛ぶ。次は弥陀ヶ原台地の対岸である大辻山山頂で
はないでしょうか? 幸い(?)弥陀ヶ原そのものが富山の皆さん見てく
ださいとばかりに下界に向いて傾いてるから視界のいい日には平野部から
望めますね。

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◆土壌動物の話し(その5)「嫌われ者NO.1−ムカデとヤスデ−」
  富山県立滑川高等学校 校長 平内好子
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「嫌われ者NO.1−ムカデとヤスデ−」

 一般に、足が無性にたくさんあるか、又は全くない動物は嫌われたり、
気持ち悪がられる傾向にあると思う。土壌動物でも、足の多いムカデやヤ
スデ、足のないミミズやヒルなどはあまり喜ばれない。ミミズの話しは前
回くわしく書いたので、今回はヤスデとムカデの話しをしよう。

 ムカデとヤスデはどちらも足が多く、一見よく似ているし、その違いを
きちんと知っている人は少ないだろう。しかし、足が多いという点を除け
ばむしろ正反対と言えるほど違っている。

 落ち葉を食べるヤスデは、動きも緩慢でモゾモゾと動く感じ。それに対
して肉食性のムカデはあごの横に毒牙を持っていて、これでガシッと獲物
を挟み込み、毒液を注射してしびれさせる。動きも素速く、なかなかつか
まえることができない。したがって、見分け方は簡単。簡単につかまえら
れるのがヤスデで、逃げ足の速いのがムカデである。

また、形態的にわかりやすいのは足の付き方である。どちらも節足動物な
ので体がたくさんの節に分かれているが、各体節から1対ずつ横向きに足
が出ているのがムカデであり、2対ずつ下向きに出ているのがヤスデであ
る。

しかし、実際に森の中でお目にかかるムカデやヤスデの多くは、体長1セ
ンチにも満たない小さなものがほとんどなので、ぱっと見ただけでそこま
で観察するのは難しいかもしれない。そこで、直感的な印象で説明しよう。

足がスッキリわかりやすい感じがムカデ、短い足がごちゃごちゃからまり
そうなのがヤスデである。

 さて、これで、今後、皆さんが果たして両者を見分けることができるか
どうか・・・?

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◆11月に寄せられた俳句
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 有峰村民の方々から俳句ポストに寄せられました11月のよい句を中坪達
哉さんに選んでいただきました。これからも優秀な作品を毎月掲載します
ので、有峰へお越しの際はビジターセンターへお立ち寄りいただき、俳句
ポストに投稿してください。(なお、ビジターセンターは11月12日をもっ
て今年の営業を終了しました。来年6月の営業再開時まで俳句ポストは休
止します。)

 11月の「俳句ポスト」入選作品       中坪 達哉 選
有峰は冬へ、これからは静かな動物たちの世界ですね。


 秋惜しむ錦繍(きんしゅう)ゆるる有峰湖  岸  公文(富山市)

 狭くなる道幅落葉日和かな         大井 孝行(富山市)

 猪根山奥まで見えて秋も果て        河原 芳博(砺波市)

 白息の中にたたずむ折立路             同

 どこからかくるカメムシに冬支度          同

 ビジターハウス窓など囲む冬構え          同

 熊棚の風に揺るるはいまだ見ず       中坪 達哉(富山市)

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