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ありみネット http://www.arimine.net/

有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2008年10月18日 第166号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/荻沢明夫
(発行日現在の有峰村民人口:637人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆オレゴン有峰往復書簡第46回目 オレゴンから有峰へ 小杉礼一郎
  〜出会いがせまり書き物手につかず〜
◆有峰 さらに奥地へ/立山カルデラ
 藤田 敏二さん(有峰村民)
◆自分流、旧有峰村武者修行
 有峰森林文化村指導員 北見 健
◆9月に寄せられた俳句
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◆オレゴン有峰往復書簡第46回目 オレゴンから有峰へ 小杉礼一郎
  〜出会いがせまり書き物手につかず〜
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 「この話はもう少し続けたい。」との前回からの話のながれで日本の国
有林の辿らされてきた(理不尽とも言っていい)道筋のことを書こうと二
週間前には心に溢れるインスピレーションがあったのですが・・・・
世の中のことでも、私的なことでもとかく影響されやすい人間でして「書
きたい」というほむらが小さくなってしまいました。
世の中のことは、第二次世界恐慌になるやもしれない崖っぷちの毎日のこ
と、震源地であるアメリカの大統領選挙がいよいよ迫ってきたこと。 日
本もね。 
私的なことは、夏の仕事が一区切りついたこと、今回の帰省で実家をどう
するか方向決め(と実施)をせねばならぬことなどなど。
オレゴンでは柳やコットンウッド(ドロノキ)が黄金色になり、空は高く、
ススキは銀色に、遠くの山並みは白くなりすっかり秋が深まりました。何
を見ても物思う季節の風情が加わりすっかり書く気が引っ込みました。そ
れより何よりこの週末に会って話せるしね。
本当は、森を育てること=第四次産業論をぶち上げるつもりでおりました
が、乗らないときに無理に書いてもつまらなくなるので後日にします。

中川さんのいう歌のことから知らず知らずに連想が…
 ♪いつも私に力をくれる 忘れてはいけないもの―♪
コブクロの小渕健太郎さんの曲ですが、歌は夏川りみさんの歌唱がすばら
しいです。
今回の私の有峰滞在は二回で5日間。有峰の森に力を貰いに行こうと思っ
ています。
水、空気、緑という即物的なことでなく、私にとって森は心のセーフティ
ネットです。 特に故郷の森はそう、心の根っこがそこまで張っていて、
そこから養分をもらっているような気がします。明日日本に発つので今日
はあわてて語り部講用の写真をCDに入れました。
見ていると一つ一つの景色に愛着が出てきてどれを使うか、何を話すかも
まだ決めかねているんですよ。 
困ったものですね。

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◆有峰 さらに奥地へ/立山カルデラ
 藤田 敏二さん(有峰村民)
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薬師岳/2926mへの登山口、折立は有峰から行く。有峰林道は冬季閉鎖が
長く、6月1日からわずか5ヶ月間の通行解除になる。折立からさらに最奥
に、安政の大鳶山崩壊の爪痕を残す立山カルデラがある。明治以来延々と
国の直轄で砂防工事が続く。真川の源流、水谷はその最先端現場である。
堰堤群を世界遺産にという動きもある。ただの土木工事とみるか、今も崩
壊の続くカルデラに立ち向かった英知の産物としてみるかで異なる。富山
平野はこのおかげで洪水氾濫から守られている。わずか30数kmで3000m級
の峰々から富山湾/海抜0mに注ぐ急流河川の存在は、「これは川ではない、
滝だ!」と言ったオランダ人技師デ レーケの言が当たっている。

水谷には誰でもは行けない。折立から先の道路は工事関係者以外の立ち入
りはできない。こんな場所をのぞいてみたいと思うのは私だけではない。
水谷は関係者が一時的に多く暮らす場所になる。湯川は名のとおり温泉源
から流れてくる。この湯を引き「天涯の湯」なる露天風呂を設けている。
名湯であろう。トラックで汲んで持ち帰る人がいた。聞くと洋酒を割ると
うまいという。多分買う人がいてのことだ。湧き水もある。私が2000年に
汲んだものは未だ腐らず透きとおっている。

昨日、立山に初冠雪があった。紅葉前線は駆け足で下りてくる。有峰も近
い。車窓の回遊なら上宝・双六川から上がって飛越トンネルを抜けるルー
トが美しい。小口川ゲートへの帰路は山道の運転に不慣れの人はやめた方
がよい。鮮やかな紅葉は格別でも運転は緊張の連続である。有峰の森は明
るい。熊の目撃は常々あるが事故は一度も聞かない。先に気づいて隠れて
くれるのだろう。さぁー、ゆく秋を楽しもう。10月半ば過ぎからの好日を
見逃せない。

藤田ノラ
nora415@coast.ocn.ne.jp
村民登録者です。有峰のことに触れた日のブログです。たまには訪問して
下さい。
http://blog.goo.ne.jp/hakucho2003

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◆自分流、旧有峰村武者修行
 有峰森林文化村指導員 北見 健
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宮本武蔵の生き方に私淑することが多い。たぶん自分と性が合うのだろう。
4年前の夏、富山森林管理署のグリーンパトロールとして、室堂から、黒
百合を見ながらザラ峠を越え、薬師岳、太郎平、上ノ岳に続く雲上の稜線
を歩いて行ったときも、武蔵の面もちで、子どもの頃から続けている剣道
の修行の一環として、やった気構えだった。その折、眼下に広がる美しく
青い有峰湖の風貌に接したのだが、今まさにそこ、かつての有峰村の名残
をとどめるこの地で暮らし、やはり毎朝竹刀の素振りを心懸け、続けてい
る日々を過ごしている。剣道は看護婦であった早世した母が教えてくれた。
母の死に接して以来、人生とは屹立した天上の縦走路を歩くが如く自分に
は思われ、そこに生きがいを見いだすのだが、武蔵が風雅の心を大事にし
たように、自分もここで絵を描き、読書や音楽にふれるのも好きである。
オカリナで越中の素朴な唄など吹きながら、自分が人生を通じて永久の目
標(The Ultima Thule)と定めた、地上にいる子どもたちいずれの子たち
にとっても、つねに自信をもって鑑(かがみ)となれるような人間であれ
と願う。この信念を守り続けていくことに、ともすれば理想と現実が対峙
するこの下界にあって、たけりはやる心を抑え、鎮めることもしばしばだ。

旧有峰の人々が信仰した薬師岳にとっては因縁の昭和38年生まれでもある
自分は、くしくも自分の誕生日と同じ日に行われた今年の宝来島のお宮様
の例祭で、神事前、島に渡る機会をいただいた。湖上の小島となってしま
ったかつての峰を歩み、登り終えた後、目を閉じ、静かに吹き渡る風を感
じながら、心の中で湖底の有峰村の旧宅を巡り、古(いにしえ)の有峰の
方たちと対話した。今は墓も家あとも皆、湖の底で、現(うつつ)の人の
墓参は思うに任せぬとしても、魂として帰るならば、それほどの難儀もな
かろうと。むしろ永遠(とわ)に封じられた旧村の風景は、永久の美しさ
が守られるのではなかろうかと。ともすれば己の胸に湧きいだす旧村の悲
憤をそんな思い方でなだめながら、心をこめてオカリナで筑子を奉った。
孤島を離れた後、対岸の冷タ谷の湖岸に出て、島に向かい、自分にとって
神聖な儀礼である剣道の素振りを、心ゆくまで奉った。剣を納めたのち、
目を空に向けると、かつて歩いた薬師岳の高みが、遠く遙かに、まぶしい
ほどあざやかに照り映え、飛び込んで来た。

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◆9月に寄せられた俳句
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 有峰村民の方々から俳句ポストに寄せられました9月のよい句を中坪達
哉さんに選んでいただきました。これからも優秀な作品を毎月掲載します
ので、有峰へお越しの際はビジターセンターへお立ち寄りいただき、俳句
ポストに投稿してください。

 9月の「俳句ポスト」入選作品    中坪 達哉 選

 秋色濃い有峰を見たいものです。朝晩は寒いでしょうねー。


 秋冷の森にうごめく命かな      荻沢 明夫(富山市)

 日一日と色づく林道誰を待つ     河原 芳博(砺波市)

 食卓に並びし顔や紅葉晴          同

 囲炉裏端夜はオカリナの音の響く      同

 霧満ちて我の五体を映しけり     大井 孝行(富山市)

 雁が音か薬師が高み越え来る     北見 健 (富山市)
 
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