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有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2008年2月23日 第149号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/荻沢明夫
(発行日現在の有峰村民人口:610人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆オレゴン有峰往復書簡第31回目 オレゴンから有峰へ 小杉礼一郎
〜ガードレールの話〜
〜高架に鈍感な私たち〜
◆土壌動物の話し(その1)西谷のブナ林と土壌動物 
   富山県立滑川高等学校 校長 平内好子
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◆オレゴン有峰往復書簡第31回目 オレゴンから有峰へ 小杉礼一郎
〜ガードレールの話〜
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「高架に鈍感な私たち」 この言葉をじっと見ていると、心の中に私が見
てきた「高架」の風景がフラッシュバックしていました。 子供の頃昭和
30年代の道の原風景は砂利道と踏み切りです。高架の思い出はありません。
40年代から後、日本の高度成長と私の成長と行動範囲の拡大の三つは同時
であり、高架を見る機会は指数関数的に増えました。日本の都会、地方都
市を問わず各地で、世界の各地で、そしてアメリカの各地で、しかも時系
列的に見てきました。鈍感どころかもう無感覚です。しかし故郷の景色の
中での高架の景色だけはぽっかりと空白でまるでイメージできないのです。
う〜ん、虚を突かれた、と今はそういう状態です。「高架」について私の
今の想いはガス状星雲みたいなもので何も言葉になりません。ある日突然
に語り出すかもしれません。が 今回の返信はガードレールの話をします。

写真が小さくてちょっと見づらいですがこの↓ページの一番下の写真を見
てください。美しき“騙し絵”グレイシャー国立公園
http://www.youmaga.com/odekake/eco/2004_5.php
「目立たないガードレールと見事な石組の法面処理。」

 アメリカの国立公園の景色で、私は何が一番気に入っているかというと
それは道にガードレールが無いことです。実に気持ちがいいです。景色が
いいことこの上ない。断崖絶壁だろうが、熊が転げ出てこようが、エルク
が跳び出そうが関係ありません。大原則としてガードレールは作らないの
です。 ちょっと想像してみてください。グランドキャニオンの縁に危険
だからとガードレールか、フェンスを設置したらどんな景色になるか
(実際、観光スポットのごく一部のみにフェンスがあります。必要悪です
ね)

 急な下りカーブで飛び出したら御陀仏みたいな所には「しょうがないな、
ここだけだぞ」という感じで極力目立たぬよう必要最小限のものがある所
もあります。自然石を用いた車止めや 木のガードレールなどです。そし
て目立たない山腹工事。日本の観光道路を設計する人達には是非一度アメ
リカの例を見にきてもらいたいものです。

 雪が積もったら、凍ったら… そんな時は走らないかゆっくり行けばい
いのです。スピードを出しすぎたら… そんな車は落ちてかまいません。
そういう思想です。そして、全米それが貫かれています。アメリカという
と「訴訟の国」を連想し、事実そのとおりですが、ガードレールがなかっ
たから落ちた、どうしてくれる?と訴える人はいません。絶対に勝てない
からです。

 日本でも四万十川の沈下橋の形があります。自然に敬意を払い、謙虚に
なって、それでも自然の中に人工物を作らざるをえないとなるとそれは景
色におのずと表れてきます。それが醜悪なものだとしたら、それに向きあ
う人の心がそうあるからに他ならないからではないでしょうか。
それは、都市の風景でもいえることです。

 大阪の街は水路が発達していて 東洋のベニスと並び称されていたこと
もあったが今では  ♪ふりかえるとそこは灰色の街♪ (古いか)  
片や、東のお江戸日本橋の風景、これから何千億円もつぎ込んで昔の風情
を取り戻すそうです。大変な授業料ですね。
アメリカの軍事予算と日本の道路予算はこれらを人々に真の安らぎを与え
る目的のお金(それこそが本当の聖域)として使ってくれたらどんなにか
いいことでしょう。

有峰の湖畔の道、そこに至る林道の健やかな姿をオレゴンから想っていま
す。
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◆土壌動物の話し(その1)西谷のブナ林と土壌動物 
   富山県立滑川高等学校 校長 平内好子
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 子年にちなんでか、ネズミの話しが続きましたが、今度は土壌動物の話
しにお付き合いください。土壌動物というのは、「一生あるいは幼虫など
の一時期を落ち葉や土壌中で生活する動物の総称」ですから、ネズミも土
壌動物の仲間と言えないことはないのですが、赤座先生や末上先生はご自
身のことを土壌動物研究者とは夢にも思っておられないでしょう。土壌動
物といって連想されるのは、ミミズくらいでしょうか?

 私が、有峰西谷のブナ林に通い始めたのは、今から20年近く前、中学校
から高校に異動になり、高教研生物部会に入ったときからです。生物部会
の野外教材研究委員会で、「ブナの実の豊作年と凶作年は一定の周期で繰
り返されるのではないか」、といったブナ林をテーマにした定点調査を西
谷で始めたころです。私自身は、個人的に研究テーマをあれこれ考えたあ
げく、県内で誰もやっていないようなことをやってみたいという、へそ曲
がり的発想から「土壌動物」を選び出したところでした。そこで、西谷の
ブナ林に入るたびに、落ち葉やどろを採ってきては、それを少しずつ篩で
ふるいながら土壌動物を探すという、まさに“どろくさい”研究が始まり
ました。

 ブナ林の美しさは皆さんよくご存じの通りですが、美しいのは樹木だけ
ではありません。林床の落ち葉層はふんわりと感触が良く、腰を下ろし、
ザトウムシ(昔はメクラグモと呼ばれたが、クモではない)がふわりふわ
りと歩き回ったりするのを眺めていると心が落ち着いてきます。また、落
ち葉をめくると真っ白なコムカデが現れたり、ヒメフナムシ(ダンゴムシ
の親戚みたいムシ)がツツーッと足早に通り過ぎたりと、ブナ林の落ち葉
の下の世界もなかなかおもしろいものです。

 土壌動物の研究者はもちろん、土壌動物に興味を示してくれる人もほと
んどいない現状ですので、布教活動?のつもりで、何回かに分けて土壌動
物の魅力をお伝えしたいと思います。
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