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ありみネット http://www.arimine.net/

有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2007年9月22日 第138号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/荻沢明夫
(発行日現在の有峰村民人口:586人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆オレゴン有峰往復書簡第22回目 有峰からオレゴンへ 中川正次
〜緑浄土と白浄土〜
◆「グループ樹の実」有峰研修会での語り部講(地球一周)紹介
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◆オレゴン有峰往復書簡第22回目 有峰からオレゴンへ 中川正次
〜緑浄土と白浄土〜
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9月4日火曜日に有峰に行ってきました。有峰俳壇をお世話いただいている
中坪達哉さんとの二人旅です。西谷いのちの沢が目的地です。
http://www.arimine.net/annai/paper20070331.htm
私たちは、西谷いのちの沢に行って、二年目の愛着の森対話編の定点観測
を終え、100メートルほど戻ってきました。川は、東北東に向かって流れ
ています。道は、それなりに急な坂道で、川の右岸に沿って緩やかな曲線
を描きながら下っています。道から見ると、30度くらい下を川が流れてい
ます。水音は聞こえてきますが、流れは見えません。目を水平にすると、
川の向かいの山の稜線が見えています。ブナ、トチ、ホオ、ミズナラ、モ
ミジの林が広がっています。ホオは1枚の葉っぱが大きなへちまくらいの
大きさですが、ブナは赤ちゃんの手のひらほどです。これらの葉っぱの色
はやわらかい黄緑色。近くを見上げると、葉っぱは柔らかいので、光が透
き通っています。川の向こうを見ると、葉っぱが光を反射して輝いていま
す。午後の陽が、雲に隠れたり雲から出たりするたびに、これらの光の具
合が、ぱらっ、ぱらっと変化します。ときおり、黄葉した葉っぱが、枝を
離れ、すーい、ひらひらひらと、飛んでいます。

中坪さんは、次の句を作られました。
爽やかに歩めば緑浄土かな

私は、はっと思いました。浄土という言葉の色の一般的なイメージは、金
色、黄色、夕日色であって、緑ではない。しかし、この明るい緑あふれる
様は、浄土というべき姿であると。
旧有峰村民の信仰は、薬師信仰です。全戸が大川寺の檀家で、南無釈迦尼
仏の曹洞宗を信仰していました。お経は、般若心経です。浄土教の流れで
はありません。したがって、有峰の墓地に、南無阿弥陀仏と書かれた墓は
ありません。鎌倉時代の、法然の浄土宗、親鸞の浄土真宗、道元の曹洞宗。
これらの源流に、平安時代、天台宗の最澄がいます。山川草木悉皆成仏の
最澄です。山川草木悉皆成仏とは、人間ばかりでなく動物や植物、さらに
は山や川まで仏性があるから、すべて成仏できるのだということです(梅
原猛「森の思想が人類を救う」)。緑浄土という言葉は、山川草木悉皆成
仏に通じるものであり、最澄も道元も親鸞も、「ほお」とひざを打つこと
なのではないかと思います。

「水と緑といのちの森を永遠に」これが、有峰森林文化村の基本理念です。
緑浄土という言葉は、その基本理念を別の言葉で表現しています。私は、
連想として、白浄土という言葉も思いました。雪のことです。日本は、地
球上の他の地域に比べて圧倒的に、森が豊かです。日本の中でも、富山。
とりわけ有峰。その豊かさを支えているのは、雪です。白浄土が緑浄土を
もたらしているわけです。まことにありがたい限りです。
標高2926メートルの薬師岳。その姿は、薬師如来。その麓に広がる、ブナ、
ミズナラ、トチなど落葉広葉樹の森。その姿は、菩薩の森。私は、こんな
姿を心に描き、有峰を愛する人の輪が少しずつ、じわじわと広がることを、
願っています。
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◆「グループ樹の実」有峰研修会での語り部講(地球一周)紹介
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 去る8月25日、26日に開催された「グループ樹の実」有峰研修会の語り
部講(地球一周)を紹介します。

 森が好きで森を大事にする人の集まりであるグループ樹の実は、発足以
来10年目となります。このたび初めて一泊ツアーを企画したところ、会員
のほかに、昨年若井が森林インストラクターをさせていただいた方々4名
のリピートと合わせ17名のツアーとなりました。
 今年は「元気な人もそうでない人にも癒しを提供したい」これを森林イ
ンストラクターの案内目的にしました。おかげさまで有峰の奥深い自然を
満喫し、とても癒されました。しかし、脳細胞をガツンと刺激し、活力を
与えてくれたのは鍋沢さんのほぼ2時間にわたるピースボート世界一周体
験話です。「好奇心を持ち、行動に移す、そこで体験し思考する」過去の
ものになりそうだった、そんな思いを呼び覚ましてくれました。
 身近なことも大事だけど、世界も広くて素敵!(代表 若井直美)

<語り部講(地球一周)鍋澤充孝さん>
 メールマガジンをご覧のみなさんはじめまして、グループ樹の実会員の
鍋澤(なべざわ)です。8月25、26日のグループ研修「森の楽校・奥山
編」いろり談義の際に、2年前に行った地球一周の船旅の体験話をさせて
いただきました。このような機会を持ち、頭の中にある地球一周の体験で
得た思いを整理することができて大変ありがたく思いました。今回はメー
ルマガジンに寄稿させていただくこととなり簡単ですが体験をまとめてみ
ました。
◆船旅のルート
 わたしは2005年5月から8月までピースボート地球一周の船旅に行きまし
 た。 102日間で18ヵ国 19の寄港地を回りました。
 航海のルートですが、まずは横浜を出航。神戸でわたしを含む西日本の
 方を乗せて日本を出国。
 最初の寄港地は香港、そしてベトナム・ダナン、シンガポール。マラッ
 カ海峡を抜けスリランカ・コロンボ。紅海に入りヨルダン・アカバ。ス
 エズ運河を通りエジプト、ポートサイド。地中海を走りギリシャ・ピレ
 ウス、イタリア・カタニア、スペイン・バルセロナ。ジブラダル海峡を
 抜けフランス・ルアーブル、ノルウェー・ベルゲン、アイルランド・ダ
 ブリン。大西洋を渡りアメリカ・ニューヨーク、ジャマイカ・モンテゴ
 ベイ。パナマ・クリストバルからパナマ運河を通り太平洋に出てコスタ
 リカ・プンタレナス、メキシコ・アカプルコ。北上しカナダ・バンクー
 バー。最後の寄港地アメリカ(アラスカ)・スワードから横浜、神戸へ
 と帰るというまさに地球一周の船旅でした。
◆どんな船に乗ったか
 乗船した船は「トパーズ号」といいます。パナマ船籍、総トン数31,500
 トン、全長195m、全幅27m、デッキ数9階のたいへん大きな船です。
 乗船客は約1000人。小さな村の人口に匹敵する人数です。
 船内には、レストラン、バー、大ホールやプールもありました。
 船内では「水先案内人」と呼ばれる各界の専門家が同乗し、講演会など
 が開かれたり、乗船者が企画する自主企画などがあり、絵や楽器が得意
 な人はそれについてのワークショップを行ったりと様々な催し物があり
 ました。くわしくはこちらのサイトで→http://www.japangrace.com/
◆寄港地での過ごし方
 寄港地にはたいてい1日だけの滞在です。たまに2日間滞在できる寄港地
 もありました。「帰船リミット」というものがあって、何時までに船に
 戻ってきてくださいという時間が決まっていました。その時間までは自
 由に街を散策したり、船側が用意したオプショナルツアーに参加するこ
 とができました。では、これから寄港地での様子をお伝えします。

[寄港地で思ったこと アジア、中東編]
○香港
 世界有数の経済地区だけあって人が溢れている。九龍の市場には日本で
 はあまり見かけないフルーツやいろいろなものが売られていました。香
 港を離れる際に見た海からの高層ビルの夜景は最初の寄港地にして印象
 深いものでした。
○ダナン(ベトナム)
 2日間の滞在でした。世界遺産にもなっているホイアンの日本人橋など
 を見てきました。市場に行くと、店の人から買わないかとはげしくしつ
 こく声をかけられました。このセールスぶりは見習うものがあります。
 大衆食堂でフォーなどのベトナム料理を食べましたがテーブルには前の
 人が食べ落とした食べ物がそのままになっていてあまり衛生的ではなか
 ったです。その後わたしは下痢になりました。船の中でも体調を崩した
 人が結構いました。ベトナムに着く前の上陸説明会では食べ物にやられ
 て体調不良になる場合が多いですと言われましたがそのとおりになって
 しまいました。気候も人も熱いところです。
○シンガポール
 半日の滞在でした。水を吐くマーライオンを見てきました。街にゴミを
 落とすと罰せられるといわれるだけあってすばらしくきれいな街です。
○コロンボ(スリランカ)
 ツアーで森ではぐれたゾウを保護しているゾウの孤児院に行きました。
 ゾウが水浴びをするために行列したゾウが道を歩いていきます。間近で
 見ることができました。生活の場にゾウがいるというこういう場所もあ
 るのだなと感じました。
○アカバ(ヨルダン)
 2日間の滞在でした。ヨルダンは中東にあるので「危険」というイメー
 ジがあったのですが全然そんなことはなく明るくきれいな所です。
 ツアーで世界遺産のペトラ遺跡と死海に行きました。ペトラ遺跡はイン
 ディージョーンズ最後の聖戦の舞台にもなった所です。岩をくりぬいて
 造られたエルハズネの宮殿や住居跡は圧巻でした。
 死海に入ってきましたよ。死海は塩分が多いので人が浮くことができる
 という話なのですが、入るまでほんとに浮くのかなあと半信半疑だった
 のですが入ると体に力を入れることなくほんとに浮かんでしまいました。
 死海の水はしょっぱいというより苦かったです。
○スエズ運河
 早朝5時ごろスエズ運河に入り口に差し掛かりました。スエズ運河を通
 る船が列になって並んでいます。運河に入ると、西側のアフリカ大陸側
 は町があり、緑も生い茂っているのですが、東側のシナイ半島側は町も
 緑のない荒れ果てた砂漠の大地だったのが印象的でした。 西側には数
 100mごとに銃を構えた警備員が立っていましたが、こちらから手を振る
 と向こうも手を振り返してくれました。夕方5時ごろに運河を通り抜け
 ました。
○ポートサイト(エジプト)
 エジプトといえばピラミッド。ツアーでポートサイドからバスに乗り3
 時間ほどでカイロに着きました。ピラミッドは砂漠のど真ん中にあるわ
 けではなく街のすぐそばにありました。ピラミッドは巨大できれいな三
 角形をしています。こんなものをよく古代に造ったなあと改めて思いま
 す。ピラミッドの守り神といわれているスフィンクスですが、日本語を
 しゃべる現地ガイドさんによるとスフィンクスはピラミッド建設で余っ
 た石を使って造ったそうです。以前テレビのトリビアの泉でも紹介され
 ていましたがスフィンクスの目の先には確かにケンタッキーフライドチ
 キンの店がありました。

◆寄港地で思ったこと ヨーロッパ編
○ピレウス(ギリシャ)
 ピレウスは首都アテネのすぐ近くの街です。世界遺産のアクロポリスに
 あるパルテノン神殿に行きました。街にはあちこちにイヌが寝転がって
 います。ギリシャには「シエスタ」と呼ばれる2時間ほどの昼休みがあ
 ります。その間は店も閉まってしまう徹底ぶり。イヌたちもシエスタを
 しているようです。日本にもぜひシエスタを導入していただきたいです
 ね。
 実はこの後、体調不良に襲われました。暑さと乾燥のせいもあるのです
 が、ヨルダンのペトラ遺跡と死海、スエズ運河、エジプトのピラミッド、
 そしてギリシャのアクロポリスといった世界有数の観光地をたった一週
 間のあいだに見てしまったので「びっくり疲れ」をしてしまったようで
 す。頭の中が飽和状態な気分でした。
○カタニア(イタリア)
 カタニアはイタリア本土ではなくシチリア島にある街です。列車に乗っ
 てタオルミーナという風光明媚な場所へ行きました。高台から見る地中
 海はものすごく濃い青色をしていました。
○バルセロナ(スペイン)
 列車に乗り、モンセラットへ行きました。のこぎりの刃のような変わっ
 た形をした岩山の中腹に修道院があります。荘厳なとても雰囲気のいい
 ところで、ぜひもう一度、できれば岩山にうっすら雪が積もる冬に来て
 みたいと思う場所でした。その後、バルセロナに戻り世界遺産のサグラ
 ダファミリアへ。 120年前から建築されてまだ未完成の修道院。世界で
 唯一お金を払って見る工事現場ともいわれています。外観は細かい装飾
 が施されていて巨大な怪物のような迫力がありました。
○ルアーブル(フランス)
 2日間の滞在でした。列車でパリに向かい、凱旋門、エッフェル塔を見
 てきました。凱旋門に歩いて昇ってパリの街を眺めると凱旋門から放射
 線状に広がる道、そしてそこに植えられた並木が美しく見えました。
 エッフェル塔にも歩いて昇ってきました。2日目はルアーブル周辺の町
 を列車でぶらり途中下車の旅。小麦畑が広がるのどかな風景をみてきま
 した。
○ベルゲン(ノルウェー)
 あてもなく列車に乗りヴォスという町に下りてみました。湖がそばにあ
 って、冬場はスキー客で賑わうリゾート地のようです。ノルウェーの人
 はやさしく、道を渡ろうと横断歩道で待っているとドライバーが車を止
 めてくれる場面が何度かありました。ただ、物価は高く、ハンバーガー
 は1,000円ほどしました。この時期ノルウェーなどの北の高緯度の地域
 は白夜で夜の11時でも空が明るいというふしぎな体験をしました。
○ダブリン(アイルランド)
 1日半の滞在でした。ダブリンはギネスビールの本社があるところ。港
 もギネスビールの出荷のために設計されて造られたそうです。またまた
 列車であてもなく小さな町に行きました。首都ダブリンから30分ほどの
 ところですがヒツジがいる牧場があるというのどかな場所でした。2日
 目はツアーでギネスビールの展示館に行きました。工場見学はできなか
 ったのですが、ギネスビールの歴史や作り方の展示を見ました。最上階
 にあるラウンジでギネスビールの試飲をすることができました。スタッ
 フが器用につまようじを使って泡にクローバーの絵を描いていました。
 実は、ダブリンに着く2日前の7月7日におとなりイギリス・ロンドン
 で爆破テロがありました。船がちょうどイギリス本島の北を航行してい
 るころでした。ダブリンの町は特に厳重な警備体制もなく、テレビのニ
 ュースを見てもまだ2日前のできごとなのにそんなに大きく報道されて
 いなかったのが意外でした。
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