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ありみネット http://www.arimine.net/

有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2004年1月24日 第41号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/中川正次
(発行日現在の有峰村民人口:315人)
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━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「日本の景観」の著者からの返事        京都市・樋口忠彦
◆小口川にひっそりと生きるトロッコ軌道     品川区・中部浩佐
◆「森の記憶」ワークショップの感想(1/3)  上市町・武田和正 
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◆「日本の景観」の著者からの返事        京都市・樋口忠彦
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平成16年1月9日
中川正次様

新年おめでとうございます。年末のお手紙ありがとうございます。

古代人の盆地賛歌に共鳴し、われ住む国もうるわしい、といわれる有峰森
林文化村は、どんなところかと思いました。

かつての盆地が、ダムで人工湖になった写真をみて、正直驚きました。
しかし、たしかに、ここも盆地の景観です。

景観あるいは景色は、物的環境と、それをどう見るかという見方が一体に
なったものです。古代人が盆地をほめ、寿いできた、という見方を学ぶこ
とで、有峰の魅力をたくさん発見してください。

編集部注
これは、樋口忠彦さんあての手紙(2003年12月27日付け有峰森林文化村新
聞掲載)に対して、樋口さんから返信をいただいたものです。
樋口忠彦さんは京都大学大学院教授。都市環境工学専攻、景域環境計画学
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◆小口川にひっそりと生きるトロッコ軌道     品川区・中部浩佐
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トロッコ―その昔、鉱石・木材の積み出しや土木工事などに全国各地で用
いられていた、小さな鉄道たち。しかし今では自動車などに取って代わら
れて久しく、我が国では非常にめずらしいものとなってしまいました。そ
れでも、富山県内には黒部峡谷鉄道と立山砂防軌道という、現存のものと
しては日本有数の規模を誇るトロッコが今も健在であり、一般にも有名な
存在となっています。

そのトロッコですが、有峰の一隅にもじつはひっそりと生き残っています。
小口川の上流域の、わずか1.5km程の距離ではありますが、例年夏場の数
ヶ月の間だけ発電所関係の資材を運ぶために使われている軌道があるので
す。

ここのトロッコの仕事は、雪のない夏場のあいだに、北陸電力小口川第三
発電所やその周辺の補修・メンテナンス工事のための資材を運ぶことです。

小口川第三発電所は、今なお車道が通じていない山中にあります。道路は
途中でまず急峻な山肌に遮られ、そこから山に上がるには小さな空中索道
しか輸送手段がありません。しかも索道は荷物専用ですから、人は急なつ
づら折りの山道を30分前後かけて登らねばならず、さらに頂上からトラッ
クが1台だけ閉じ込められた狭い専用道路が数kmつづいたのち、さいごに
発電所までの1.5kmほどの道程がトロッコ軌道となっているのです。

そんなわけで、麓から資材を運ぶ場合は積み換え作業が三回にも及びます
し、現場の方々にとってみれば行って帰ってくるだけでもひと仕事です。
そのため第三発電所のそばには宿舎があり、日数のかかる工事の場合、現
場の方々はそこで合宿生活を送りながら作業に臨みます。

資材の全部が全部このトロッコで運ばれるわけではなく、量が多いときや
生コンクリートを輸送する場合はヘリコプターも使われます。しかし、飛
行が天候に左右されますし、なによりコストが相当高くつきますから、小
規模な輸送は依然としてトロッコの出番となるわけです。

軌道は急峻なブナ原生林の山腹にへばりつくように、等高線を忠実になぞ
って進んでゆきますが、線路のほとんどは北側の斜面ゆえに昼なお鬱蒼と
暗い林の中です。

目につくのは、線路のほぼ全域に沿って作りつけられた冬季歩道(シェル
ター)でしょう。このシェルターは、今では実際に冬場に使うことは稀だ
そうですが、地盤の脆いこの山中では土留めの代わりとして重要な役割を
果たしているとのこと。裏を返せば、このシェルターのおかげで路盤がク
ルマが通れるまでに拡幅できないのが、トロッコを今も使いつづけている
理由だ、と以前現場の方にうかがったことがあります。

軌道の終点にある小口川第三発電所は、昭和6年に日本海電気の手によっ
て運転が開始され、現在は北陸電力の管轄下にあります。出力14,500wは
今となっては小規模な部類ですが、我が国初の揚水式水力発電所(のちに
揚水機能は廃止)であると同時に、その水圧鉄管の有効落差621.1mは竣工
当時世界一、今でも日本一を誇っています。

トロッコの軌道の歴史は、詳しいことははっきりしない部分も多いのです
が、その昔第三発電所の建設のために敷かれた軌道の名残りであることは
確かです。

かつては小口川の下流の水須集落辺りから途中インクライン(ケーブル
カーの一種)や空中索道(ロープウェイ、リフトのようなもの)を介して
第三発電所までトロッコ軌道が敷かれていました。そのほとんどは道路
(一部は現在の有峰林道小口川線)に置きかえられてしまったものの、先
述の理由で車が通れる幅の道路に作り替えることが困難な区間がトロッコ
軌道のまま生き残っているわけです。

昔はトロッコを動かすのに牛や人力に頼っていたそうですが、少なくとも
ここ四半世紀ほどは、小型トラックを改造した小さな機関車がトロッコを
1〜2台牽いて走っております。

最後になりますが、私が過去幾度も現場にお邪魔して撮らせていただいた
トロッコの写真を、以下のページにアップしてありますので、ご興味があ
れば是非ご覧下さい。

http://www2.mnx.jp/~jwq0798/arimine/

今もなお有峰の自然に抱かれながら、電気の源を守るためにひっそりと務
めを果たしている小さなトロッコに思いを馳せていただければ幸いです。
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◆「森の記憶」ワークショップの感想(1/3) 上市町・武田和正 
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有峰森林文化新聞に初めて投稿します。村民No.164の武田です。私
は昨年、有峰ですばらしい体験をさせていたきました。その感想を3回に
分けて発信させていただきます。

9月13、14、15日の3連休をどのように過ごすか、8月末頃から迷
っていた。

立山少年自然の家で開催されるネイチャーゲーム初級指導員講習会(2泊
3日)への参加と、草刈り(初日はゴルフで、後の2日間は刈り払い機で
庭の除草)という選択肢もあったが、結局、有峰森林文化村主催の「森の
記憶」ワークショップに参加することにした。

森の中で2泊3日という長い時間をどうやって過ごすのだろうという興味
と、2泊3日の参加料が5,000円(食費、宿泊費、保険料を含む)と
いう低料金設定が魅力だったからだ。

ワークショップといえば、地域起こしの分野で、住民が自分達の地域の知
られざる資源や魅力を共同作業で再発見することというイメージしか持っ
ていなかったが、1冊の本が出来るくらい種々のワークショップがあるら
しい。

ここでは、講師が生徒に一方的に教えるのではなく、一人一人が多様な体
験や関わり方を通して、様々な学びや気づきを体験することが狙いのよう
だ。

ファシリテーター(水先案内役または、そそのかし役)の中野民夫さんと
小野三津子さんに導かれて、「気功」的な手法や内観的な手法で、自然の
中から自分を見つめ直す3日間のミニ・インナー・トリップが始まった。

20名の募集定員に対して、参加者12名、講師2名、スタッフ4名、救
護の保健師1名の計19名で、有峰の2泊3日を過ごした。

県内11名、県外8名(講師2名を含む)という構成も良かった。イン
ターネットで検索して、はるばる福岡県から飛行機に乗って参加した女性
もいた。

オリエンテーション後の最初のセッションで、参加したきっかけ等をフリ
ップに書き、アト・ランダムに1オン1で紹介することを2回くり返し、
全体の輪の中で紹介するメニューがあったが、参加の動機や目的は各人各
様だった。

共通していたのは、「森の記憶」というキャッチコピーに惹かれてとか、
森の魅力に何かを期待して参加したという意見が多かったように思えた。

午後4時過ぎから、講師のリスさん(小野さんの愛称)の案内で、冷タ谷
遊歩道を散策し始めた。

登山では、午後3時頃までに山小屋へ入るのが常識だし、これまで経験し
た森林教室では夕方行動することは無かったので、薄暮の森が逆に新鮮な
感じがした。

夕食後のセッションでは、車座になって「トーキング・スティック」とい
うメニューを体験した。棒を持った人だけが話し、その他の人は全神経を
集中して、話し手の話を聞くというルールだ(アメリカ・インディアンの
酋長会議が起源らしい)。

誰も話さなければその間の沈黙を楽しむということだが、何となく話はつ
ながるもので、長い沈黙を楽しむ余裕は無かった。
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原稿や感想をお待ちしております。
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