******************************************************************
ありみネット http://www.arimine.net/

有峰村民の皆様と、ほぼ2週間に一度、双方向で交流するメールマガジン
有峰森林文化村新聞 2002年11月30日 第9号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/中川正次
(発行日現在の有峰村民人口:150人)
******************************************************************
━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆「有峰紅葉と俳句の会」紀行  太田蝸牛
◆「有峰紅葉と俳句の会」作品  中坪達哉
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
─────────────────────────────────
◆「有峰紅葉と俳句の会」紀行  太田蝸牛(富山市)
─────────────────────────────────
それは、バスに乗り込むやすぐ始まっていた。当たり障りのない会話をし
ながら手にはしっかりと俳句帳やメモ帳とペンが握られているのである。
深まる秋の中バスは芒を分けるように目的地に向かった。当然、皆の目は
カメラモードとなり、風景を凝視していた。

大山町歴史民俗資料館では、湖底に沈んだ旧有峰村の東谷宮の小社に安置
されていた狛犬が八体展示されている。その面様を観ていると、村民を守
る役割をまだ終えていないぞとの声が聞こえてきそうである。

林道を登るにつれて、車窓の紅葉が次第に濃くなってくる。すると突然大
きな歓声がバスの中に響いた、初冠雪の薬師岳が目の前に聳えているので
ある、誠に美しい。有峰に着くまでは全山紅葉のパノラマ、その美しさを
表現する言葉のなんと陳腐なことか、ただ息を飲むばかりである。しかし、
我々は俳句の会に来ているのである、なんとか句にしなければならず、浸
ってばかりもいられないところが辛いところである。

有峰湖の少し上に旧有峰村の墓地が移設されている、そんなに多くはない
が、年月の経過でかなり風化している。供花の置かれているものも少しあ
り、参加者は皆沈黙し、手を合わせたり、回りを歩いている。もちろん俳
句帳に書き込んでいる人もいる。

雲行きが怪しくなりかけたころ、冷タ谷の遊歩道を行くことになった。両
側に白樺や、ブナの大木に囲まれて、落葉を踏みながら楽しい散策であっ
た。有峰湖を望む展望台では紅葉と輝く湖面に見取れて時間を忘れてしま
いそうである。遊歩道を出ると、木の上に熊が木の実を食べた跡「熊棚」
という珍しいものが見られ、皆驚いている。

夕食後、いよいよ句会の始まり。メンバーには句歴の長い人、全くの初心
者、私のように句会が初めての者もいて、始まる前は多少緊張した。しか
し、始まってみるとこれが結構楽しいのである。自分の句が選に入った時
の嬉しいこと、皆がいろいろな風景、物を実によく観察していることに驚
く。たくさん票が入った句が必ずしも良い句とは限らないこと、初めての
人でも良い句が作れること、中坪先生の的確な評や皆さんの意見などとて
も参考になった。

翌朝は雨が降っていたが、私と何人かで散策に出かけたが、ここにも有峰
の素晴らしい景色があり、紅葉山の向こうの山が初雪で白くなっていた。
残った人が、宿舎前では猿がたくさんいたと言う。

昼前にまた句会、前日の句会から時間が経っていないので、なかなか句が
できなくて苦労する。しかし、昨日の句会に負けず劣らず楽しいものとな
った。

下山途中から雪がちらつきだし、正に「山眠る」直前であることが実感で
きる。車窓は次第に緑が多くなり山里に降りてきた。富山市内に入ると、
大きくはないが色鮮やかな虹がかかり、この会の締めくくりに花を添えて
くれたようだ。

大自然の中に身をおいて、その中に溶け込み、日常の生活を忘れ、「原」
人間となることの大切さをしみじみと感じた2日間だった。

最後になったが、普通の観光では、体験出来ない素晴らしい場所を案内し
ていただき、また何かとお世話になった有峰森林文化村事務局の中川さん
に心から感謝申し上げる。

編集部注
「有峰紅葉と俳句の会」は、平成14年10月26日(土)、27日(日)にかけ
て、11名の参加を得て、開催されました。
─────────────────────────────────
◆「有峰紅葉と俳句の会」作品  中坪達哉(富山市)
─────────────────────────────────
[講師吟]
鯖雲を 天蓋として 岳並ぶ 中坪達哉

[特選句]
深秋の 朝の山気を 身の裡に 片桐久恵
渓流の 落葉積もりて 堰となす  野中多佳子
霧晴れて 熊のにほひの 径とだえ 室井千鶴子
無縁墓地 冬のすみれの 二つ三つ 山森芙貴女
踏む音の やがて変わりぬ 落葉径 太田蝸牛
霧流れ 立木人とも 見えにけり 浦田恵美子
掌の中を 宿ときめこむ 放屁虫 山森直清
せせらぎを 渡る丸太に 散もみじ 浜岸興治
木葉散る 山里しのぶ 碑に 外 忠義
冬近し 何を食べるか ヘキサンボ 中川正次
─────────────────────────────────
原稿や感想をお待ちしております。
あて先は
info@arimine.net