********************************************************************
ありみネット http://www.arimine.net/
有峰村民の皆様と、双方向で交流するメールマガジン

有峰森林文化村新聞 2018年8月10日 第409号
編集/有峰森林文化村会議 編集長/青山和浩
(発行日現在の有峰村民人口:923人)
********************************************************************
━━目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ねじばな便り
 ~草にすわる。立場主義を離れるために         中川 正次
◆ねじばな便り
 ~愛着の森「対話編」~                 森永 健一
編集局からのお知らせ                有峰森林文化村

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

────────────────────────────────
ねじばな便り
 〜草にすわる。立場主義を離れるために          中川 正次
──────────────────────────────────

 2018年7月25日の朝日新聞に安冨歩(やすとみあゆむ)さんのオピニオンが
載っていた。「立場に付随する役を果たすためには、全力を尽くす。逆に、
立場を、守るためなら、何をしてもいい―という立場主義を改めよう」とい
う主張である。1941年、日米開戦に反対していた海軍が開戦に傾いたのは、
「戦艦大和の建造など巨額な軍事予算を、陸軍と競争して獲得していながら、
戦争はできませんとは、立場上言えない」ということからだった。誤った判
断であることを、構成員の多くの人が気づいていても、立場上、それを言え
ないでいるうちに、非合理的な道に入り込んでしまう。歴史に、こんな例が、
多い。

 2018年7月20日 参議院本会議でIR実施法案が自民党・公明党・日本維新の
会などの賛成多数で可決・成立した。7月12日に発売された週刊文春2018年
7月19日号が、アメリカのカジノ企業から、日本の国会議員にお金がばらま
かれているという記事を載せた。麻生太郎財務相2万円、西村康稔官房副長
官2万円、岩屋毅IR議連幹事長74万円などである。私は、きっと、廃案に
なると予想した。しかし、その記事がマスコミで取り上げられることはほと
んどなく、法案は通った。あわてて、鳥畑与一著「カジノ幻想」を読んだ。

「カジノ幻想」の腰巻には、
「日本で1億人に、年間48,000円負けさせる。それがカジノの狙いだ!」
とある。
目次は
第1章 カジノ推進論には反論できる
第2章 カジノ構想は「成長戦略」にはならない
第3章 地方を蝕むカジノ
第4章 アメリカのカジノに未来はない
第5章 アジアは「未開拓地」か
第6章 ギャンブル大国・日本の患者
第7章 カジノはコントロールできない

 この本で触れてないことで、私がおかしいなと思うことがある。国際会議
場をカジノとセットで建設するのである。そんなところで、学会などの国際
会議を開いたら、性根の入らない会議になるのではないか。皇族が開会式に
挨拶する国際会議は多い。その会議がカジノとセットになっているとしたら
・・・。さらに、富山県は、各種の会議の誘致に取り組んでいるけれども、
東京や大阪で、カジノ付の国際会議が開かれるようになれば、政府の肝いり
もあることから、富山での開催が減ることは確実である。

 自民党は、2014年の総選挙で、「IRの推進等による観光産業の活性化を
通じ、国内消費の拡大を図ります」を選挙公約にしていた。維新の党も「シ
ンガポール型の統合リゾートを実現するための法制度を整備する」を公約と
していた。彼らは、党の方針にしたがって、カジノが日本を豊かにできると
決めこんでいる。立場に従って行動するのは、なんと恐ろしいことか。「ど
うしてIRを進めるのですか」と、県選出国会議員・県内の地方議員に聞いて
みたい。

 中央官庁は言うまでもなく、東京、大阪、沖縄などの自治体職員で、これ
はまずいことになったと思う人は多いはずだ。そんなカジノのための仕事を
命じられたとしたら、そのストレスは半端ではない。皆、国民のため、住民
のために働きたいと思っている人たちだ。上司の命令が、国民・住民の幸福
と矛盾していないことを前提に、働きたい人たちだ。国家の政策決定に、外
国の企業からの献金が効いていたとしたら、やりきれない。各自治体では、
住民の反対運動が起こるであろうし、議会での論戦も繰り広げられるであろ
う。それらまで、立場主義で押し切ることができるだろうか。立場主義は、
1941年の例からわかるように、「あの時は、立場上、しかたがなかったのだ」
という、無責任主義と隣接している。

 八木重吉(1898年2月9日 - 1927年10月26日)に、こんな詩がある。
「草にすわる」
わたしのまちがいだった
わたしの まちがいだった
こうして 草にすわれば それが わかる

 立場主義の弊害打破は、皆で車座になって、虚心坦懐に、草にすわること
から始めたらいいのではないか。建物の中で、話をしていては、自分たちの
立場の再確認になるか、異なる立場同士のぶつかり合いになるかである。そ
の建物が、国会議事堂であろうと、ビルディングの会議室であろうと、ワイ
ドショーのスタジオであろうと、居酒屋であろうと。「個人的にはこうだと
思う」すら言いづらく、「我々の立場としては、・・・」になってしまう。
過ちては改むるに憚ること勿れ。そのために、草にすわろう。

 有峰猪根平のバーベキュー広場のちょっと先にオオバコが生えそろった直
径20メートルぐらいの平地がある。周囲を、ミズナラ・シラカンバ・ドイツ
トウヒが囲んでいる。昼間はここがいい。8月5日、親しい人たち9人で有
峰に遊んだ。実験がてら、ここで座ってみた。共感が得られた。

 このほかには、猪根平のステージの先の丘をあがったところに、広々とし
た草地がある。背後には猪根山、眼下には有峰湖が広がる。朝はここがいい。
露で濡れているので敷物がいる。

 第3の適地として、冷タ谷キャンプ場のキャンプサイトは、円形の草地。
周囲をミズナラやカラマツが囲んでいる。ブヨ対策として、頭からかぶるネ
ットと軍手が必要だ。

いずれも、車から降りて3分。足腰の強くない人でも、高低差はないので楽。

 あおむけに寝そべり、静かに雲の流れを追う。目をつむって、すわり、ゆ
っくり呼吸する。有峰森林文化村は、森にばかり目が行っていた。草にも大
きな意義がある。
─────────────────────────────────
◆ねじばな便り
 ~愛着の森「対話編」~                 森永 健一
──────────────────────────────────
 今から12年前(2006年)6月に愛着の森「対話編」の活動が始まった。
 この活動はオークヴィレッジの代表であり、有峰森林文化村の顧問でもあ
る稲本正氏が提唱された「あなたの好きな森とあなたの好きな木を最低一つ
日本のどこかに決めてほしい。そして時々会いに行ってほしい。きっと人生
が豊かになるだろうから」の呼びかけに応じ始まったと聞いている。

 有峰の森の中で自分の心に残る樹木又は場所に愛称をつけ時々会いに行き、
その時の思いを文章にし、数枚の写真と共にアルバムに残す活動である。
現在39冊のアルバムが作られていて、少しずつアルバムの台紙が増えてきて
いる。
 今回39冊のアルバムの中身を1冊ずつ見てみた。まず最初に気になったの
が最後に会いに行った日のアルバム。それは8年前が最後になり、それ以後
記録が途絶えているアルバム。次に会いに行った回数が最も多いアルバム。
それはこの12年間で45回のアルバム。そして最も感慨深いのが、樹木の横
に人物が写っているアルバムだ。あたり前の事だが、樹木の成長スピード
と人間の成長スピードの著しい格差。12年という年月で子供は少年、少女
になり、壮年は老年となる。一方樹木の方はほとんど変化を読み取れない。

 人生100年の時代に入ったと最近良く耳にするようになった。有峰には樹
齢300年から400年と思われる樹木が無数に有る。確認済みで最大の樹木は
周囲5.25mのミズナラの木。空洞も無く天に向かって堂々とそびえている。
 私は現在67歳100歳まであと33年。このミズナラの下に立つと身体の芯か
ら力が湧いてくる。その思いは私だけではないだろう。愛着の森「対話編」
をきっかけに私は有峰の森を生き抜いている巨木調査を始めた。胸高周囲
4mを超えるミズナラはその多くが空洞化し、表面には大きなこぶがいく
つも有る木が多い。1本1本全てがそれぞれに強い個性を持ち風格を感じる。

 まだまだ始めたばかりの調査だが、巨木に見習いあせらずゆっくりとし
たペースで続けていきたい。

──────────────────────────────────
◆編集局からのお知らせ                 有峰森林文化村
──────────────────────────────────
次号の有峰森林文化村新聞は、8月24日に発行予定です。
 6月~11月間は二週間毎に、12月~5月間は月1回、第3週の金曜日に発行い
 たします。

◇ホームページありみネット 
    http://www.arimine.net /へのリンク

◇文化サークル活動所/有峰デジタル画廊にどしどし投稿お待ちしています。
 (デジタル写真でも絵画(写真に撮って)投稿してください。)
  有峰森林文化村新聞は村民の交流の場として利用してください。

◇有峰森林文化村では皆様からいただいた情報やご意見、感想を掲載いたし
 ますので、どしどし投稿をお待ちしております。
◇あて先   E-メール:info@arimine.net

                     有峰森林文化村助役(編集長)

 薬師岳の開山伝承
 薬師岳は、麓に住む有峰村の人々にとって、古くから信仰の対象となって
いました。「岳は日に五たび色がかわる」と尊び、「重い病も薬師に祈れば
治る」と信じていました。立山や白山などにみられる貴人や高僧による開山
とは異なり、薬師岳の開山は貧しい民衆によると伝えられています。
 
 有峰村で貧しい駕籠の担荷棒作りをしていた職人の「ミザの松」が、昼寝
していると、枕元に薬師如来が現れ、導かれて山頂まで登り、如来が姿を消
した岩石の間に、お堂を建てて「岳の薬師」として祀ったのがその始まりと
されています。
 また、夢のお告げにより、村に前立てとして宮を建てたのが「里の薬師」
で、明徳元年(1390)創設と伝えられます。

──────────────────────────────────