森の楽しさ味わって  有峰森林文化村助役 中川正次


有峰森林文化村を構想し始めたころは、「有峰を県内のほかの森と比べて、どうちがうのか押さえよう」と考えていました。もちろん有峰の特質を挙げれば、挙げることはできます。しかし、最近は、そういった比較主義では、本質に迫れないと思っています。

大沢野町出身で、現在は岐阜県でご活躍中の稲本正さんは、「あなたの好きな森とあなたの好きな木を最低一つ、日本のどこかに決めてほしい。そして時々会いに行ってほしい。きっと人生が豊かになるだろうから」と書かれています。

有峰は、県立自然公園です。国立公園があって、国定公園があって、県立自然公園があります。有峰は、立山・黒部から見れば、格が落ちると考えるのが普通です。世界はいうまでもなく、日本の森、いや住んでいる県の森の全部を比べて、どれが一番好きかどうか決めることは不可能です。結婚相手を、日本中のあるいは、地球上の異性の中から選べないのと同じです。

知り合いに誘われて、自分の住んでいる所から近い森に出かけて、その森を好きになる。そのような見合い結婚、職場結婚のような感じでよい。ブランド志向もランキング主義もいらないと思います。

白神山地、尾瀬、白山、四万十川、屋久島。これらの森が大事だと言われても、その水を飲んでいない、その山が見えないところでは、ぴんときません。富山県に住む人が、富山平野から女性的な薬師岳、旗が翻っているような鍬崎山を見るたび、有峰はどんな様子かなあと思いをつのらせる。そして年に一度は、会いに行く。そういう森へのかかわり方こそ、無理がなく、さらに地球環境が心配でならない今日にあって最も力になるのではないでしょうか。

(北日本新聞2005年8月13日の「とやま自然元気大学」の広告の中で)